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ハワイでもNYでもない。48時間で恋したメンフィス【人気エディター・川口ゆかりの「ふたり暮らしのおしゃれレシピ」第113回】

  • 2026.5.2
YUKARI KAWAGUCHI

ハワイやニューヨークのような王道のアメリカ旅も素敵。けれど今回は、少し視点を変えて、まだ知らないアメリカに向かいたくなりました。

訪れたのは、音楽と歴史が今も息づく南部の街、テネシー州メンフィス

ブルースが流れ、ソウルが生まれ、公民権運動の記憶が静かに刻まれる場所です。華やかさだけではない、奥行きある48時間のアメリカ旅を振り返ります。


DAY1:到着した瞬間から、この街にはいい空気が流れている

YUKARI KAWAGUCHI

滞在先に選んだのは、1869年創業の名門ホテル「ピーボディー・メンフィス(The Peabody Memphis)」。「ビール・ストリート」やエルヴィスも通った名店「アーケード・レストラン」へも徒歩でアクセス可能と、観光の拠点として申し分ないロケーションです。

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ロビーへ一歩足を踏み入れると、高い天井の下にピアノの音色がふわり。旅人たちはソファでくつろぎ、地元の人々は自然体で行き交う——その景色がなんとも絵になる。到着したばかりなのにもう”気”がいい。

▲アヒルを先導するのはハッピーオーラ全開のケノンさん。 YUKARI KAWAGUCHI

このホテルの名物イベントが毎日開催される「ダック・マーチ」。ホテルの屋上で飼育されている5羽のアヒルたちがロビーのレッドカーペットを堂々と歩くユニークな演出です。

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館内からは自然と歓声が上がり、大人も子どもも笑顔に。格式あるホテルで、ここまで遊び心を本気で貫いているなんて……好き。

ウエルカムスイーツももちろん、ダック♡

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滞在したソファ付きのエグゼクティブ・キングルームには、キングサイズのふかふかベッドをはじめ、大きなソファや大理石のバスルームを備え、贅沢で心地よく過ごせる空間が広がります。

絵画や枕カバー、アメニティの石鹸にまでダックのモチーフがさりげなく散りばめられているのも、このホテルならでは。

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ロビーでいただいたオリジナルカクテルにも、さりげなくダックが。品格あるホテルに添えられた遊び心、そのギャップがなんとも魅力的で、1日目にしてすっかりこのホテルの虜になってしまったのでした。

DAY1 夜:美食に酔い、音楽に包まれるメンフィスの夜

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初日のディナーはメンフィス在住ガールズのイチオシ「フェリーシャ・スザンヌ(Felicia Suzanne’s)」へ。南部料理をベースにフレンチやクレオールのエッセンスを効かせた人気店です。

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案内されたのは、キッチンのすぐそばにあるテーブル。シェフの掛け声や手際を間近で楽しめる熱気ごと味わえる、なんとも贅沢なポジション! エンタメ性も抜群です。

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揚げたグリーントマトにベーコン、濃厚チーズ、スパイスの効いたソースを重ねた一皿は、ひと口目から鮮やか。コクがあるのに重たくない。旅先でこういう一皿に出会えると、気分がぐっと上がりますよね。

食後は、そのままビール・ストリートへ

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お腹が満たされたら、この街の象徴ともいえるビール・ストリートへ。

ネオンが灯る通りにはライブバーが並び、歩いているだけであちこちから音楽が流れ込んできます。まるで街全体がテーマパークのよう。

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そのなかから「BBキングス・ブルース・クラブ(B.B. King’s Blues Club)」へ。

目の前で生バンドの演奏が始まった瞬間、空気が一変。低く響くベース、体の芯まで届くリズム、客席の熱気に一気に引き込まれます。しかも、本場のライブがテーブルチャージわずか10ドルほどで気軽に楽しめるというのだから、驚き。音楽が特別なご褒美ではなく、日常にある。メンフィスとは、なんと恵まれた環境なのでしょうか。

DAY2:スターの記憶と音楽の原点をたどる朝

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2日目の朝食に訪れたのは、1919年創業の老舗「アーケードダイナー(The Arcade Diner)」。エルヴィス・プレスリーが生前たびたび通っていたことでも知られるこのレストランには、どこか懐かしいアメリカンダイナーの空気が漂っています。

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さっそく、エルヴィスが愛したとされる、ピーナッツバター&バナナサンド(約12ドル)をオーダー。正直、甘すぎるのでは? と半信半疑だったのですが……香ばしさと塩気、バナナの甘みのバランスが絶妙で、気づけばぺろり。エルヴィスの審美眼、侮れませんな。

続いて向かったのは「サンスタジオ(Sun Studio)」

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「サンスタジオ(Sun Studio)」は、エルヴィス、ジョニー・キャッシュ、ジェリー・リー・ルイスらが、まだ無名時代に録音していた伝説のスタジオ。外観は驚くほど控えめで、うっかり通り過ぎてしまいそうですが……

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ひとたび中へ入れば、数々のスターたちが実際に使用したマイクやギター、当時のレコーディング機材がそのまま置かれ、今にもセッションが始まりそうな空気感! ここには音楽史を変えた熱量が今もそのまま息づいています。

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続いて訪れた「スタックス・ミュージアム(Stax Museum of American Soul Music)」も、この街を語るうえで欠かせない場所。

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館内には、アイザック・ヘイズの象徴的なキャデラックも展示。人種隔離の時代に黒人と白人のミュージシャンが同じ空間で音楽を生み出していたこの場所には、時代の痛みと希望、その両方が確かに息づいていたのでしょう。そう思うと、じんわり胸に迫るものがありました。

DAY2 昼:本場BBQの破壊力に降参

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2日目のランチは、地元客でにぎわう「セントラル・バーベキュー(Central BBQ)」へ。

「バーベキューなんて、日本でも食べられるじゃない!」と思われるかもしれませんが、この地で食べるBBQは日本でイメージする屋外グリルではなく、メンフィスを代表する南部料理のこと。

低温でじっくり燻製した肉にスパイスをすり込んだり、甘じょっぱいソースを合わせて楽しむ、この街が誇る食文化です。

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まずは王道の骨付きポークリブ(サイドディッシュ2つとパン付きで約37ドル)といきましょう。お肉にナイフを入れると身がほろり。スモークの香り、凝縮した旨み、後から追いかけてくるスパイス感。ひと口で無言、二口目で笑顔に♡ これは誰もが好きな味。行列なのも納得です。

DAY2 午後:沈黙が語りかける、もうひとつのアメリカ

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旅の終盤に訪れた「国立公民権博物館」は、この街を理解するうえで欠かせない場所。マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師が1968年に暗殺された現場に建てられています。

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実際にこの場所に立つと自由や平等という言葉は、教科書の中の理念ではなく、誰かの勇気ある決断と行動、そして数えきれない犠牲の先に築かれてきたもの。展示のひとつひとつがその重みを静かに語りかけてきます。

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当時の写真や映像から、公民権運動が決して遠い過去の出来事ではなく、今の社会にもつながる問いであることを改めて実感。胸が締めつけられる場面もありながら、深く考えさせられる時間でした。こうした価値観を揺さぶられる体験があるからこそ、遠くまで旅する意味があるのかもしれませんね。

DAY2 夜:最後は少しドレスアップして

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旅のラストディナーは、ホテル内にある「シェ・フィリップ(Chez Philippe)」へ。

こちらは、メンフィスで唯一、AAAファイブダイヤモンドとフォーブス4つ星の両方に認定されている名店。街を代表するファインダイニングとして、高い評価を集めています。

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料理を手掛けるのは、シェフのキース・クリントン。USAトゥデイ紙では全米のベストホテルレストランのひとつとしてたびたび選出され、2023年から2025年まで、全米トップクラスのレストランとしてランクインしているのだとか。

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少しずつ多彩な味わいを楽しめる7コースは、南部らしい豊かさとフレンチの繊細さが美しく共存。なかでも印象的だったのが、和食にも関心を寄せるシェフらしい一皿。マグロにハーブと酸味を効かせたソースを合わせた味わいは、驚くほど洗練されていて絶品でした。

賑やかなBBQもいいけれど、記念日や絶対に外したくない特別な夜には、こうした空気感ごと楽しめるレストランをリザーブするのも良さそうです。

48時間で知ったメンフィスの本当の魅力

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ニューヨークの煌めきでも、ハワイの楽園感でもない。通りには音楽が流れ、食には土地の誇りがあり、歴史は今も静かに息づいている。メンフィスは、じわじわと心に残る街。次のディスティネーションにぜひ。

写真・構成/川口ゆかり

※この記事は2026年5月2日時点のものです。最新情報はメンフィス観光局の公式サイトをご覧下さい。

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