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受けっぱなしにしていない?健康診断②食いしん坊が特に注目したほうがいい項目はどれ?

  • 2026.5.1

前回に引き続き、テーマは「健康診断」です。前回は健康診断の意義や検査項目、結果の見方についておさらいしましたが、今回は食いしん坊のみなさんが気になっているであろう個々の検査項目について。おいしいものが好きな人が注意すべき項目はどこなのか、食いしん坊倶楽部メンバーで医師の三浦雅臣さんにうかがいました。

受けっぱなしにしていない?健康診断②食いしん坊が特に注目したほうがいい項目はどれ?

■現実を受け止めよう。「腹囲」でわかる内臓脂肪

タブレットを操作する医師
タブレットを操作する医師

健康診断最初の項目は、「身長」「体重」です。目安となるのは身長と体重の比率を表すBMI(Body Mass Index=ボディ・マス・インデックス/体重(kg)÷身長(m)÷身長(m))で、22が理想、つまり生活習慣病にかかるリスクが低いとされています。

ただ、食いしん坊にとってより現実的なのは、むしろ「おなかまわり(腹囲)」かもしれません。男性で85cm以上、女性で90cm以上を超えていると、内臓脂肪がたまっていると診断されます。さらには肝臓に脂肪が蓄積している状態である「脂肪肝」になっている可能性もあります。

しかしやせていれば問題ないかというとそうでもなく、逆に若い女性において、やせすぎが将来的に糖尿病になりやすいといった研究結果もあります。体重や腹囲は家庭でも測れますから、健診時のチェックはもちろん、日頃から把握しておく習慣をつけておくといいと思います。

■酒好きはここを見て!沈黙の臓器「肝臓」はALT30がボーダーライン

お酒を飲む人にとって特に「肝機能」は気になるところではないでしょうか。血液検査でわかるのはAST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPという酵素の値です。中でも日本肝臓学会が2023年に発表した奈良宣言によれば、ALT値が30U/Lを超えたら要注意、医療機関を受診することをすすめています。

AST、ALTは肝細胞が傷つくと血管内に移行して数値が上がるのですが、ALTは肝臓以外の臓器にはほぼ含まれないため、ALTが高い=肝障害の可能性が高いということになります。肥満だったり、腹囲が基準値を超えていたり、飲酒量が多いといった人はこの数字は要チェック。ただ、最近ではやせている人でも脂肪肝という場合が増えているようですし、肝臓は“沈黙の臓器”ですから、どんな人にとっても大事なチェックポイントとなります。

■見逃したくない「腎機能」はろ過機能を表すeGFRをチェック

「腎臓」検査では、筋肉から出る老廃物の値を表すクレアチニン(Cre)、尿素中の窒素量を表すBUN、腎臓のろ過機能を評価するeGFRの数値がわかります。腎臓は、いわば体の「ろ過フィルター」。ここが詰まってしまうと、塩分やタンパク質の制限が必要になり、大好きなラーメンのスープや濃厚なソースを心置きなく楽しめなくなってしまいます。

特に注目しておきたいのはeGFR。実は正確な数値を出すのは簡単にはできない検査で、年齢や性別、クレアチニン値から推算したもので、eは推定の意味となります。基準値は60.0(mL/min/1.73㎡)以上。高いほうが良い数値で、簡単に言うと0歳を100として、1年で0.5〜1ずつ下がるといわれており、年齢により基準値は変わってきます。たとえば80歳の人が60だとしても大きな問題ではありませんが、若い人で60を下回るようだと危険信号です。ちなみにこの数値が10〜15になると、透析あるいはその準備が必要な状態となります。

生活習慣が原因となる透析は割合としても多く、特に男性はかかりやすいといわれています。透析をすると血管には大きな負担がかかり、健康な状態を長く保つのはなかなか難しくなります。定期的な検診でチェックしていくことが大切です。

■「血圧」は“下”が上がったときが要注意

血圧測定
血圧測定

「血圧」は病院に行くと診察の前にまず測ることがありますので、自身の大体の数値を把握している人も多いかもしれませんね。血圧の基準値は、収縮期血圧(上)が129mmHg以下、拡張期血圧(下)が79mmHg以下です。血圧は家で測るのと、病院で測るのには少し差が出ることが多く、家の方が少し低めに出ることが多いようです。

上が130mmHg以上くらいになると病気につながることが多いので要注意なのですが、下の数値も実は大事。下が上がってくると上も押し上げられることが多く、生活習慣の改善や投薬が必要になる場合があります。また上と下の数値の幅が大きい場合は、動脈硬化が進んでいる可能性があります。ただし健診時に一度測るだけでは変化はわかりません。血圧が気になる人は、家庭用の血圧計で測るのを習慣にして、記録をつけてみると経過がわかり、病気の予防につながります。朝起きてトイレを済ませ、10〜15分経った安静時に測るのが正しい測り方です。

■「コレステロール」は、単なる数値だけではなく善玉と悪玉の比率も大事

脂質系の検査では、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪(TG)の3つの数字がポイントとなります。これらは血液検査でしかわかりませんので、健診でしっかり検査をしておきましょう。

HDLコレステロールはいわゆる善玉といわれるもので、基準値は40mg/dL以上です。対してLDLコレステロールは悪玉で、その名の通り悪さをするコレステロールです。基準値は60~119mg/dLで、これより多いと血管壁に蓄積して動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞を起こす危険性を高めます。LDLとHDLは比率(L/H比)が大事で、LDL÷HDLが2以上になると動脈硬化の懸念が高まります。1.5以下が理想とされています。

中性脂肪の基準値は30~149mg/dLです。多いと動脈硬化などを引き起こすことがあるので要注意です。

ただしこれらの数値がよくない場合でも、すぐに危険であるというわけではありません。動脈硬化や心筋梗塞などの発症には年齢や性別、喫煙の有無、遺伝的な背景など、さまざまな要因がからみ合います。

それを予測する便利なツールがあります。それが「久山町スコア」。コレステロール値や年齢、性別などから、今後10年間の動脈硬化性心疾患の発症確率を数値化してくれるツールです。一般に公開されているアプリもありますので、参考にしてみてください。

参考:日本動脈硬化学会/これりすくん(https://www.j-athero.org/jp/general/ge_tool/

■健康診断は生活を工夫する“パートナー”。無視せず仲良くしよう

主な健診項目についてお話しをしてきましたが、これらの項目以外にも、心電図やレントゲンなどはなかなか受ける機会がありませんし、健診に行けば必ず問診があります。体のちょっとした違和感を相談できるチャンスです。なにかしらよくない数値が出たとしても、それはこれから元気に暮らしていくためのサインですから、落胆する必要はありません。しっかりチェックしつつ、楽しく食べて飲んでいける体をキープしていきましょう。


――教える人

「三浦 雅臣先生」

東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科 助教。2014年東京大学医学部医学科卒業。2021年東京大学大学院医学系研究科博士課程修了・卒業。糖尿病や肥満症を専門に、最近では老化や睡眠、味覚についても探究を深める日々。


編集:出口雅美(maegamiroom) 文:久保木 薫 写真:Shutterstock

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