1. トップ
  2. エンタメ
  3. 【ネタバレあり解説】観た人それぞれにツッコミたくなること満載で最高『プラダを着た悪魔2』

【ネタバレあり解説】観た人それぞれにツッコミたくなること満載で最高『プラダを着た悪魔2』

  • 2026.5.9

ちょっとした時間があるとき、未見の映画やドラマに手を出したいんだけど、分かんないから好きなのを繰り返し観ちゃう……という方。映画ライターよしひろまさみちが実際に観て偏愛する作品を、ネタバレ上等な私見&本音でおすすめしますよ〜。

よしひろさん、「きのう何観た?」 『プラダを着た悪魔2』

story ファッション誌『ランウェイ』の名物編集長ミランダ(M・ストリープ)がSNSで大炎上。そこで、20年前に彼女のアシスタントだったアンディ(A・ハサウェイ)がフィーチャーズエディターとして着任。彼女らはナイジェル(S・トゥッチ)と共に指針を模索し、元同僚で今は『ランウェイ』誌の広告クライアントであるディオールの広告責任者となったエミリー(E・ブラント)に連絡を取ることに。
監督:デヴィッド・フランケル/原作:ローレン・ワイズバーガー(『Revenge Wears Prada: The Devil Returns』)/出演:メリル・ストリープ、アン・ハサウェイ、エミリー・ブラント、ジャスティン・セロー、ケネス・ブラナー、スタンリー・トゥッチ ほか/配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン/公開:現在、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー中
© 2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

進化したテーマとおしゃれ

ということで、公開3日で日本の興収や約10億円、世界全体で2億ドル超えのロケットスタートをきりました『プラダを着た悪魔2』。もう観たわよね。ええ、観たこと前提でいきますよ。
 
06年版のテーマは「組織、社会の一員としてお仕事を続けるためには、どこにモチベを置くか」でした。アンディ、エミリーともに20年で着実に経験を積んだので、今作はそこをさらに掘り下げた「成功体験に頼らない信用と信頼」が大テーマ。いや、いろいろあるのよ。06年版だって、パワハラ、ガラスの天井などなど、当時の社会にはびこるダメな常識をシニカルな笑いであぶりだしたんだから、今作もそう。
 
たとえば、ジンちゃんががんばったミランダvsコンサルのカフェテリア密会なんて「コストカットするのいいけど、浮いたお金全部コンサルいくじゃん」。はたまた死亡フラグ立ってた会長他界後に化繊のトレーニングウェアのドラ息子就任ってのも前者同様大企業あるあるの話だし。ミラノでのミランダvsガガ様とか、ゴシップでも最近みられない「雲の上で繰り広げられるセレブバトル」だし。編集会議でのミランダvs若手編集者も、どんなに経験豊富でコネもパワーもある編集長でも読めない、デジタルネイティブ世代の情報処理速度の現れだし。いや、めちゃくちゃある。そしてツッコミどころも満載なの。
 
ただ、前作もそうだったように、観た人それぞれにツッコミどころがあるから、鑑賞後が盛り上がるってもんよ。それもSFでもファンタジーでもなく、リアル世界のコメディだから、自分ごとに落とし込めちゃう。あー、こういう劇場公開映画、ほんっと少なくなってきたから最高よ。

ビスチェでギュッと絞ったトップスにゴルチエ様のワイドパンツって……元ネタはマドンナね。

で、最高だったのはやっぱファッションね。前作は某ウィンター様などを怒らせていたので、パトリシア・フィールド姐さんが奔走してかき集め。ぶっちゃけ言いますと、前作のとき、各ブランドは「どうなるかわからん」映画には一切手を貸さない! とお怒りだったわけですわ。だからこそ、本人登場どうもどうもなヴァレンティノ以外は、パット姐さんのコネとコーデセンスがギラギラ光っていたのよねー(それゆえに、当時はSATCとの比較をよくされていましたもの)。
 
だがしかーし、パット姐さん、御年84歳。もう好きにやりたいでしょうよ。しかもあのお方、めちゃいい人&仕事大好きだけど、前しか見てないから、続編を手掛けるなんてノンノン(と言ったかはしらんけど)。つーことで、今回はモリー・ロジャースが担当。彼女も申しております、「私たちはパットがやったことを受け継いだだけ」と。
 
(ちなみに、そんなパット姐さんは、23年にドキュメンタリー映画と回顧録を発表、24年にブティックを再開店、25年にサマンサことキム・キャトラルの結婚式の衣装スタイリングをしたりで、やりたいことやりまくりでお元気です)。
 
 

前作よりもぶっ飛び感や可愛さが足りない! という声も聞こえておりますよ。ええ、たしかに。でもよ〜く考えて&観て。ファッションを知らないおぼこい時代のアンディが、着せ替え人形のようにシャネルやディオールを着まくったモンタージュシーンは、全てナイジェルのコーデっていう設定。今作は報道記者として成功したアンディが自分で選んだことに意味がある。そう考えると、編集部復帰初日のメゾン マルジェラのジャケット(古着)にリーバイスのデニムなんてめちゃ上級おしゃれさんだし、普段着がサカイやAcneってチョイスもすんばらしい。それもこれも編集部での経験とナイジェルの教えがあったからなのよねー。ノーブランドのセルリアンのセーターで満足していた大学卒業したてのコが、「長く着られるよいもの」を選ぶことができるようになったんだもの(寝起きのアンディが着ていたビョークのTシャツが現在プレミア価格になってるそうです。そこもかよ!)。
 

サンプルルーム、前作よりも狭くなってたの気づきました? これも世の流れ……(というか、こんな豪華な衣装部屋、日本の出版社にはありません!)

でも個人的に嬉しかったのは、編集部のクローゼットシーンねー。ミランダのハンプトン別邸に誘われたアンディが「着ていくもんがない!」とナイジェルにおねだりするあのシーン。ナイジェルがTPO的にも年齢的にも落ち着いたデザインを勧めているのに、アンディが頼み込んだのは「絶対シミつけるなよ!」とシミフラグを立てたガブリエラ ハーストのカラーブロッキングドレス(+クロエの厚底+アモール イ メスカルのハット+フェンディのバッグ+ブルガリのサングラス)。このシーンがあったことで前作とのつながりが一層強化されて、大ラスのセルリアンのニットベストも生きるし、ナイジェル昇進も生きるし。いや、最高かよ。
 
あ、アンディだけじゃありませんよ〜。ディオールお勤め(からのコーチに移籍する)エミリーのコーデもよきよ〜。シャツやバッグはディオールだけど、そこにウィーダーホーフトのビスチェ+ジャンポール・ゴルチエのワイドパンツでご出勤とか、く〜にくい。あー、ダメ。若手&ちょい役のファッションチェックもしたいから、何度かおかわりするわ。で、最後の最後で明かされる今回のフィクサーことナイジェルを観てまた涙するの!

元記事で読む
の記事をもっとみる