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「the TRUE DIARY show」第9回:映画監督・長久 允

  • 2026.5.17
長久 允のイラスト

2月21日(土)

4月に公開する映画『炎上』の取材日。森七菜さんと共に。歌舞伎町のトー横キッズのとある少女の物語。あの街を取材したこと、映画のことを何時間も何時間も話す。森さんは言葉を選んで、絶対に嘘をつかないように話す。本当に感じたことを話す。なんて素晴らしい人なんだ。撮影時は、「じゅじゅ」という主人公を作るためにお互い同じ方向を向いて会話していたが、撮影が終わった今、やっと向かい合ってただの人間同士で会話できるようになった。

2月22日(日)

13時。長女は図書館で勉強。次女は児童館へ。妻と僕はカフェで仕事。夫婦で始めた〈ゴゴジェニー〉という指輪と物語のブランド(なんだそれとお思いでしょうが、指輪と物語を売っています)の初めての展示会の準備打ち合わせ。オモチャみたいにバカでかいハートの指輪を、ちゃんと天然石で作ったのだけど、本当に毎日していたいほどキュートで最高の出来。妻は「7歳児の自分を心に宿し続けるために」と言っていた。結局、セボンスターが一番可愛いもんね。それの本格版。すごい数の指輪を全部写真に撮った。腰が痛い。

2月23日(月)

昨日から突然暖かくなって、花粉がやばい。涙が止まらない。いつも、花粉症を発症する前に病院に行って予防せねばと思っているのに、一度も事前に対処できたことがない。だから症状が辛くても文句が言えない。一生こうなのだろう。行き当たりばったり。まだマイナンバーカードも作れてないし、免許も失効しちゃうし、ペイペイの使い方もわからないし。ややこしいことは後回しにしてしまう愚かな人間。

2月24日(火)

12時。とある短編映画の審査会。審査委員長は奥田瑛二さん。リモートで行われたのだが、奥田さんのカリスマ性が画面越しなのにすごかった。審査員の意見は割れたのだが、それも奥田さんは面白がっていた。僕はどうしても「上手」な映画を評価することはできない。「そうせざるを得ない下手さ」のようなものを映画に求めているのだな、と議論していて気付かさせられた。

14時。契約書の整理。経理処理。そのための根回しの連絡。試写室の調整。苦手すぎるけれど、やらないといけないことなので、やらないといけない。(当たり前だぞ)

2月25日(水)

開発していたとある映画が制作中止になった。全力で脚本を書き切ることができていた。爆発的なイメージを摑(つか)み取ることができていた。悲しい。そして私に作品を預けてくれた原作者に申し訳ない。

13時。目黒で行われていた下浜臨太郎さんの『ニュー即物主義』という二人展を見る。プラスチック的なもの/アスファルト的なものの魅力に気づく。プラスチックは環境的には全肯定できないけれど、埋立地で生まれ育った僕にとっては「草花」の良さと同じくらい、本能的なときめきを感じる。のだ!

2月26日(木)

9時。とある新商品の広告企画のプレゼン。歌を作った方がいいと思い、クライアントさんの前で歌詞を読み上げたが、みんなポカンとしていた。歌詞の朗読ってかなり地獄の時間だ。でも強い心で、最後まで読み切ったよ。乗り越えたご褒美に、お昼ご飯はレバニラ炒め大盛りを食べた。

13時。『炎上』のマスコミ試写にて、来場者の方へご挨拶。試写室の方が「この映画はすごい」と興奮して語ってくれたのが嬉しかった。

15時。3月に出る『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』(ダイヤモンド社)という本の取材。誰でも脚本を書くことはできると思っていて、そのための情報を全部書き残した。去年の夏を全て捧げて書いた本。取材で答えながら、レバニラのせいで口が臭いことに気づいて、声が小さくなる。

2月27日(金)

尾道映画祭に呼ばれたので、初めて広島県の尾道に来た。尾道といえば大林宣彦!大好きな監督なので彼がたくさんの作品を残した尾道にはずっと来たかった。坂が多い。そりゃカメラを回したくなるよという町並み。

夜『そうして私たちはプールに金魚を、』を上映。打ち上げで一緒にイベントに参加した、川上さわ監督と劇作家の川村智基さんたちと語り明かす。今この瞬間をどのアングルで撮るべきか?「煮卵食べたいな」をどう演出するか?などを話す最高の時間だった。友達になれた気がする。

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