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不安定と革新の狭間で揺れる、4プログラムをご紹介

  • 2026.4.18

KYOTOGRAPHIE 2026

不安定と革新の狭間で揺れる、4プログラムをご紹介

KYOTOGRAPHIE 2026
Top Photo:Sophie on the winter solstice, Nature’s Valley, 2020 © Pieter Hugo

14回目の開催となる国際的な写真祭「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2026」が、京都市内各所にて4月18日(土)から5月17日(日)まで開催される。毎春、京都を拠点に開催される国際写真祭「KYOTOGRAPHIE」。町屋からギャラリー、博物館、寺院に至るまで京都の文化空間の各所に会場が開かれ、街そのものが写真を祝祭する没入的な体験の場へと変貌する。2026年のテーマは「EDGE」。写真というメディアもまた、物理的、社会的、心理的なさまざまな形で立ち現れる流動的な「際(きわ)」をその内側に抱えている。先の見えない不安と、未知に触れる高揚感。展示の数々を通して、両者が共存する「あわい」が、緊張と変化が同時に生まれる場所として描かれていく。今回は多様な展示群から、Lula Japan Webが注目する4プログラムをご紹介。

1. Exhibition|Daido Moriyama Presented by SIGMA

©️ Daido Moriyama Photo Foundation
©️ Daido Moriyama Photo Foundation

日本を代表する写真家 森山大道の展覧会「A Retrospective」が、京都市京セラ美術館 本館南回廊 2階にて開催される。

1938年大阪府池田市に生まれた森山大道。
デザイナーから写真家に転身し、岩宮武二や細江英公の助手を務めたのち1964年にフリーランスとして活動を開始した。
そのダイナミックで叙情的な作品群は世界的に高く評価され、現在に至るまで国内外で大規模な展覧会を開催している。

本展は、森山のおよそ60年にわたるキャリアを俯瞰する回顧展。
ブラジルやドイツなど各地で開催された同名の展覧会が、会場に合わせて新たに構築される。

敗戦とGHQ占領下を経て急激な変化を遂げた戦後日本で自身の表現を見出し、写真という表現の慣習を揺さぶり続けてきた森山。
Andy WarholやWilliam Klein、Jack Kerouacといったアメリカの作家の影響も受けながら、写真を通して「現実の表象」や「真実と虚構」、「記憶」と「歴史」について思索してきた彼の軌跡が全方位に辿られる。

2. Exhibition|Juliette AgnelPresented by VAN CLEEF & ARPELS

© Juliette Agnel / courtesy Galerie Clémentine de la Féronnière & Photo Days
© Juliette Agnel / courtesy Galerie Clémentine de la Féronnière & Photo Days

フランスのアーティスト Juliette Agnelによる展覧会「光の薫り」が、有斐斎弘道館にて開催される。

1973年フランスに生まれ、フランス国立高等美術学校およびパリ第1大学で美術を学び、アナログ、デジタル、実験的画像など幅広い表現を探求している。
風景と光に向けた詩的かつ形而上学的なアプローチで知られ、人間と自然、そしてその間を結びつける不可視の霊性を探りながら、深夜の暗闇、あるいは砂漠や氷河といった辺境の地で制作を続けてきた。

それらの場所で捉えられるのは、作家自身が「世界の振動」と呼ぶもの。
制作の実践は哲学や人類学に通じるテーマと響き合い、主題であり象徴でもある時間や神話、そして光という存在に対する繊細な感受を浮かび上がらせる。

本展では、カラーシリーズ「Dahomey Spirit」と「Susceptibility of Rocks」に加え、新作も公開。
鉱物や植物がはらむ静謐が、大地に宿る見えざる力と共に立ち現れる。

3. Exhibition|Sari Shibata Presented by RUINART

© Sari Shibata
© Sari Shibata

アーティスト 柴田早理による展覧会「Detok Days」が、ASPHODELにて開催される。

富山県南砺市に生まれ、祖父のカメラを手にした経験から写真を撮り始めた柴田早理。
2025年、東京と南砺市の2拠点生活を開始し、古民家アートスペース「OSHITOPIA」を設立した。
能登半島地震を契機に、都市から見落とされがちな地方の視点を問い直す拠点となっている。

昨年度の「KYOTOGRAPHIE」にてルイナール・ジャパン・アワードを受賞した彼女は、フランス・ランスのシャンパーニュ・メゾン本拠地に滞在した。
本展では、周囲を囲む畑や森の中で季節の移ろいを見つめながら、女性が葡萄のように成長し成熟していくさまを捉えた作品群を公開する。

山あいの故郷から都市へ出ていくことで抱いた、自然から離れていく感覚をきっかけに、「人間」と「自然」を見つめ直してきた柴田。
ランスの地で過ごした時間の中で、自然がいかに制御できない力を持っているのかを改めて思い知らされたと彼女は語る。

4. Exhibition|Pieter Hugo

Sophie on the winter solstice, Nature’s Valley, 2020 © Pieter Hugo
Afternoon nap interrupted, Nature’s Valley, 2012 © Pieter Hugo

鮮やかで生き生きとした写真文化を持つ一方で、アパルトヘイトの歴史が世代を超えて今もなお人々に深く刻まれている国 南アフリカ。
「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2026」では、南アフリカの3世代の写真家による展示を中心に、この地に焦点を当てた特別プログラムが展開される。

その1人であるPieter Hugoは、1976年南アフリカ・ヨハネスブルグに生まれ、現在はケープタウンを拠点に活動する写真家。
ヨーロッパなど各地で大規模な個展を開催している。

本展「光が降りそそぐところ」で展開されるシリーズ「What the Light Falls On」は、決められた枠組みから外れ、場所と時間に直感的に反応し、「根源的な彷徨衝動」と作家自身が名づけた感覚に導かれながら制作されたもの。
20年以上にわたって向き合ってきた本作の上では、ポートレート、風景、静物が交差し、経験と情動のありようについての対話的で個人的な省察へと繋がっていく。

核心にあるのは、死に対する思索。
「生」から始まり「死」で終わる一連の作品群について、Hugoは「中年期と結びついたもの」、そして「肉体的にも精神的にも柔らかくなっていくこと、美と悲劇、残酷さと優しさ—これらが繰り返される生命の循環のこと」であると述べる。

不確実性に満ちた、同時に可能性の生まれる場所。
春の京都で、「EDGE」の向こう側を見つめて。



KYOTOGRAPHIE
www.kyotographie.jp/



【KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2026】
DATE:4月18日(土)~5月17日(日)
※休館日は会場により異なります。
PLACE:京都市内各所
PASSPORT:一般 ¥6,000、学生 ¥3,000
※その他、前売り割引や単館チケット、エクスプレスパスポートチケットあり
※無料会場あり
WEBSITE:www.kyotographie.jp/
※その他詳細情報は、KYOTOGRAPHIEのウェブサイトをご確認ください。

【Daido Moriyama “A Retrospective” Presented by SIGMA】
DATE:4月18日(土)~5月17日(日)
※4月20日(月)、27日(月)、5月11日(月)休館
TIME:10:00am~6:00pm
※入場は閉館の30分前まで
PLACE:京都市京セラ美術館 本館南回廊 2階
ADDRESS:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町 124
ADMISSION:一般 ¥1,500、学生 ¥800

【Juliette Agne “The Scent of Light” Presented by VAN CLEEF & ARPELS】
DATE:4月18日(土)~5月17日(日)
※4月22日(水)、30日(木)、5月13日(水)休館
TIME:9:30am~4:30pm
※入場は閉館の30分前まで
PLACE:有斐斎弘道館
ADDRESS:京都府京都市上京区上長者町通新町東入ル元土御門町524-1
ADMISSION FREE

【Sari Shibata “Detok Days” Presented by RUINART】
DATE:4月18日(土)~5月17日(日)
※4月21日(火)、28日(火)、5月12日(火)休館
TIME:11:00am~7:00pm
※入場は閉館の30分前まで
PLACE:ASPHODEL
ADDRESS:京都府京都市東山区八坂新地末吉町99-10
ADMISSION FREE

【Pieter Hugo “What the Light Falls On”】
DATE:4月18日(土)~5月17日(日)
※4月20日(月)、27日(月)、5月11日(月)休館
TIME:10:00am~6:00pm
※入場は閉館の30分前まで
PLACE:京都市京セラ美術館 本館南回廊 2階
ADDRESS:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町 124
ADMISSION:一般 ¥1,000、学生 ¥500

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