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「ここまで来ると笑える」60万旧車の納車1か月後、新婚旅行でレッカー搬送…20代整備士を次々と襲う“大誤算”

  • 2026.5.18
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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

車の整備士であるAさん(男性、当時20代)が初めて購入した愛車は、旧車感とアメ車っぽさを兼ね備えた念願の日産セドリックワゴンでした。本記事では、納車翌月の新婚旅行でのエンジン停止をはじめ、グリル脱落・スターター不良・オイルパン破損と、トラブルが連続した数年間の体験をご紹介します。

社会人デビューで選んだ初めての愛車は、セドリックワゴンだった

Aさんは当時20代の駆け出し整備士でした。結婚を機にファミリーカーへの乗り換えを考えていたAさんですが、その心の中には「いつかはアメ車に乗りたい」という憧れが芽生えていたと言います。しかし、乗り慣れた軽自動車からいきなりアメ車へ踏み出すには、自信も知識も心許なかったそうです。どうすればいいかと悩んでいた頃、運命的な出会いが訪れます。

アメ車専門店のオーナーと知り合ったことがきっかけで、Aさんは何度も店へ遊びに行くようになりました。そんなある日、オーナーから「セドリックワゴンを仕入れた」と声をかけてもらいます。見に行くと、角張ったボディに漂う旧車の空気感、ワゴンとしての実用性、どこかアメ車を思わせるたたずまい。「趣味も家族の実用も、両方満たせる」と感じたAさんは、その場で即決したそうです。

駆け出し整備士だったこともあり、「整備は自分でやる」ことを条件に、必要としていた軽トラックとセットで約60万円という破格で購入しました。これからのカーライフへの大きな期待を胸に、Aさんの旧車ライフがスタートします。

通勤さえ楽しくなる。旧車ワゴンが変えた毎日

納車後のAさんは、すぐにセドリックワゴンの魅力を体感します。運転席に乗り込むと、旧車ならではの雰囲気が漂うベンチシートとコラムシフト(ハンドル横から伸びたシフトレバー)が目に入ります。現代の車にはない独特のデザインや、角張ったボディのどっしりとした存在感に、「こんな車があったのか」と改めて実感したそうです。

さらに驚いたのは、周囲の反応でした。駐車場に停めると旧車好きの方から声をかけられ、街中でも通行人が振り返る。「車一台でここまで生活が変わるのかと思いました」と語ってくれました。通勤も、嫌な仕事に向かうときも、このセドリックワゴンに乗ればそれだけで気持ちが前向きになったと言います。

そんな蜜月のような日々でしたが、長くは続きませんでした。納車からわずか1か月後のクリスマスの夜、Aさん夫婦は思わぬ事態に直面することになります。

納車1か月後のクリスマス、新婚旅行はまさかのレッカーから始まった

納車から約1か月が経った12月のクリスマスの夜、Aさん夫婦は新婚旅行で宮崎から山口へ向かいました。夜のうちに出発し、高速道路に乗ってからもしばらくは順調に走っていたそうです。ところが、熊本県に入ったあたりで、ふいに異変が起きます。ヘッドライトとメーターパネルが急に暗くなり、警告灯が一斉に点灯したのです。オルタネーター(発電機)に何らかの不具合が生じていた可能性がありますが、当時のAさんにとっては完全に想定外の出来事だったでしょう。

慌ててパーキングエリアへ立ち寄ると、そのままエンスト。バッテリーも上がり、ブースターケーブルを探しますが見つからず、途方に暮れていたところへ、追い打ちをかけるように雪まで降り出しました。

このタイミングで、まさかのホワイトクリスマスです。「もうここまで来ると笑えますよね」とAさんは語ってくれましたが、隣で不安そうにしていた奥さんの心境は、想像に難くありません。

結局、保険のレッカーで近くのカーショップまで運んでもらい、市販のバッテリーに交換して急場をしのぎ、エンジンが復活。気づけばもう夜が明けていたそうです。朝方に整備工場で応急処置を受けてから山口へ向かい、旅行はなんとか無事に終わりました。帰宅後にこの話をすると、みんな笑いながら驚いてくれたそうです。クリスマスプレゼントは、まさかのレッカー移動。忘れられない新婚旅行になりました。

娘を迎えに行った思い出の車。しかしトラブルは増えていく

新婚旅行後も正月には奥さんのご両親と福岡へ日帰り旅行に行くなど、セドリックワゴンは家族の思い出を積み重ねていきます。そして何より、娘さんが生まれた際の産院からの退院のお迎えもこの車で。「愛着がさらに深まりました」とAさんは言います。

しかしそんな喜びと前後するように、トラブルが少しずつ増えていきます。信号待ちや交差点でのエンストが頻発するようになり、「家族は追突されたらどうしようと不安がっていました」とAさんは振り返ります。この頃から奥さんに買い替えを相談されるようになりましたが、愛着もあってすぐには決断できなかったそうです。

そんな苦労が続く中、帰宅中にフロントグリルが突然脱落して自車のタイヤで踏み割ってしまい、しばらくグリルレスのまま走行。スターターモーターもオイル漏れでオイルまみれになり、ある朝エンジンがかからない事態にも。さらに道路工事中の路面でマンホールにオイルパン(エンジン底部の部品)をぶつけてオイル漏れが発生し、またもレッカー搬送となりましたが、保険と工事現場の対応で修理できたそうです。

夏はエアコンが効かない状態が続き、その年は家族全員がコロナに。暑い中での病院への送り迎えはつらかったと振り返ります。それでも夏の終わりには念願のアメ車イベントへ神戸まで走りました。「若気の至りで、家族には迷惑をかけました」と苦笑するAさんですが、この旅でひとつ発見がありました。サービスエリアでの休憩中、後部座席をフルフラットにするとシングルサイズの布団が敷けるほどの広さがあり、奥さんと娘さんが後ろで寝転がった体験は忘れられない思い出になったそうです。

壊れたことまで含めて、忘れられない初めての愛車に

年末、夜9時半頃のことです。お正月の買い出しに出かけようと家族でセドリックワゴンに乗り込み、Aさんがキーを回した瞬間、「パァン!」という大きな破裂音が響きました。ボンネットが曲がり、エンジンルームから煙が上がります。近所の家の電気が次々とつき、窓から覗く人、玄関から出てくる人も現れました。「初めての経験であたふたしました。ご近所に申し訳ない気持ちでいっぱいでした」とAさんは語ります。

以降、セドリックワゴンは車庫で動けない状態に。整備を続けた時期もありましたが予算の都合でナンバーを抹消し、軽トラックで約半年を過ごすことになりました。現在はスズキ・ワゴンRに乗っているとのことで、こちらにも濃い話があるそうですが、それはまた別の機会に。

「販売店さんへの怒りも恨みも一切ありません。自分なら何でも直せると過信していたんです。旧車の維持は費用も部品も時間も、技術だけではどうにもならないと、この車が教えてくれました」とAさんは振り返ります。また、「セドリックワゴンは旧車の中では比較的維持しやすく、乗り心地もよく、一度乗ると病みつきになる魅力があります」とも語ってくれました。

今は県外の新しいオーナーへ渡る前にコツコツと整備を続けているそうです。壊れたから嫌いになったのではない。レッカーも、エンストも、煙を上げたあの夜も、すべてがAさんにとって忘れられない初めての愛車との記憶です。「もう一度乗りたいですね」と笑顔で語るAさんの言葉が、印象に残りました。



ライター:Masaki.N
自動車メーカーで車体開発エンジニアとして設計・先行開発に携わった後、マーケティング/市場リサーチ領域で商品導入・訴求設計にも従事。さらに自動車サブスク系ITベンチャーでマーケティングを担当し、ユーザー視点のコミュニケーション設計を経験。現在は自動車ライターとして、新車情報、技術解説、モデル比較、中古車相場、維持費、業界動向まで幅広く執筆。SEO記事・コラム・インタビューなど媒体横断で制作し、専門知識を生活者の言葉に翻訳して「買う/持つ」の判断を支援します。加えて、カスタムを含む実車取材・体験を通じて得た一次情報を記事に落とし込み、机上の知識にとどまらない“現場感”のある解説を強みとしています。


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