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ハワイの小鳥たち、実は互いの巣から「建材を奪い合っていた」

  • 2026.4.16
ハワイの小鳥たちは互いの巣の材料を盗みあっている / Credit:Wikipedia Commons

鳥が巣を作る姿は、どこかほほえましいものです。

枝や苔をくわえて運び、少しずつ形を整えていく様子は、自然の中の穏やかな営みに見えます。

ですがその裏では、他の鳥の巣から材料を“盗む”行動が頻繁に起きていることがわかりました。

しかもこの行動は、単なるずる賢さでは済まず、場合によっては巣の失敗に関わる可能性があります。

アメリカのカリフォルニア大学リバーサイド校(UCR)の研究によって、ハワイの森林に生息する小鳥たちが、日常的に互いの巣から建材を盗み合っていることが明らかになりました。

この行動は、すでに厳しい環境に置かれている在来種の繁殖成功や個体数の維持に影響する可能性があります。

研究は2026年4月8日に『The American Naturalist』に掲載されました。

目次

  • ハワイの小鳥たちは互いの巣の建材を盗みあっている
  • 建材を奪われると、5%の確率で「巣作り」が失敗する

ハワイの小鳥たちは互いの巣の建材を盗みあっている

鳥が他の巣から材料を盗む行動は、これまでも現場の観察者の間では知られていました。

しかし、それは主に断片的な目撃にとどまっており、「どのくらい起きているのか」「どんな条件で起きるのか」といった基本的な点は、きちんと調べられてきませんでした。

今回の研究の目的は、この見過ごされてきた行動を体系的に記録し、どんな条件で起きやすいのか、巣の成功にどのような影響を及ぼす可能性があるのかを明らかにすることでした。

研究チームはハワイ島の森林で、在来の森林性小鳥たちが作った216個の巣を観察しました。

対象には、ベニハワイミツスイ、アカハワイミツスイ、ハワイミツスイなど、樹上に巣を作る鳥が含まれています。

こうした巣を継続的に見守り、どの鳥が、どの巣から、どのように材料を持ち去るのかを記録していきました。観察は約6か月にわたって行われています。

その結果、巣材の盗みは決して珍しい行動ではなく、一定の頻度で起きていることがわかりました。

また、盗まれる頻度は、その種の巣の多さと関係していました。

簡単に言えば、森の中で数が多く、巣も多い鳥ほど、盗みのやり取りに巻き込まれやすかったのです。

さらに、鳥たちは自分が普段餌を探している高さと同じくらいの場所にある巣から材料を盗む傾向がありました。

そして特に注目されたのが、盗みのあとに起きた巣の失敗です。

記録された39件の盗みのうち2件では、その直後に巣の失敗が確認されました。

割合にすると約5%です。

これは盗みが必ず巣の失敗を引き起こすと示したものではありませんが、少なくとも一因になりうることを示しています。

次に、この盗みの動機とそれがもたらす深刻な影響について考えてみましょう。

建材を奪われると、5%の確率で「巣作り」が失敗する

今回の研究で面白いのは、巣材の盗みが特別な“悪さ”として起きているというより、鳥たちの日常行動の延長にあるように見えることです。

鳥たちは森の中で、それぞれよく活動する高さ帯を持っています。

そして餌を探して移動する中で、同じ高さにある巣に出会い、そこから材料を持ち去っている可能性が高いと考えられます。

つまり、遠くの巣をわざわざ探しに行くというより、ふだんの行動範囲で見つけた材料を再利用しているような姿が浮かび上がってきます。

また、盗みの対象の多くは、すでに使われなくなった巣でした。

しかし約10%は、まだ建設中だったり、卵やヒナが入っていたりする活動中の巣でした。

こうした巣では、材料を奪われることで巣の状態が損なわれたり、親鳥が巣を離れたりするおそれがあります。

実際、研究者は、巣の構造が損なわれたことや、親鳥がいなくなったことと結びつく失敗例を観察しています。

一見すると、5%という数字は小さく感じられるかもしれません。

ですが、ハワイの在来鳥類はすでに、生息地の変化、病気、気候変動といった複数の問題にさらされています。

とくに、蚊が媒介する鳥マラリアの影響で、高地へと追いやられている鳥も少なくありません。

そうした状況では、巣材の盗みのような一見ささいな行動でも、繁殖の成功率を少しずつ下げ、個体数の減少を後押しする可能性があります。

さらに興味深いのは、この盗みが別の種の巣に対してだけでなく、同じ種どうしでも起きていたことです。

たとえばアカハワイミツスイは、最も頻繁に盗む鳥であると同時に、最もよく盗まれる鳥でもありました。

数が多い種ほど巣どうしが近くなりやすく、そのぶん材料の奪い合いも起きやすくなるのでしょう。

研究者たちは、もし今後、巣材や安全な営巣場所がさらに不足すれば、この行動がもっと目立つようになる可能性もあるとみています。

枝を一本盗むだけなら、取るに足らない出来事に見えるかもしれません。

けれど、自然の中では、そんな小さな行動が繁殖の成否を左右することがあります。

今回の研究は、動物たちの何気ないふるまいの中にも、種の未来に関わる見逃せない要素が潜んでいることを教えてくれます。

参考文献

Hawai’i’s songbirds are raiding neighbors’ nests, and the losses could deepen a growing survival crisis
https://phys.org/news/2026-04-hawaii-songbirds-raiding-neighbors-losses.html

元論文

Upcycling in the Hawaiian Islands: Native Forest Birds Commonly Engage in Nest Material Kleptoparasitism
https://doi.org/10.1086/740144

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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