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「押せば何とかなる」と休日に知人宅へ押しかけた長男→紹介した私が大切な人を失ったモヤモヤ

  • 2026.5.12
「押せば何とかなる」と休日に知人宅へ押しかけた長男→紹介した私が大切な人を失ったモヤモヤ

叱られたことのない長男

長男に、長年の付き合いがあった知人の娘さんを、お見合い相手として紹介したことがあった。

家柄も悪くなく、跡取りとして地に足のついた縁談になればという、ただそれだけの気持ちだった。

長男は、田舎の本家でひとり大事に育てられた人だった。

若い頃に交通事故を起こしても、年を重ねてからわがままを通しても、両親からも祖父母からも一度も叱られたことがないと、本人が笑いながら話す。

「うちはそういう家だから」が口癖のような人だった。

お見合いの席は穏やかに進んだが、その後、知人から電話が入った。お嬢さんは一度会っただけで、丁寧に縁談を断りたいとのことだった。

理由はあえて聞かなかった。お嬢さんがそう感じたのなら、それが答えだろうと思った。

長男にも、その旨を仲人として伝えた。深く頭を下げて、丁寧に話したつもりだった。

けれど長男は、私の話の途中で、ふっと笑って首をかしげた。

「押せば何とかなる」

そう独り言のようにつぶやいて、その場では「分かりました」と頷いてみせた。私は、その横顔に走る微かな違和感を、その時はうまく言葉にできなかった。

休日ごとに鳴り続けたインターホン

違和感の正体が見えたのは、それから数週間後だった。仲人である我が家を通すこともなく、長男は休日ごとに、知人の自宅へひとりで押しかけるようになっていた。

玄関先で「ちょっと挨拶だけでも」と粘り、お嬢さんを呼んでくれと頼み込み、断られても次の週末にはまた現れる。それを何週も繰り返したらしい。

ある夜、知人から、いつもより硬い声で電話が入った。普段は穏やかな口調を崩さない人が、言葉を選びながらも、はっきりとこう告げてきた。

「もう来ないよう伝えてもらえませんか」

聞いた瞬間、頭の中で何かが崩れる音がした。私は受話器を握ったまま、何度も何度も謝った。

けれど、いくら謝っても、知人の声が元の柔らかさに戻ることはなかった。

翌日、私はお詫びの品とお金を包み、知人の家へ伺った。

玄関先で深く頭を下げ、紹介した立場として責任を取らせてほしいと話した。知人は受け取りながらも、最後まで目を合わせてはくれなかった。

本家の長男は、私からどれだけ強く伝えても「そんなに迷惑だったかな」と首をかしげるだけだった。

叱られた経験のない人に、人が傷つく境界線は、最後まで届かなかった。

あの一件以来、知人とは年賀状のやり取りも途絶えた。長年こちらの愚痴を笑って聞いてくれた、数少ない大切な相手だった。

誰の悪意でもないところで、人と人の縁が静かに切れていく。お詫びの帰り道、空がやけに広く感じた夕方の景色を、いまでも覚えている。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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