1. トップ
  2. ファッション
  3. “裸”は芸術。メットガラを彩った歴代ネイキッドドレス23選

“裸”は芸術。メットガラを彩った歴代ネイキッドドレス23選

  • 2026.4.30
Getty Images

メットガラのレッドカーペットは、ファッションがただの「服」を超えて、「アート」へと変わる場所。なかでもひときわ視線をさらってきたのが、肌とテキスタイルの境界を曖昧にする“ネイキッドドレス”。

2026年のメットガラは、展示テーマ「Costume Art」、ドレスコード「Fashion Is Art」のもと、服と身体の関係をあらためて見つめ直す一夜に。そんな今年の視点で振り返ると、ネイキッドドレスは単なる肌見せではなく、ボディをキャンバスにした、最も大胆でモードなファッション表現のひとつだったことがわかる。

ビヨンセの神々しいシアー感から、キム・カーダシアンの彫刻のようなボディジュエリーまで。時代ごとの美意識とセンシュアリティを映し出してきた、メットガラの歴代ネイキッドドレスをプレイバック。

Dia Dipasupil / Getty Images

テーラリングを宿した攻めのネイキッド

ハル・ベリー/2025年

2025年のメットガラは、ブラック・ダンディズムを軸に、衣服とアイデンティティの関係を掘り下げた「Superfine: Tailoring Black Style」がテーマ。ドレスコードは「Tailored for You」で、スーツやメンズウェアの要素を自分らしく解釈することが求められた。

ハル・ベリーは、ブラックスパンコールのシアードレスに、タキシードジャケットを重ねたカスタムの「ラカン・スミス」で登場。大胆な透け感を持ちながらも、シャープなテーラリングが全体を引き締め、テーマにふさわしい“仕立て”の強さを宿したネイキッドドレスに。「カルティエ」のジュエリーできらめきも添えることで、センシュアルでありながら、媚びないパワフルなムードが際立つルックに。

Dia Dipasupil / Getty Images

フェアリーのような透明感

エル・ファニング/2024年

2024年の展示テーマは「Sleeping Beauties: Reawakening Fashion」。極度に繊細で着装できなくなった歴史的衣服を含む約250点を通して、服が本来持っていた“触れる・香る・動く”といった感覚的な生命を呼び戻す試みだった。ドレスコードの「The Garden of Time」も、自然と儚さ、時間の経過をめぐるこの年の世界観を端的に示していた。

エル・ファニングは、「バルマン」によるガラスのように繊細なシアードレスを着用。淡くきらめく質感と肩のバードモチーフが、夢幻的でどこか壊れやすい美しさを強調し、2024年のテーマにふさわしい“儚さのファンタジー”を表現した。肌を見せるというより、光と空気をまとっているようなロマンティックなネイキッドドレス。

Theo Wargo/GA / Getty Images

ビーズで彩るムードボディ

リタ・オラ/2024年

「マルニ」のカスタムルックで登場したリタ・オラ。ヌードカラーのシアーボディスーツの上に、マルチカラーの床まで届くビーズのレイヤーによるオープンなシルエットは、身体そのものを主役にする大胆な一着。光の反射や揺れによって、ネイキッドドレスをほとんどアートピースの域にまで押し上げた。

Taylor Hill / Getty Images

白レースに咲くポエティックな官能

グレタ・リー/2024年

「ロエベ」によるコラムドレスは、透け感のある白いレースに立体的なフラワー装飾をあしらったルック。ネイキッドドレスでありながら、どこか植物標本を思わせるような詩的なムードが特徴的。

彫刻的に立ち上がるショルダーラインが、柔らかな素材に強いシルエットを与えている。2024年のテーマにふさわしく、センシュアルでありながらアートのようなネイキッドドレスに仕上げた。

Cindy Ord/MG23 / Getty Images

黒のレイヤーで魅せるダークロマンス

ジジ・ハディッド/2023年

2023年の展示テーマは「Karl Lagerfeld: A Line of Beauty」。カール・ラガーフェルドの65年にわたるキャリアをたどりながら、シャネル、フェンディ、クロエ、自身のブランドなどで繰り返し表現された美学をひもとく内容で、ドレスコードは「In honor of Karl」だった。

ジジ・ハディッドは、「ジバンシィ」によるカスタムドレスをチョイス。コルセット風のボディに、シアーなチュール、カットアウト、ロングトレーンを組み合わせたルックは、ネイキッドドレスの大胆さにゴシックなムードをレイヤーした一着。パールのネックレスを合わせることで、カールへのオマージュも感じさせる。

Dimitrios Kambouris / Getty Images

究極のボディジュエリー

キム・カーダシアン/2023年

「スキャパレリ」によるパールとクリスタルのドレスをまとったキム・カーダシアン。ヌードカラーのベースに幾重にも連なるパールが、ネイキッドドレスでありながらクラシカルなジュエリーのような存在感を放つ。カール・ラガーフェルド的なパール使いのエッセンスを、より官能的で彫刻的に再解釈したメットガラらしいルックに昇華した。

Cindy Ord/MG23 / Getty Images

透明感のあるマーメイドドレス

ハリー・ベイリー/2023年

実写版『リトル・マーメイド』で一躍スターとなったハリー・ベイリーは、「グッチ」のカスタムドレスでお目見え。スパンコールがきらめくシアーなレースドレスに、ドラマティックなラッフルケープを羽織り、海の泡のような儚さとマーメイドの気高さを演出。

Cindy Ord/MG23 / Getty Images

ゴールドのきらめきを素肌に重ねて

アマンダ・サイフリッド/2023年

ヌードカラーのコルセットに、身体の上を流れるようなゴールドのストリングを重ねた「オスカー・デ・ラ・レンタ」によるミニドレス。美しいラインそのものをボディの上に描いたようなアプローチが印象的だ。ネイキッドドレスでありながら、どこかオールドハリウッド的な品格を漂わせる名ルック。

Sean Zanni / Getty Images

ボタニカル刺しゅう

スキ・ウォーターハウス/2023年

カールが手がけた「フェンディ」2019年春夏コレクションのアーカイブを選んだスキ・ウォーターハウス。繊細なチュールに、まるで肌から直接花が咲いたようなフローラル刺しゅうが施されている。彼の作品を、彼女らしいイノセントでロマンティックな着こなしに落とし込んだ。

Kevin Mazur/MG22 / Getty Images

モダンミューズ

カイア・ガーバー/2022年

2022年の展示は、アメリカン・ウィングの歴史的な部屋を舞台に、服を通してアメリカの複雑で多層的な歴史を語り直す構成の「In America: An Anthology of Fashion」。ドレスコードは「Gilded Glamour, White Tie」で、1870〜90年代のギルデッド・エイジの豪奢さを現代的に解釈するものだった。

カイア・ガーバーがまとったのは、メタリックな糸とビーズで複雑に編み上げられた「アレキサンダー・マックイーン」のドレス。サイドのカットアウトと、肌が透けるメタリックメッシュが、ボリューミーなカーリーヘアと相まって、古典的な美しさと現代的な官能性を融合させた女神のようなルックに。

Kevin Mazur/MG22 / Getty Images

ゴシックなひねりを加えたギルデッド・グラマー

ヴァネッサ・ハジェンズ/2022年

「モスキーノ」のジェレミー・スコットが手がけたシアーなブラックドレスを着用したヴァネッサ・ハジェンズ。透ける黒のボディとドラマティックなトレーンが、ギルデッド・グラマーをダークで妖艶な方向へ解釈していた。

Taylor Hill / Getty Images

ミニマリズムを極めたクリスタル・メッシュ

ゾーイ・クラヴィッツ/2021年

2021年の展示テーマは「In America: A Lexicon of Fashion」。この展覧会は、アメリカンファッションの“現代の語彙”をその表現的な性質から読み解く試みだと位置づけられ、ドレスコードは「American Independence」だった。星条旗のような直球の引用だけでなく、アメリカらしい自由さや自己決定をどう服で示すかが問われた年でもある。

この年、最も視線を奪ったのは間違いなく、アンソニー・ヴァカレロによる「サンローラン」のフルクリスタルのメッシュドレスを着用したゾーイ・クラヴィッツ。静かな自信に満ちた彼女の佇まいは、現代アメリカにおける自由の精神を見事に体現していた。

Karwai Tang / Getty Images

ショーガールの誇張

ケンダル・ジェンナー/2019年

2019年の展示テーマは「Camp: Notes on Fashion」。メットは、スーザン・ソンタグの1964年のエッセイを足がかりに、アイロニー、ユーモア、パロディ、人工性、演劇性、誇張といった“キャンプ”の美学をファッション史のなかで検証した。ドレスコードは「Studied Triviality」で、深刻さをあえて軽やかに、一方でふつうのことを過剰に、芝居がかって見せるパラドックスな感覚が求められた。

ケンダル・ジェンナーは、「ヴェルサーチェ」のオレンジのフェザーガウンで登場。鮮烈な色、きらめくボディ、そして大量の羽根という要素が、キャンプの“やりすぎ”をまっすぐ表現。ショーガール的な派手さを恐れず押し切った、2019年らしいネイキッドドレスだ。

Dia Dipasupil / Getty Images

伝説の歌姫へのオマージュ

エミリー・ラタコウスキー/2019年

1970年代のシェールを彷彿とさせるステージ衣装のようなルック。ピーター・デュンダスが手がけたこのドレスは、腹部を大胆に露出したホルターネックと、耳元を飾るフェザーのヘッドピースが印象的。これぞ、“過剰であることの美学(キャンプ)”をドレスに落とし込んだ、究極のネイキッドスタイル!?

Frazer Harrison / Getty Images

カトリックの神秘と挑発

カーラ・デルヴィーニュ/2018年

2018年の展示テーマは「Heavenly Bodies: Fashion and the Catholic Imagination」で、中世美術や聖職衣装とファッションを対話させながら、現代デザイナーがいかにカトリックの儀式性や象徴性に着想を得てきたかを検証する内容だった。ドレスコードの「Sunday Best」は、敬虔さと劇場性、その両方をどう自分のスタイルに落とし込むかが問われたもよう。

マリア・グラツィア・キウリによる「ディオール」のオートクチュールドレスを選択。格子状のパネルの間から肌をのぞかせるデザインは、どこか教会の装飾や懺悔室を想起させる。顔を覆うビーズのベールとピンクの ヘアカラーが、伝統的なテーマにカーラらしいパンクな精神を添える。

Larry Busacca / Getty Images

レッドドラゴンの情熱が宿る官能の曲線美

ジェニファー・ロペス/2015年

2015年のメットガラは、「China: Through the Looking Glass」と「Chinese white tie」のもとで、オリエンタルなモチーフや装飾性、そして幻想としての“中国”をどうドレスアップに変換するかが焦点になった夜だった。

ジェニファー・ロペスがまとった「アトリエ ヴェルサーチェ」のワンショルダーガウンは、ヌードチュールに赤いドラゴンモチーフを這わせたデザインが圧倒的な存在感を放っていた。テーマの象徴性を真正面から引き受けつつ、J.Loらしいグラマラスなネイキッドドレスへと昇華した一着。

Kevin Mazur / Getty Images

素肌にきらめきを宿した女王の一着

ビヨンセ/2015年

2015年のレッドカーペットに最後に現れ、すべてをかっさらったのがビヨンセ。リカルド・ティッシによる「ジバンシィ」のカスタムドレスは、戦略的に配置された色とりどりのクリスタル以外、ほぼ透明。高い位置で結んだポニーテールと、肌とドレスが一体化したような神々しい姿は、今なおネイキッドドレスの金字塔として君臨し続ける。

Larry Busacca / Getty Images

ミラー越しのレトロフューチャー

クロエ・セヴィニー/2012年

2012年の展示テーマは「Schiaparelli and Prada: Impossible Conversations」。エルザ・スキャパレリとミウッチャ・プラダという異なる時代のイタリア人デザイナーを、架空の“対話”形式で両者に通底するウィットや知性、女性像のひねりを読み解く内容。

クロエ・セヴィニーは、ミラーディスクを繋ぎ合わせた「ミュウミュウ」のミニドレスで登場。幾何学的なカッティングとミラーの反射により、肌の見え方をコントロールする知的なアプローチ。90年代的なエッジと、プラダらしいウィットが融合した、唯一無二のネイキッドルック。

Kevin Mazur / Getty Images

ギリシャ神話の女神のような輝き

ブレイク・ライブリー/2011年

1992年の初期作から最晩年までのアレキサンダー・マックイーンの創作世界を総覧した2011年の展覧会「Alexander McQueen: Savage Beauty」。文化、政治、アイデンティティまでを映し出す、挑発的で劇場的なファッションが主題となった。

メットガラの常連、ブレイク・ライブリーが選んだ「シャネル」のオートクチュールドレスは、シルバー刺しゅうを施したヌードカラーのボディとやわらかなドレープが、ネイキッドドレスをグラマラスかつエレガントに昇華している。マックイーン展のダークなドラマ性に対し、こちらはよりクラシカルで女神的なアプローチが印象的。

Kevin Mazur / Getty Images

黒レースが紡ぐ、退廃的なエレガンス

リアーナ/2011年

赤いロングブレイドでレッドカーペットに現れたリアーナは、「ステラ・マッカートニー」によるワンショルダーの黒レースドレスを着用。マックイーンへのオマージュが込められたこのルックは、肌の露出をグラフィカルなレースで覆うことで、官能的でありながらどこかダークな芸術性を感じさせる。

New York Daily News Archive / Getty Images

洗練とモードの白

ヴィクトリア・ベッカム/2008年

2008年の展示テーマは「Superheroes: Fashion and Fantasy」。展覧会は、映画衣装、オートクチュール、スポーツウェアを横断しながら、ファッションとスーパーヒーローの象徴的・比喩的な関係を探る内容で、衣服が身体を“変身”させ、“力を与える”ものとして機能する点に着目していた。

ヴィクトリア・ベッカムは、「アルマーニ」の白いシアーガウンを着用。繊細な刺しゅうと深いスリット、シャープなショルダーラインが、エレガントでありながら研ぎ澄まされた強さを感じさせる。コミック的な派手さではなく、身体のラインそのものを武器にするようなヒロイン像で、テーマを洗練された方向へと解釈した。

Evan Agostini / Getty Images

2000年代のセンシュアリティ

ソフィー・ダール/2005年

展示テーマは「The House of Chanel」だったこの年。展覧会では、ココ・シャネルからカール・ラガーフェルドまで、メゾンの歴史をたどりながら、モダンウーマン像、機能性、ジャージーやブラック&ホワイト、カメリア、パールといったシャネルのコードを総覧した。

ソフィー・ダールが披露したのは、アレキサンダー・マックイーンが手がけた「ジバンシィ」のブラックドレス。ボディに沿う透け感のあるボーダー状のニットが、装飾過多ではないのに強い印象を残し、ネイキッドドレスをぐっと都会的に引き寄せた。

Ron Galella / Getty Images

ネイキッドドレスの原点

シェール/1974年

1974年の展示テーマは「Romantic and Glamorous Hollywood Design」ダイアナ・ヴリーランドが手がけたこの展覧会は、1920〜50年代のハリウッド映画でスターたちが着用した衣装を中心に構成され、黄金期の名コスチュームデザイナーたちの仕事に光を当てた。

そんな文脈のなかで、シェールがまとったボブ・マッキーのドレスは、まさに伝説級。素肌の上にクリスタルを散りばめたようなシアーな一着は、ステージ衣装とファッションの挑発性を融合させたルックとして、今でもインパクト大! 当時、あまりの衝撃に「裸同然」と騒がれたこの一着が、後のセレブたちの“見せる”美学の礎となっている。

元記事で読む
の記事をもっとみる