1. トップ
  2. 恋愛
  3. 名女優が紐解く韓国時代劇の世界③コ・ヒョンジョン…あの頃キミは若かった

名女優が紐解く韓国時代劇の世界③コ・ヒョンジョン…あの頃キミは若かった

  • 2026.5.2

韓国史を飾った数々の女たち。その半生や功績は、数々の時代劇ドラマで映像化されているが、歴史人物を演じた女優たちは、どんな感想を持っているのだろうか。

その制作秘話も含めて、韓国の人気女優たちが語ってきた「時代劇論」を通じて、当時の女たちの生きざまについて考えてみたい。

歴史資料が少ない美室を演じて感じたコ・ヒョンジョンの本心

ドラマ『善徳女王』が韓国はもちろん、日本でも人気を博した大きな理由として挙げられるのが、美室(ミシル)に扮したコ・ヒョンジュンの名演技だろう。

不朽の名作ドラマ『砂時計』で一躍、スターとなった彼女にとって、『善徳女王』は初の時代劇。しかも、清純派のイメージが強い彼女にとっては大挑戦と言える、初の悪役でもあった。彼女は言っている。

「美室は女性というよりも、ほとんど戦士に近い女性ですね。目的意識にあふれ、自分がしようとすることに、いっさいの疑念もない、強い女性ですよね」

もっとも、美室に関する歴史資料は少なく、生没年も不明。そもそも、本当に実在したかどうかもわからない。1989年に筆写本が発見された歴史書『花郎世紀』に、生きざまが書かれている程度。ドラマのキャラクター設定には、脚本家の想像も含まれていた。そんな美室を演じながら、コ・ヒョンジョンはどんなイメージをいだいたのだろうか。

「私の考えでは、美室はとても寂しがり屋で孤独な人間だったのではないかと思います。彼女は生き残るために、もっと言うと汚い権力争いの連続であるパワーゲームに負けないために徹底的に努力した。その姿は一見すると強くも見えますが、彼女自身の内心では常に緊張し、恐れをいだいていたと思うんです。そんな女性だったのではないでしょうか」

もっとも、美室を演じるのは苦労の連続だった。なにしろコ・ヒョンジョンにとっては初の時代劇だ。

「主人公ではなかったので、気が楽だった部分もあります(笑)。ただ、私にとっては初めての時代劇。セット、メイクや衣装、照明、セリフのトーンなど、すべてが新しく新鮮な作業と経験でした。たとえばメイクをするにも3~4時間かかるのは当たり前でしたから、これまで私が取り組んできた作品の撮影準備とは明らかに異なりました。ただ、役者としては新しいジャンルに挑戦すること自体、意義のあること。挑戦心を燃やしてくれる、良い刺激剤になるということが大きな魅力でもありました。私にとっては、本当に忘れられない作品になりました」

『善徳女王』のすべての撮影を取り終えたあと、「撮影期間中は美室のおかげで幸せだった」と語ったコ・ヒョンジョン。名女優はその演技で、歴史に埋もれていた1人の女性を、鮮やかに生き返らせたといっても過言ではない。

文=森下 薫

元記事で読む
の記事をもっとみる