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転倒防止に大切な3つのポイントとは? 加藤綾菜の【加藤家・笑顔の秘訣#3】

  • 2026.4.18

転倒防止に大切な3つのポイントとは? 加藤綾菜の【加藤家・笑顔の秘訣#3】

現在、タレントとして幅広い活動をしている加藤綾菜さん。そのかたわら、45歳年上の夫・加藤茶さんの健康を気遣い、献身的にサポートしていることも広く知られています。この連載では、綾菜さんがシニアの健康維持・向上に役立つ知識を自ら学び、読者の方々がよりいっそう元気になる情報をお届けします。第3回は綾菜さんも非常に身近で関心がある、転倒防止についてのお話です。

転倒防止には「足の裏」「ふくらはぎ」「お尻」が大切!

こんにちは、加藤綾菜です。さまざまな分野の健康の専門家や達人の方々に健康長寿の秘訣を伝授していただき、読者の方々やその家族の健康維持に役立つことを目指しています。第3回目は作業療法士の荻野秀一郎(おぎの・しゅういちろう)先生にお話を伺います。荻野先生は“介護予防”を目的とした体操などの普及に努めています。私も夫の要介護を未然に防ぐため、「介護予防運動指導員」の資格を取得しましたが、豊富な実践経験を持つ荻野先生から、多くのことを学びたいと思います。

突然、リビングから夫の叫び声が

綾菜 荻野先生、本日はよろしくお願いいたします!

荻野先生 こちらこそ、よろしくお願いいたします。私は子どもの頃から“ザ・ドリフターズ”が大好きで、世代的にリアルタイムではありませんが、再放送された『8時だョ!全員集合』(TBS系)を観るのが本当に楽しみでした。今日は恩返しではありませんが、旦那さまの健康維持に有益な情報や運動、体操をお伝えしたいと思います。

綾菜 ありがとうございます! 早速ですが、昨夜、わが家で“事件”が起きたんですよ。私が自室にいたとき、リビングから突然、旦那の叫び声が……。急いでリビングに入ると、旦那がソファで驚いた表情で座っていました。何が起こったのか、聞いたところ、愛犬のトイプードル・茶子(ちゃこ)ちゃんが原因でした。茶子は老犬ですが、超元気なんですよ。旦那が立っているとき、茶子が旦那の足元をグルグルと回り出したので、旦那は茶子をまたごうとしてバランスを崩し、転倒しそうになったんですよ。そのとき、「あぶねぇ〜!」と思わず叫んでしまったようです。

荻野先生 かわいい犯人でしたね。でも、転倒しなくて本当によかったです。令和4年(2022年)の「国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると、骨折・転倒は「要介護」になる原因の第3位でした。ちなみに第1位は認知症、第2位は脳血管疾患です。要介護を防ぐには脳の健康維持も必要不可欠ですが、転倒も防がなければいけません。

綾菜 昨夜に限らず、バランスを崩して転倒しそうになることが増えました。先日、夫婦でピラティスに行ったときも、本人は転倒予防のために足の筋肉を伸ばそうとして、頑張っていました。でも、体力も消耗してしまって、家に戻ってもグッタリ状態。横になるのはいいのですが、ピラティス教室に通ってまで運動をしたくないという気持ちにもなっているようで、私は少し心配です。なので、自宅でできる転倒予防体操はないかと真剣に探すようになりました。先生はYouTube(「フラミンゴの介護予防チャンネル」https://www.youtube.com/@yobouflamingo/videos)で介護予防運動や体操などを紹介していますし、今回は自宅でできる介護予防のコツを教えていただけると聞き、とても楽しみにしていたんですよ。

荻野先生 その期待に応えられるよう、頑張ります(笑)。旦那様がバランスを崩しやすいということですが、体の部位別に見ると、ポイントは大きく3カ所挙げられます。①足の裏②ふくらはぎ、そして③お尻です。この3つの部位が弱くなると、バランスを崩しやすくなります。

足の裏はバランスセンサー

荻野先生 まず、足の裏からご説明します。足の裏は、私たちが立っているとき、床(地面)に触れている唯一の場所です。そのため、足の裏は平衡感覚を保つための「バランスセンサー」と呼ばれています。例えば、前に歩けば親指に体重がかかります。逆に、後ろの方向に体重が移動すると、かかとに体重がかかります。このように、体がどの方向に重心が乗っているか、それを感知してくれるのが足の裏です。

綾菜 足の裏がバランスセンサーという話は初めて聞きました。ただ歩くだけでも、体の傾きなどを感知してくれているのですね。

荻野先生 その通りです。足の裏は地面の傾きなどの情報を脳に伝え、脳はバランスをうまく取るよう体にフィードバックし、転倒を防止しています。足の裏でも特に重要な役割を果たしているのが、足の指です。足の指の筋肉が衰えると、センサーとしての働きが低下し、体が傾いてもうまく感知できず、バランスを崩して転倒することもあります。

綾菜 旦那も足の指の筋肉が衰えている可能性がありますね。

荻野先生 人は誰でも加齢とともに筋力は低下します。でも、何歳であっても、鍛えれば筋力は向上します。足の指の筋力が落ちていたとしても、決してあきらめることはありません。

綾菜 そう言っていただくと、頼もしいです。

荻野先生 ところで、綾菜さんは旦那さまとご一緒に散歩されたりしますか?

綾菜 以前は2人でよく散歩していましたが、最近はあまりしなくなりました。旦那は腎機能が低下しているせいか、足がむくみやすく、これまでの靴も小さくて窮屈になったといいます。びっくりされるかもしれませんが、靴のサイズも二回り大きいものでないと、足が入らなくなったんですよ。足がむくむと、とてもつらいらしく、足をかばうために“すり足”になり、それがまたとても疲れるようなんです。

荻野先生 すり足はゆっくり歩くため、足にブレーキをかけて歩くようなものです。ブレーキをかける分、余分なエネルギーを使うので、足が疲れるのも無理はありませんね。そもそもの原因は足のむくみですから、足の血行を良くすることが大切です。

ふくらはぎは「第2の心臓」

荻野先生 足の血行を良くするには、ふくらはぎが重要な鍵を握っています。心臓から送られた血液は足先に行き、足先の血液を心臓に戻すときに、ふくらはぎがポンプのように働くことから、「第2の心臓」と呼ばれています。ふくらはぎの筋肉が弱くなったり、使われなくなったりすると足がむくんだり、足先に老廃物がたまったりして、足がつりやすくもなってしまいます。

綾菜 ふだんからふくらはぎを鍛えないと、足がむくむということですね。ましてや、旦那のように歩かなくなると、なおさらですよね。

荻野先生 おっしゃる通りです。しかも、ふくらはぎは血液循環を促進するだけでなく、体のバランスを保つ要でもあります。ふくらはぎの筋肉は「足首を動かす」「立つ・歩く・止まる動作を支える」など、体のバランスを保つうえで欠かせない働きをしています。

綾菜 足の裏、ふくらはぎが転倒防止の重要な役割を果たしているんですね。自宅に帰ったら、旦那のふくらはぎをチェックしてみます(笑)。

二足歩行の鍵はお尻の筋肉

荻野先生 最後に、転倒防止で忘れてはいけないのが「お尻」の筋肉です。実は、私の中では、転倒防止にはお尻が最も大事だと考えています。お尻の筋肉が薄いと、片足立ちをしたときなどでも、体重を支えきれません。仕事柄、シニアの方をよく見ていますが、バランス能力が落ちている人は、お尻の筋肉は薄くペラペラです。私たち人間は二足歩行をしているおかげで、お尻の筋肉が発達しています。ゴリラは、足の筋肉は人間の約4倍以上もあるといわれていますが、お尻の筋肉は人間の約2分の1ともいわれています。筋肉隆々のゴリラであっても、お尻の筋肉に関していえば、人間のほうが上だということです。言い換えれば、人間がバランスを崩すことなく二足歩行ができるのも、お尻の筋肉のおかげと言っても過言ではありません。

綾菜 ヘェ〜!知りませんでした。がぜん、お尻の筋肉が気になってきました。

荻野先生 人間もお尻の筋力が弱くなってくると、上半身を起こして歩けなくなってきます。上半身を起こせないものですから、前傾姿勢になったり、シルバーカーのようなものを利用しないと歩けなくなったりすることもあります。

綾菜 座ってばかりだと、お尻の筋肉も衰えてしまいますよね。旦那も自宅では座ってテレビばかり観ているので心配です。

荻野先生 座布団がないとお尻が痛くて座っていられないのは、お尻の筋肉が衰えているサインです。

綾菜 そうなんですね。旦那もふだんはソファですが、畳の部屋などでは座布団は必須です。ちょっと心配ですね。お尻の筋肉はこれからでも鍛えられるでしょうか?

荻野先生 まったく心配することはありません。冒頭でもお話しましたが、何歳からでも筋肉を鍛えることはできます。

綾菜 安心しました。次回は、すぐにできる具体的な運動方法を教えてください!

荻野先生 もちろんです!今回お話をしたように転倒防止には足の裏ふくらはぎお尻のそれぞれの筋肉が要となっています。この3箇所の筋肉を鍛える、簡単な方法をご紹介します。

綾菜 先生、ありがとうございます。みなさんも、次回、楽しみにしていてくださいね!

取材・文/宮岸洋明

プロフィール

作業療法士・荻野秀一郎先生
「認知症と転倒予防教室フラミンゴ」主宰。帝京平成大学作業療法科卒業。
病院でリハビリテーション(以下、リハビリ)業務に携わり、訪問リハビリにも従事。
リハビリの臨床経験を生かし、地域の人々の健康促進、介護防止を目的とした「認知症と転倒予防教室フラミンゴ」(東京都大田区)を開業。自宅で簡単にできる介護予防体操などを指導している。
著書に『1日15分 健康ウォーキング』(高橋書店)など。
YouTubeでは「フラミンゴの介護予防チャンネル」を開設。
https://www.youtube.com/@yobouflamingo/videos

加藤綾菜
1988年、広島県生まれ。
2011年、ザ・ドリフターズの加藤茶と結婚。45歳の年の差婚だったこともあり、注目を集める。
現在は高齢の夫を支えるため、「介護福祉士実務者研修(旧ホームヘルパー1級)」「生活習慣病予防アドバイザー」「介護食アドバイザー」「介護予防運動指導員」などの資格を持つ。
タレントとしても活動し、著書に『加藤家の食卓 医師と栄養士の先生に長生きする食事の作り方を習いに行ってきたレシピ集』(アスコム)など。

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