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「カフェ ディオール」で大注目。女性シェフとして世界で最多の星を獲得したアンヌ=ソフィー・ピックとは?

  • 2026.4.26

世界中の食トレンドを追い続けるフードジャーナリスト、仲山今日子さんによる連載【至福の食体験】。今回は、女性シェフとして世界で最多のミシュランの星をもつアンヌ=ソフィー・ピックさんに注目していきます。

CEDRIC DIRADOURIAN

アンヌ=ソフィーさんは、今年3月に代官山にオープンしたDIOR(ディオール)のフラッグシップ「ディオール バンブー パビリオン」内に東京で2店舗目となる「カフェ ディオール by アンヌ=ソフィー・ピック バンブー パビリオン」をオープンさせたことでも話題を集めています。フランス・ヴァランスで祖父の代から3つ星に輝く家に生まれ、ファッションデザイナーになることを夢見ていたという彼女による世界観をご紹介します。

3つ星店で育まれた、アンヌ=ソフィー・ピックの美意識とエレガンス

CEDRIC DIRADOURIAN

1969年、フランス南東部のヴァランスで生まれたアンヌ=ソフィーさん。フランス料理の巨匠として人々から敬愛されていた祖父であるアンドレ・ピックさんと父親のジャック・ピックさんが営む3つ星レストランが家であり、そこが遊び場でした。

幼い頃はファッション・デザイナーに憧れていたアンヌ=ソフィーさん。そのうちに、美しいものをつくるという意味で共通点を感じ、家族で守り続けてきたヴァランスにある3つ星レストラン「Maison Pic(メゾン・ピック)」を支えたいという思いから、シェフではなくサービスやマネージメントの担当として店に入ることを決めます。学生時代に携わったシャンパーニュメゾン、MOET&CHANDON(モエ・エ・シャンドン)での研修時には、日本を訪れたこともあったそうです。

ヴァランスに戻りレストランで働く中、父が急死し、店は兄が継ぐことに。そんな混乱期に、残念ながら1995年に店は3つ目の星を失ってしまいます。料理の経験はないものの、1997年に兄に代わりアンヌ=ソフィーさんが厨房に立つことに。父の元で働いた料理人たちから料理を学び、抜群のセンスを活かして、祖父や父が大切にしてきたソースに、繊細な香りのレイヤーを重ねる、自らのスタイルを確立していきます。そして10年後の2007年、レストラン「メゾン・ピック」はついに3つ星に返り咲くのです。

私生活では高校の同級生だった夫・デイビッドさんと結婚後、2006年に長男・ネイサンさんを出産。クリスタルメーカー、BACCARAT(バカラ)とのコラボレーションで生まれた香港の2つ星「Cristal Room by Anne-Sophie Pic(クリスタルルーム by アンヌ=ソフィー・ピック)」など世界7カ国にレストランを展開し、現在世界のミシュランガイドで合計10の星に輝いています。

最近ではバンコクのマンダリン・オリエンタルホテル内にある歴史的なレストラン「Le Normandie(ル・ノルマンディー)」。本店のヘッドシェフも務めていた小林珠季さんのもと、昨年、オープン後わずか数カ月でミシュラン2つ星に輝いたのは記憶に新しいところ。

(C)DIOR

日本では2023年に関西国際空港内に1号店となる「カフェ ディオール by アンヌ=ソフィー・ピック 関西国際空港」を、2024年に「ハウス オブ ディオール ギンザ」内に「カフェ ディオール by アンヌ=ソフィー・ピック ギンザ」、そして今年3月に3店舗目の「カフェ ディオール by アンヌ=ソフィー・ピック バンブー パビリオン」がオープンしたというわけです。

日本に影響を受けた料理スタイル

(C)MATHILDE HILEY

20代前半に訪れた日本に深く感銘を受け、特に日本茶が大好きになったというアンヌ=ソフィーさん。「フランスと同じように、職人技が守られていて、深い伝統があり、それと同時に、とても異なった文化であることに惹かれたのです」と語ります。それを表すように、本店ではスモークしたロブスターに、いちごと日本の鰹昆布出汁を合わせたソースを添えるなど、まるで調香師のように新しい香りや味わいの組み合わせを生み出し、いまの時代にあった軽やかな味わいを表現しています。

(C)DIOR

今回オープンした「ディオール バンブー パビリオン」内のカフェでは、店内でさまざまな種類の日本茶が楽しめるほか、屋外にはモダンにアレンジされた見事な日本庭園や岩元航大さんがデザインした日本の茶室が静かに佇みます。その中では、オリジナルでつくられた茶道具なども展開されています。ヴァランスの本店「メゾン・ピック」をもほうふつとさせる白を基調とし花のモチーフを生かしたカフェエリアの空間にも、日本からインスパイアされたエッセンスが散りばめられています。

香りが生み出す新たなエレガンス、日本中が注目する料理

6月に大阪でレストランをオープンする予定もあるそうですが、日本で彼女の料理を楽しめるのは「カフェ ディオール by アンヌ=ソフィー・ピック」の醍醐味のひとつ。ここでは、話題沸騰中のお店で味わいたい料理を2皿ご紹介します。

1. 「ラ フルール ド トゥルヌソル」 有機『クロカント』キャロット、オレンジフラワー、ジャスミン、ワイルドマダガスカルペッパー

CEDRIC DIRADOURIAN

こちらは、“香り”を大切にするアンヌ=ソフィーさんらしいアプローチが感じられる一皿「ラ フルール ド トゥルヌソル」。フランスの伝統的な人参の千切りサラダ、キャロットラペを、ムッシュ ディオールの愛したひまわりをモチーフにしたサラダ仕立てです。

有機人参のフレッシュな食感とヨーグルトとホエーの軽やかな旨みの組み合わせ、そこに南仏を思わせるジャスミンや、少し柑橘のニュアンスのあるワイルドマダガスカルペッパーを合わせています。繊細に香りの層を重ねることで、一口ごとに新たな驚きを味わえる料理に。ドレッシングには人参から抽出したエキスも使うことで、人参のさまざまな表情を引き出しています。そんなところからも、自然へのリスペクトを大事にするアンヌ=ソフィーさんらしさを感じられるはずです。

2. 「ル カナージュ」24か月熟成させたコンテチーズのチュイルを添えたオニオンコンソメスープ、ピンクペッパー

CEDRIC DIRADOURIAN

この仕事を受けるにあたって、ディオールのアーカイブを紐解き、小さなボタンひとつを取っても職人技術に溢れていることに感銘を受けたというアンヌ=ソフィーさん。その言葉を反映するように、フランスで親しまれているオニオングラタンスープを昇華させた一皿がこちら「ル カナージュ」。

スープボウルに飾られた藤編みをイメージしたディオールのアイコニックなパターン「カナージュ」モチーフのチュイルは、24カ月熟成のコンテチーズを使ったもの。通常、オニオンスープの上にチーズを削りかけ、オーブンで焼き上げる料理ですが、チュイルにすることで、一番美味しいカリカリの部分を存分に楽しめる他、上からスープをかける演出でよりドラマティックに。サイドにはブーケのように仕立てたサラダを添えて、アーティスティックな一皿へと仕上げています。

尚、こちらの2皿は「カフェ ディオール by アンヌ=ソフィー・ピック ギンザ」でも展開されているとのことなので、ぜひご注目ください。

(C)LAORA QUEYRAS

ファッションデザイナーになりたかったというアンヌ=ソフィーさんにとって、夢が叶ったともいえる壮大なプロジェクトなのではないでしょうか。本物の草花の標本「ブロックフラワー」やフラワーアーティスト東信さんの作品に彩られた、自然や花を愛する彼女らしい世界観を体験しに、ぜひ訪れてみてください。

CEDRIC DIRADOURIAN

「カフェ ディオール by アンヌ=ソフィー・ピック バンブー パビリオン」
予算/「ル カナージュ」¥3,500、「ラ フルール ド トゥルヌソル」¥3,500、デザート¥4,000〜(税サ込)
所在地/東京都渋谷区猿楽町8-1
TEL/03-6455-0713
URL/www.dior.com/fashion/stores/ja_jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC/shibuya-ku/8-1-sarugaku-cho-234323

問い合わせ先
クリスチャン ディオール
TEL/0120-02-1947
URL/www.dior.com/ja_jp/fashion

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