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私が私である理由 with マックスマーラ vol.4 俳優、映画監督、岡本多緒「その時のジェンダーエクスプレッションを楽しんでいる」。

  • 2026.2.24

14歳からモデルとしてファッション界に入り、高校時代はイギリスに留学。2006年からは単身フランスへ渡り、パリコレクションに参加した以降はミラノ、ロンドン、ニューヨークのトップメゾンショーへ多数出演し、世界トップクラスのモデルとなる。その後、俳優として才能を開花かせ、映画監督としても作品を発表。

まさに自らの力で運命を切り開いているのが、岡本多緒だ。マックスマーラが提唱する、卓越した存在という意味を持つ"Remarkable Women"を体現する、彼女の生き方とは。

岡本多緒を紐解く3つのこと

感じるがままに、自分を慈しむ服を選ぶ

ジェンダーエクスプレッションに合わせたファッションで自分の多面性を表現

「その時のジェンダーエクスプレッションを使い分けるというか、楽しむことが私にとってはおしゃれをする行為に繋がっています」。プライベートはもちろん、モデルとして、俳優として、さまざまな面から「装う」ことに触れてきた彼女にファッションで大切にしていることを聞くと、こう返ってきた。

ジェンダーエクスプレッション(ジェンダー表現)を使い分けるというのは、その日の場面や状況、気分、会う相手、環境の安全性の違いに応じて意図的に「女性的な表現」「男性的な表現」「中性的な表現」などを切り替えて使うこと。

「モデルの仕事を通していろんなお洋服に袖を通してきたのですが、その度に違う女性になる、違う人物になるという行為が好きで続けています。普段からも、ひとつのスタイルに絞るというより、マニッシュな日もあれば、フェアリーなドレスを着る日もある。その日その日で自分がまとうジェンダーエクスプレッションを使い分けると、本当に着ているものひとつ、履いてるものひとつで歩き方が変わり、ボディランゲージが変わる。そういうファッションの楽しみ方が自分は好きだなと思っています。さらに突き詰めると、そうさせてくれる着心地の良さや仕立ての良さの需要性にも気がつくんです

自分らしさが求められる時代に乗って

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ジャケット¥680,900 トレンチコート¥646,800 シャツ¥100,100 ショートパンツ¥129,800/以上マックスマーラ(マックスマーラ ジャパン)パンプス/スタイリスト私物

自分の個性を服と同化して見せるモデルの仕事から、役柄を通して自身の感情や考えを前面に出さねばならない女優の仕事へ、確実に一歩づつ移行してきたその道のりはどういうものだったのだろう?

「昨今、ファッション自体の発信の在り方が、いろんなテクノロジーを含めて、スチールから動画の時代へ移行しています。モデルは自身の言葉を持たなくても、喋らなくても、美しければそれでいいという時代があって、一枚の写真でしか判断されず、自己PRをさせてもらえず悔しさを感じることも多々ありました。けれど、動画コンテンツの台頭やソーシャルメディアの在り方の変化が起こって、いまはその人の"らしさ"が動いたときに出てくるような人材が求められる時代になったと私は思っています。やっぱりパーソナリティがないと面白くないよね、という時代に移行したことが、私の性質にはあっているんじゃないかと感じます」

小さい頃から長身で、否が応でも目立つ存在だったことが、モデルへの道に繋がっていった。しかし、そこから芽が出るかは、自分を磨く努力で道を切り開くしかない。

「私はモデルの仕事として海外をベースに置き、母語じゃない環境で闘わないとならなかったので、自分の人間性を見てもらうということは意識して努力した部分です。モデルを始めたきっかけはコンプレックス。背の高さを活かせるようなスポーツのセンスがなくて、モデルなら自信につながるかなと。人の真似をするのが好きではなくて、学校の課題や宿題で何かを表現する時も人とは違う切り口に重きを置いて取り組む子どもでした。昔からユニークでありたいっていう気持ちはすごくありましたね

いつだって情熱と信念に従って前進する

涙が止まらない日もあったけど、振り返ればすべてが必要なプロセスだった

彼女にとっての大きな転機は2013年、マーベル映画『ウルヴァリン:SAMURAI』で、ヒュー・ジャックマン主演のヒロイン役に大抜擢されたこと。以降、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)、『ラプラスの魔女』(2018)、HBOドラマ「ウエストワールド」(2018)、『沈黙の艦隊』(2023-25公開/配信)などに出演。 「傍から見ると順風満帆に見えるかもしれないけど、実はそうではないんです」と意外な言葉が飛び出てきた。

「23年頃、長い間トライしていたハリウッドの映画のオーディションがあったんです。大きなプロジェクトで先方も気に入ってくださって、自分が演じることができればいいなと思っていたのですが、オーディションのプロセスの中で日本人女性に対するステレオタイプな要求にどうしても相入れない気持ちが大きくてなってしまったんです。それではじけちゃったというか、燃え尽き症候群みたいになってしまった。そこから日本に帰国して、"自分でやってみよう"と、映画を撮り始めました」

同年に日本に戻ってTAOから岡本多緒名義に変更。初の短編映画『サン・アンド・ムーン』(企画・監督・脚本・出演)は第36回東京国際映画祭のAmazon Prime Videoテイクワン賞ファイナリストに選出された。

「3作短編を撮って、それなりに誇れる部分はあるのですが、まだまだ勉強しなきゃなっていう部分が多くて。いつかは長編を撮りたくてアイデアを煮込んでいるところ。もっと映画界との繋がりも深めて、チャレンジできたらなと考えています」

日本に戻っての大きな出会いが濱口竜介監督の最新作『急に具合が悪くなる』(26年公開予定)。宮野真生子・磯野真穂著『急に具合が悪くなる』(晶文社刊)をベースにした物語で、主人公に抜擢されたのだ。彼女が演じるのは末期疾患を抱える日本人劇演出家の森崎真理。介護施設のディレクターを務める、フランス人のマリー=ルー(ヴィルジニー・エフィラ)との交流が軸になっているという。

日本に戻ってからの時間は、自分の中では本当にぐちゃぐちゃ(笑)。どうしよう、これからと涙が止まらない日もありました。いまはそういう時期なんだと自分に言い聞かせながら過ごしていましたが、あの一連の苦しい時期がなかったら、きっと濱口監督にも出会えていなかったし、全部、必要なプロセスだったなと思います」 

自分の生き方に変化をもたらす、愛ある服と言葉を纏って

濱口監督との出会いで、もうひとつ得たのが自分の思考との向き合い方だったという。

「わたしはすごく合理的な人間で、スタート地点からゴールまでいかに最短ルートでいけるかを、ずっと考えている人間なんです。でも、ある時、濱口監督に"答えがわからないままやってみてくれないか"と言われて。"それはきっと、この映画だけじゃなくて、多緒さんのこれからの仕事や人生にもいいんじゃないかと勝手に思っています"と、控えめに伝えてくださった。言うのに勇気がいる言葉だったと思うんです。その瞬間は少しショックを受けたりもしたのですが、時間が経つにつれて、自分に変化をくれた言葉だと、強く心に残っています」

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ジャケット¥544,500パンツ¥161,700/ともにマックスマーラ(マックスマーラ ジャパン)パンプス/スタイリスト私物

今回のシューティングで袖を通したジャケットはマックスマーラにおいて最高峰のテーラードスーツプロジェクト「サルトリアーレコレクション」のもの。メンズテーラリングの伝統的な技法を女性向けに再解釈した、職人技を極めたジャケット&スーツコレクションで、ジャケットの内側にキャンバス地(毛芯)を入れ、手作業で数百針の伏せ込みなどを行い、通常のジャケットの2倍以上の時間をかけて作ったものである。何事も合理化を叫ばれる世の中で、着るだけで差がわかる高級感と耐久性、快適さを追求する姿勢は特筆に値する。

背筋がすっと伸びる感覚というか、今すぐ街に出て道を闊歩したい。肩が開き、胸が前に出るから、すごく背中を押してもらえる。これを纏うことで、自分がより強い存在になれているような感覚にしてもらえる。職人さんが魂を込めて手縫いしていることが感じられる服はどんどん希少になっていますよね。とてもスペシャルなものだなと思いますし、大切に使いたい、愛着の湧く一着です」 

最後に、マックスマーラの理念である"Remarkable Women"についての考えを聞いた。

"非凡"や"目立つ"ということは私が小さい頃から大切にしていた要素。私が10代の頃は、女性が群れから外れて目立つ存在になることはあまり応援されてこなかった。いまの若い世代は違うんでしょうし、そうあってほしいなと思う。人と違うこと、非凡であることを、それを恐れないことをブランドとして応援してくれる。その理念にすごく共感します

Information

【ポップアップストア"TAILLEUR SARTORIALE"が開催】マックスマーラのテーラリングの美学とサルトリアーレの精神を体感できるポップアップストアが阪急うめだ本店に登場。卓越した職人のクラフトマンシップにオマージュを捧げたスペシャルディスプレイが施された特別な空間には、ここでしか手に入らない限定アイテムも登場する。

会期:2026年2月25日(水)~3月3日(火)会場:阪急うめだ本店 本館1階コトコトステージ11(住所:大阪府大阪市北区角田町8-7)開催時間:10:00~20:00

問い合わせ先:マックスマーラ ジャパン0120-030-535(フリーダイヤル)https://jp.maxmara.com/

Tao Okamoto1985年5月22日生まれ、千葉県出身。14歳の時に東京コレクションでモデルとしてデビュー。2006年に渡仏しパリコレに参加。TAOの名義でミラノ・ロンドン・ニューヨークと数々のトップメゾンのショー、雑誌、ワールドキャンペーン広告に多数出演し、トップモデルとして活躍。13年、米映画『ウルヴァリン:SAMURAI』でスクリーンデビューを果たし、その後もハリウッド作品を中心に、国内外で数々のドラマや話題作に出演。23年より、拠点を日本に移し"岡本多緒"として活動をスタート。企画と監督、脚本、出演を自身で手がけた短編映画『サン・アンド・ムーン』が、第36回 東京国際映画祭Amazon Prime Video テイクワン賞のファイナリスト作品に選出されるなど、多方面で活動の幅を広げている。26年公開の濱口竜介監督最新作『急に具合が悪くなる』に、ヴィルジニー・エフィラとW主演。ポッドキャスト「エメラルド プラクティシズ」のホストを務め、気候危機や社会問題の啓発活動にも取り組んでいる。

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