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厳しい環境で生き抜いてきた野良猫を家族に迎えてみたら…だんだん家族になっていく愛らしさと、命に対する責任の重さを描いたコミックエッセイ【書評】

  • 2026.5.5

【漫画】本編を読む

猫との出会いには「買う」「保護猫を引き取る」のほかに、「野良猫を拾う」がある。しかし誰にも守られることなく生きてきた野良猫との生活はどんなものになるか、気になる人は多いだろう。『野良猫ごんた、家猫になる』(オイル富/KADOKAWA)は、著者であるオイル富氏の庭に姿を現した1匹の野良猫が、少しずつ家族になっていく過程を描いたコミックエッセイだ。

主人公の猫・ごんたの見た目は「かわいい」とはかけ離れている。殺し屋のような鋭い目つき、どっしりとした体、そして「キェ」という独特な鳴き声。その姿からは、野良猫として生きてきたたくましさがにじみ出ている。

ごんたが家の庭に居ついたとき、すでに2匹の猫を飼っていた著者は、ごんたに飼い主が見つからないかと考えていた。しかし引き取り手は見つからず、その間にケガを繰り返したり、台風の日にはダンボールの寝床ごと飛ばされたりするごんたの姿を見ているうちに「自分が守るしかない」という思いが芽生え、迎え入れる決断をする。野良猫に限らず動物を飼うということは、その命に責任を持つということ。本作で描かれる著者の葛藤と決断から、命と向き合うことの重みが伝わってくるだろう。

そのうえで、ふてぶてしさの中にある愛らしさが絶妙に捉えられ、ごんたの独特の魅力が伝わってくる絵柄も印象的だ。ごんたが少しずつ家の中でお気に入りの居場所を見つけ、甘えた姿を見せる様子には、ごんたに対する愛情の深さが伝わってくる。

本作はただ「猫との楽しい暮らし」を描くだけでなく、動物を家族に迎えることの責任と、徐々に心が通っていく喜びを教えてくれる。猫を愛する人は共感し、いつか動物を飼いたいと思っている人には持つべき覚悟を教えてくれる作品だ。

文=坪谷佳保

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