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木造2階建てを購入した30代夫妻→GW後に目撃してしまった…5月の湿気と共に這い上がる“招かざる客”【一級建築士は見た】

  • 2026.5.25
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「リフォーム済みで、内装はまるで新築のようでした。だから安心して買ったんです」

そう話すのは、築40年・木造2階建ての中古戸建てを約3,500万円で購入したTさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。フルリノベーション済みで、内見の段階では何の不安もありませんでした。

ところがGWを過ぎたある日、リビングの床で羽の落ちた小さな虫を発見。シロアリの群飛の跡だったのです。専門業者に床下を点検してもらった結果、土台の一部にすでにシロアリ被害が進行していることが分かりました。

「見えるところ」は新しくても、「見えないところ」は築年数相応

中古住宅のリノベーションは、内装や水回りなど目に見える部分の刷新が中心です。

一方、建物の構造部分である柱、梁、土台、基礎や床下は、リノベーションでも手をつけないケースが多くあります。表層リフォームの場合、床下や壁の中の状態は40年前のまま、ということも珍しくありません。

5月は気温と湿度が上がり始める時期で、シロアリの活動が活発になります。シロアリは羽アリとなって新しい巣を作るために飛び立つ「群飛」を、4〜5月の暖かい日に行います。

床下に潜んでいた被害が、この時期に表面化することが多いのです。

「防蟻処理済み」と書いてあっても安心できない理由

中古住宅の販売資料には、「防蟻処理済み」と記載されていることがあります。

しかし、防蟻処理の薬剤の効果は一般的に5年程度。過去に、いつ、どのような薬剤で処理されたのかは、書類で確認しないと分かりません。

「処理済み」と聞くと買主は安心しがちですが、新築時に一度だけ処理して以降は再処理していない、というケースもあります。新築から長期間経過した中古住宅では、表記だけを鵜呑みにせず、具体的な処理時期と保証期間を売主や仲介業者に確認することが大切です。

加えて、シロアリ被害は床下の点検口から覗くだけでは見抜けないケースもあります。基礎の内側、土台の継ぎ目、配管の貫通部など、専門家でなければ判断が難しい場所に潜んでいるからです。

Tさん夫婦はどう対応したのか

Tさん夫婦は、まず売買契約書を確認しました。

中古住宅の売買では、引渡し後に隠れた瑕疵が見つかった場合、売主に修補や損害賠償を求められる「契約不適合責任」が定められています。2020年の民法改正で名称が「瑕疵担保責任」から変わり、買主の権利がより明確になりました。

ただし、適用には条件があります。売主が個人の場合、責任期間が「引渡しから3か月」など短く設定されていることも多く、特約がない場合は被害を発見してから1年以内の通知が必要になります。

Tさんは引渡しから1年以内だったため、不動産会社を通じて売主側と協議。最終的に、土台交換費約80万円のうち、一部について売主負担での対応で合意できたといいます。

加えて、床下全体への新規の防蟻処理を約25万円で自己負担にて実施。

「中古住宅でも引渡し後すぐの不具合なら売主に相談できると知っていれば、もっと早く動けた」とTさんは振り返ります。

中古住宅は「内装」より「床下」を見る

中古住宅を購入する際は、見た目のきれいさだけで判断せず、以下の点を確認してみてください。

・床下の点検口から目視確認:基礎のひび割れ、土台の変色、シロアリの蟻道の有無
・水回りの床のフワつき:漏水のサインがないか
・既存の防蟻処理の履歴:いつ・どの薬剤で処理されたかを書類で確認
・売買契約書の「契約不適合責任」の条件:責任期間や対象範囲を契約前に確認

そして、契約前に専門家による建物の状態調査(インスペクション)を依頼することをおすすめします。費用は5〜10万円程度ですが、購入後の数十万〜数百万円の修繕費用を防げる可能性があります。

「中古+リノベ」が合う人もいる

新築では予算が届かないエリアに住みたい人、立地や広さを優先したい人にとって、中古リノベは魅力的な選択肢です。床下の状態確認や契約条件のチェックさえできれば、コストパフォーマンスの高い住まいになり得ます。

「見えるところ」と「見えないところ」の両方をフラットに見ること。それが、中古住宅で後悔しない選び方の第一歩です。

参考:
民法(債権関係)の改正に関する説明資料について(法務省)
既存住宅状況調査(インスペクション)について(国土交通省)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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