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2026年閉館。室堂に残る、山岳モダニズムの名建築【エディターの偏愛録】

  • 2026.5.18

雪の室堂で出合った、山岳建築の名作

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GWに富山から黒部アルペンルートを通って、念願の室堂へ行ってきました。今回どうしても見たかったのは、2026年8月末に閉館を予定している山岳ホテル「ホテル立山」です。

標高2450m、日本一高い場所に建つ本格的ホテルとして1972年に開業し、“雲上の山岳ホテル”とも称される「ホテル立山」。設計を手掛けたのは、「駒沢オリンピック公園総合運動場」などでも知られる建築家・村田政真です。

室堂ターミナルと一体で建設されたこのホテルは、国立公園内という厳しい条件下でつくられた建築でありながら、自然に対して威圧感がなく、山岳風景へ静かに溶け込むような佇まいが印象的でした。

細部に宿る、山岳ホテルならではの温もり

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室堂に降り立つと、まず圧倒されるのは立山連峰の雄大な景色。「ホテル立山」はその風景を邪魔しない、どこか山小屋の延長のようにも見えました。標高2450mという過酷な自然環境のなかで、ホテルとしての機能を果たしながら、山の景色を美しく見せるために建てられた建築なのだと感じます。

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今回宿泊はしなかったのですが、お願いして5階のロビーを見学させていただきました。低く抑えた天井、深い色味の木部、カモシカのレリーフが施されたクラシカルなシャンデリア。雄大な自然のなかで、静かに、丁寧に時間が経過してきたことを感じさせるインテリアでした。大きな窓の向こうに広がる立山連峰が、まるで額縁に収められた一枚の絵のよう。

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家具や照明、階段の手すりなど、ディテールはどれも素朴なのに重厚。きらびやかではないのに、品格がある。過剰な演出やデザイン性とは異なり、山で過ごす時間に必要な落ち着きを感じる空間でした。

「ホテル立山」を堪能したあとは、まだ雪の残る山道を30分ほど歩き、「みくりが池温泉」へ。

日本一高所にある秘境温泉として知られる「みくりが池温泉」は、硫黄の香りが立ちこめる素朴な山小屋。荒々しい岩肌に囲まれた景色は、「ホテル立山」の洗練された静けさとはまた違う、山そのものの力強さを感じさせます。

近代建築としての美しさと、手つかずの自然。その両方を行き来できるのが、室堂という土地の特別さなのだと思います。

2026年8月末の閉館まであとわずか(レストラン・売店は営業継続予定)。近代建築としての魅力と、山岳ホテルならではの温もりが残る「ホテル立山」を、ぜひ室堂の雄大な風景とともに体感してみてください。

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