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いまこそ見直し&準備しておきたい防災用トイレのこと

  • 2026.5.2

災害時、実は水や食料よりも先に必要になるものがあります。それがトイレです。石川県能登町内の仮設住宅入居者を対象に、能登半島地震の発災後について聞いた調査(2025年、特定非営利活動法人日本トイレ研究所調べ)では、発災から「3時間以内」にトイレに行きたいと思った人は54.7%で、「6時間以内」まで含めると88.3%に上ったことが分かっています。また、避難生活の初期に困ったことのトップも「トイレ」で、トイレの利用環境を問う質問で最も多かったのはトイレの「個室数が少ない」という声でした。

一方で、防災備蓄が進んでいないのもトイレです。2024年にセコムが全国の20~69歳の男女を対象に行った調査では、回答者の約9割が災害増加を懸念するも「防災対策をしていない」が約6割、災害用簡易トイレについては約6割が「準備していない」という結果が出ています。また、災害用簡易トイレを準備している人に課題や不安をたずねたところ、最も多かった回答は「準備している数で足りるか」(63.1%)で、実際に準備している数は、「1~3日分」(45.2%)が最多でした。「さらに、実際に災害用トイレを使用したことがない」という人が9割以上であるということも明らかになりました。どのくらいの数を準備すればいいかわからないことが、準備をしないという行動につながっているということも見えてきました。

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何をどのぐらい準備すればいい?

経済産業省では災害時トイレについて、1人あたり35回分(7日分)の備蓄を推奨しています。また、トイレごみ(使用済み携帯トイレなど)の回収がいつ実施されたかを問う、先の能登町の調査で最も多かったのが、発災後「8日以上」(63.4%)でした。

このことから、少なくとも1週間程度のトイレの備えと、使用した携帯トイレの保管場所が必要であることが分かります。地震などの災害で下水道が破損・停止すると水洗トイレは使用不能となり、衛生環境の悪化や感染症リスク、脱水症状の原因となるため、必須の備えです。

近年は100円ショップなども含め、様々な携帯用トイレが販売されていますが、すべてが同じ性能を持つものではなく、実はどれでもいいわけではありません。以前参加した防災フォーラムで「いろいろなところで購入したいろいろな災害用トイレを試して数週間保管してみたところ、一旦固形化したのに、時間の経過とともに液体に戻ってしまったものもあった」という話も聞いたことがあります。どこで、何を購入したらいいかわからないという方は、まずはトイレ研究所の「携帯トイレに関する規格適合評価」なども参考にしてみるとよいかもしれません。

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オムツやペットシーツも活用を

家族の人数が多いと、災害用トイレの数も多くなり保管しておくだけでも一苦労。そんな心配もあるかもしれません。赤ちゃんや、ペットのいるご家庭なら、常備しているオムツやペットシーツも災害用トイレとして活用することが可能です。「非常用トイレ=防臭、消臭できて、水分をキャッチできるもの」と考えると、こういうものも使えることが分かります。履けなくなったオムツも、広げればペットシーツのように使うことができます。

ゴミ袋、防臭袋、新聞などと組み合わせれば非常用トイレとして活用でき、コストパフォーマンス面でも心強い存在です。サイズアウトしたおむつも、ぜひそのままストックしておいてください。

災害時のトイレの作り方はいろいろな自治体のHPなどでも紹介されているので、参考にして、何を買い足し、備蓄すればよいのか考えてみるとよいでしょう。
(例:川崎市「災害時のトイレの作り方を知ろう」

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自治体での対応は?

全国の自治体で災害時に使用できるマンホールトイレの設置も進み、国土交通省の資料によると、2024年度末現在、全国で49,310のマンホールトイレが管理されているとされていますが、その数は都道府県ごとにかなりの差があるのが現状です。

また、「避難所でトイレだけでも利用させてもらえばいい」と考えている人もいることが調査などでも明らかになっていますが、避難所に仮設トイレが設置されるまでには、数日かかることも珍しくなく、多くの人が使用することにより、衛生状態の悪化や、悪臭などの問題が発生してしまうことも少なくありません。また、避難所に避難せざるを得ない方が優先になるのは当然なので、自宅避難ができる場合は自宅でトイレ対策をとることが大切です。

その他、グッズいろいろ

わが家がキャンプデビューをした際、息子は3歳で暗くて汚いトイレには絶対に入りたがらなかったので(大人だって、嫌なのは同じですよね)、トイレが明るくてきれいかということをキャンプ場選びの基準の一つにしたぐらい。非常時で、トイレもままならないとなるとストレスが大きくなるのは火を見るよりも明らかです。便秘などで体調を崩してしまうこともあるし、ご高齢の方や小さいお子さんなど、急な環境変化で体調を崩しやすい方が家庭内にいる場合、非常トイレの備蓄などは、ぜひ、力を入れておきたいところです。

「いつも」と「もしも」をつなぐということを、防災の信条にしているわが家としては、非常時だけではなく、普段から使えるものも導入しておきたい。そんな思いからいろいろ探して数年前に出会ったのが、こちらの写真のパタットです。

普段は椅子として、アウトドアやいざという時には、座面部分を外して、ごみ箱や簡易トイレとしても使うことができる優れもの。わが家もパタットのそもそもの購入のきっかけは、90歳を超える高齢の義父とお散歩をするときに、疲れたら気軽にすぐ腰かけられるものがあればと思ったことでした。

道具類もどんどん進化しているので、ご自身の状況や家族構成に合うものを探しつつ、自分の知識や情報も日々アップデートしていけるといいですよね。経験者の方たちの「困りごと」から学んで、「もしも」の時にしっかり備えていきましょう。

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<執筆者プロフィル>
水野佳
保健師 / オートキャンプ歴9年
学生時代にはバックパックを担いでフィールドワークや旅に出かけ、バングラデシュでの井戸掘りなども経験。旅やアウトドアでの知識や経験を防災活動に繋げる。産業保健師として企業勤務時に、救命講習やBCPなどの企画・運営にも関わった経験も持つ。

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