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「1年着なかったら捨てる」は無理! 92歳インフルエンサーが明かす、誰でもできる〈片づけのルール〉「欲しい服は買う」「着ないけどあえて取っておくのは…」

  • 2026.5.3

エッセイ『92歳、好き放題で幸せづくし』(KADOKAWA)の著者・粟辻早重さん(92)は一人暮らしを謳歌中。「ムダなものは持たない」ことはとてもできないと語る彼女が行き着いた整理方法は「ところてん式」。新しいものを買ったら、その分古いものは捨てたり譲ったりするのです。

反響を呼んだ書籍抜粋記事のダイジェスト版をお届けします。

粟辻早重さん(エッセイ『92歳、好き放題で幸せづくし』より)©林ひろし

「えい!」と手放す潔さと、手放せないものの愛しさ

人生は一度きりだから、好きに生きなくちゃ――そう話すのは、エッセイ『92歳、好き放題で幸せづくし』の著者だ。その信念が最もよく表れるのが、買い物に対する姿勢である。「ほしいものは手に入れていい」という考え方は、若い頃の苦い経験から生まれた。結婚したばかりで生活が不安定だった頃、夫に「ぜいたくだよ」と止められ、下北沢の駅で泣いてしまったことがあるという。その体験が、今の自分をつくった。

長女が服を買うかどうか迷っていたとき、著者はこう背中を押したという。「ほしいと思った服は、今の自分が着たい服のはずです。『ぜいたくすぎるから』なんて理由でガマンしても未練は残ります。お金に余裕ができてからあらためて買ったとしても、そのときにはもう似合わなくなっているかもしれない」。ストイックに生きるより、その瞬間の感情や感動を味わうことのほうが大切だというのが、著者の本音だ。

一方で、物が増え続けることへの対策として著者が実践しているのが「ところてん方式」だ。新しいものを迎えるために、すでにあるものを送り出して収納スペースをつくる。「まだ使える」というだけで愛着のなくなったものを持ち続けるのは、かえってもったいないと考えるからだ。不要なものを「えい!」と手放すことで、身の回りの「好き」を増やしていく。

増えすぎた靴下を整理中。手元に残すものを決めたら、1足ずつそろえてたたんでおきます。靴下をまとめておく輪ゴムも、お気に入りのカラフルなものを使っています。(エッセイ『92歳、好き放題で幸せづくし』より)©林ひろし

しかしそれは、すべてを割り切ることを意味しない。「片付け上手な人は『1年着なかったものは捨てる』などとルールを決めていたりしますが、私には無理」と著者は語る。「今もこれからも使わないけれど持っていたいものもあるから」だという。

たとえば、クローゼットにある何十年も着ていない真っ赤なジャケット。黒・白・グレーばかりが並ぶなかで、「赤いジャケットを捨ててしまったら、ここから光がなくなってしまう!」という理由で持ち続けているという。また、亡き夫のカシミヤのセーターは、風邪をひいたときのガウンがわりとして今も活躍中だ。「夫に抱きしめられているような気分になれるんです」と著者は語る。

欲がなくなっていくことに寂しさを感じるとしみじみ話したところ、長女から「買い物に行くと、必ずほしいものを見つけてるじゃない!」と返されたという。92歳になった今も、好きなもので自分の人生を彩りたいという欲はたっぷりある――そんな著者の言葉は、「必要かどうか」より「好きかどうか」を大切にする生き方の豊かさを、静かに教えてくれる。

粟辻早重(あわつじ・さなえ)

カネボウ意匠室にてテキスタイルデザイナーとして勤務後、テキスタイルデザイナーの故・粟辻博と結婚。1958年に粟辻博デザイン室を共同設立。娘の出産を機に人形作りを始め、デザイナーの田中一光や剣持勇に人形作家として見いだされ、個展をしつつ広告も手掛ける。本を執筆するほか近年は世界のヤカンを蒐集。2024年に松屋銀座・デザインギャラリー1953にて「粟辻早重とやかんたち」を開催。

文=粟辻早重
写真=林ひろし

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