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「腹いっぱい食べても勝手に7キロ落ちて、お笑いを始める前の体重に」結婚&2児の父になり食生活が一変…芸人アキナ・山名が”リアルに食べているもの”

  • 2026.4.17
アキナの山名文和さん。

お笑い芸人さんに、愛する地元のおいしい食べ物や仕事でよく行く場所でのおいしいものを語ってもらう不定期連載「芸人ソウルフード」。

第3回に登場いただくのは、アキナの山名文和さん。滋賀県東近江市出身で、現在は大阪を拠点に活動しています。食への関心も高く、最近では奈良の豆腐店まで豆腐づくりを習いに行ったり、味噌づくりへの意欲を掻き立てているそう。そんな山名さんに地元の馴染みの深い食べ物や誰かに渡したいお土産、ご自身の食生活など語ってもらいました。


アキナ・山名文和さん。

――生まれ育った滋賀県東近江市はどんなところですか。

滋賀県のちょうど真ん中あたりで、地図で見ると琵琶湖の右側にある街です。といっても、琵琶湖までは1時間くらいかかる場所で、滋賀県では拓けているほうですけど、山間でちょっと行けば自然にも囲まれているところですね。

――地元の“ソウルフード”と聞いて、思い浮かべるのはどんなものでしょう。

有名なのはコッペパンにマヨネーズであえたたくあん漬けが挟んである「サラダパン」ですよね。

地元を離れると、県民食を俯瞰で見直すような機会って出てくるじゃないですか。大阪に出てからサラダパンが有名やっていうのを聞いたんですけど、僕は全然知らなくて。『秘密のケンミンSHOW』で放送されたことで有名になって、滋賀県全域で売られるようになったんじゃないかなと思うんですけど、1回も食べたことはなかったですね。

「みんな食べたことがないものなんや」って気づいた滋賀の食べ物は、日野菜(ひのな)。カブみたいな野菜の根っことか茎の部分も刻んで漬けもんにした日野菜漬けっていうのがあるんですけど、それは毎日のように食べてました。

日野菜は赤と白のかわいいカブ。滋賀の伝統野菜のひとつ。提供:kisasage/イメージマート

――漬物ということはそのまま食べるんですか?

醤油をかけたり、七味を振ったりして。これがねぇ、むちゃくちゃおいしいんですよ。

あとは、母親が「今日、なになにさんから貰うてきたわ」って言うて、ちっちゃい鮎や小さいシジミを煮た甘辛い佃煮もよく食卓に並んでました。

それから、「えび豆」っていう湖で採れたスジエビと大豆を一緒に炊いたやつがあるんですよ。口の中に入れるとちっちゃいエビの髭がチャッチャって刺さってちょっと痛いんですけど、噛み潰した時の食感がよくてめっちゃうまい。スジエビと大根を薄味で炊いたやつも、よく晩ご飯に出ててました。

この辺はみんなが食べてるもんやと思ってたんですけど、大阪に出て、あぁ、みんな知らん食べ物やったんやと気づきました。

スジエビ。写真:yamaoyaji/イメージマート

――琵琶湖で獲れたものは、生活の中に馴染んでいるんですね。

そうですね。基本、肉はあんまり食べなくて、ほぼ魚。僕の家は特にそうだったのかもしれませんけど、揚げ物とかハンバーグとかが食卓に並ぶことはなかったです。

いつもの晩ごはんは、たとえばメインが焼き魚だとしたら、煮物のほかに、さっき話したような佃煮的なやつがちっちゃい器にたくさん並んでるって感じです。

「今日のおかず、ハズレやな」と思ったら、自分でその辺を冷蔵庫から取り出して、ご飯にかけて何杯か食べたりもしてましたね。

実家のひじきの煮物を食べたくて猛特訓

辿り着いたのはシンプルな味。写真:kamadon/イメージマート

――その後、芸人を目指して大阪に出るわけですが、食文化の違いは感じましたか?

関西人はたこ焼きやお好み焼きってめちゃめちゃ食べるって知られてるますけど、大阪に出てこんなにお店が多いんやと驚きましたね。

僕はそんなに食べて育ってなかったというだけで、滋賀でもたとえば小学生の頃、土曜日に3限で授業が終わって昼前にみんなで帰る時に「今日お好み焼きやねん」って言うてる子もいたので、ほかの家庭では滋賀でも食べてたやと思います。うちは1、2回、母親が焼いてくれた記憶しかないですね。

大阪に出てから、たこ焼きやお好み焼きもちょいちょい食べるようになりましたけど、大人になると子供の頃に嫌やったものが好きになるじゃないですか。結局、今は煮物や魚が好きなんですよ。味噌汁、納豆、大根おろし、漬物とかが一番好きですね。

――そういう中で、実家に帰ると必ず食べるものはありますか?

郷土料理ではないんですけど、母親の作るひじきの煮物ですね。うちは炊き立てのひじきの煮物が、でっかい皿にドーンと盛られてたんですよ。あんまり意識してなかったんですけど、当時の僕はそれをご飯に盛り盛り乗せて、4、5杯食べてたみたいなんです。

大阪に来てから、うわぁ、俺、むっちゃ好きやったやん、あれって気づいて。食べられなくなるんは嫌やな、覚えておきたいと思って、母親のひじきの煮物を作れるように特訓した時期がありました。うちのはちょっと濃いめの味つけなんです。

おいしそうにひじきを頬張る山名さん。

――Instagramのストーリーズに、一時期、大量のひじきの煮物をあげていたのはそれだったんですね。レシピを教えてもらったんですか?

レシピと言ってもなんとなくでしか味付けしてないから、「醤油をぐるっと1周や」とかを電話で聞いて。舌が味をうっすら覚えてるから、もうちょい甘めかなとか試しながら作っていきました。味を近づけることはできるんですけど、最後にきれいな艶を出すのがどうしても難しくて、母親ってすごいなと思いましたね。今は(パートナーである宇都宮)まきさんに食べてもらったり、説明したりして、その味でひじきの煮物を作ってもらうようになりました。

おばあちゃんが作るちらし寿司も好きやったんですけど、おかんも周りの人も全員習わんまま、おばあちゃんが亡くなってしまって、もう一生食べられないんです。それもあって、ひじきの煮物は習っておこうと思ったんですよね。

――ちらし寿司はどんなものだったんですか。

何が違ったんやろ? とにかく酸味が立ってなくて、ふわっと甘いところが好きやったんです。具だくさんで、しいたけ、ピンク色のかまぼこ、グリンピースとか入ってました。小学校くらいに食べたのが最後なんですよね。

おにぎりを食べた瞬間、味の記憶が蘇った

ロケで食べたおにぎりで……。写真:beauty_box/イメージマート

――味と匂いって思い出しにくいというか。食べてみて、あぁ、これこれ! と思うことが多い気がします。

あぁ、それわかります。昔、実家ではおばあちゃんの家から近江米っていうお米を送ってもらってたんですけど、中学生くらいでおじいちゃん、おばあちゃんともに亡くなって、そのお米が食べられなくなったんです。

そこから近江米を口にしてなかったんですけど、昨年かな? 地元の近くにあるおいしいおにぎり屋さんに、ロケで行かせてもらったんです。そこで、おにぎりを食べさせてもらったんですけど、近江米やったんでしょうね。口に入れた瞬間、小学生の頃の思い出がぶわーっと蘇って。当時はお米が変わったことにすら気づいてなかったんですけど、うわぁ、おばあちゃんの作ってたお米や! って思いましたね。

――食って、人のアイデンティティに根付くものですよね。大阪と滋賀はそこまで離れてないですが、それでも感じるものがあるというのが、地域性があって面白いというか。

もしかしたら、体にインプットされているのかもしれないですね。変な話ですけど、実家でご飯を食べると、お通じがよりよくなるのもそういうことなんかなと思います。

今、実家に帰る時は家族と一緒じゃないですか。母親がまきさんや子供にちょっとでもええもんを食べさせようと張り切って、近くの店でテイクアウトしたものを出してくれるんです。それもありがたいんですけど、そうなると家のご飯が食べられてないんですよね。それでも、ひじきの煮物は炊いていてくれるのは嬉しいですね。

――結婚されてから食生活に変化はありましたか?

特に子どもが生まれてからめっちゃ変わりました。

独身の頃から、和食を食べると最高や、こういう食事が毎日摂れたらいいなとは思ってはいたんです。けど、実際は自分では作らへんし、食材を買いに行くのも面倒くさいし、買ったところで毎日料理するのは無理やし、腐らせてしまうから、結局外食ばっかりになってたんです。

けど、結婚して子どもが生まれてから、まず長生きしたいなと思うようになって。まきさんと健康に気を遣おうという意識が合致してから、発酵食品、野菜の素材そのままのものをむっちゃ食べるようになりました。

お米も玄米に変えましたし、大豆製品、漬け物とか、戦前からあるものをより摂るようになりましたね。だからか、腹いっぱい食べても7キロくらい痩せて、体重だけやったらお笑いを始めた頃に戻りました。

和食中心の生活に。提供:アフロ

――体に合ってるんでしょうね。

ほんまにそうやと思います。日本は昔から水がきれいやから、油を使った料理が少ないというのを何かで読んだことがあるんです。

一切食べないわけではないですし、今は子どもが少し大きくなってハンバーグが食べたいと言い出すようになったので、食べてますけど、まきさんと「そろそろ、1回戻そうか」と話して、またいつもの食事に戻したりして。油を使うにしても、米油にしたりと意識するようになりましたね。

――お仕事でロケに行かれることも多いでしょうし、Instagramにおいしいものもあげているイメージがありますが。

そういうのは、まきさんがよく知ってるんです。この前、青森の方からいただいた「青森の旨辛にんにくラー油」がうますぎました。雑味がないというか、青森のでっかいニンニクだけを作ったような味がして。そうやって、おいしいものを見つけると、まきさんが箱買いしてますね。

豆腐に味噌…探求心が止まらない!

豆腐修業が始まる!? 提供:アフロ

――奈良のお豆腐屋さんにお豆腐作りの見学に行かれたりもしてますよね?

豆腐が好きすぎて、昨年の春辺りに豆腐の作り方を学びたいと思ったんです。街の豆腐屋さんに見学行きたかったんですけど、急には無理かと。けど、これだけ強く思ってるということはいつか見学させてくれる方が現れるやろうと思って、心に蓋をして日常を過ごしていたら、昨年の夏、奈良の豆腐屋さんにロケに行く機会があって。

カメラが止まって、インサートの撮影中に立ち話をしていたら、女将さんから急に「今度おいでよ。豆腐の作り方を教えてあげる」って言われて。あぁ、この人やったんやと思って、ぜひにとお願いしたんです。

なんで、朝4時半に起きて奈良まで行って、豆腐を作ってるのを見させてもらっています。

――ほかにも興味のある食材はありますか?

今の街に引っ越してから、近所のおばちゃんから手作りの味噌をもらったんです。それを知らんと、まきさんが作ってくれた味噌汁を飲んで「今日の味噌汁うますぎん?」って言ったら、その味噌で。そこから、家で味噌を作りたいという気持ちが強くなって、「そのおばちゃんと俺を繋げてくれ」とまきさんにお願いしました。

1回、自分で作ろうと思って、なんばの堺筋沿いにある昔からある味噌店に行ったんです。今は講習をやってないと言われたんですけど、そのお店の方に「家で作る味噌が一番いいです」って言われて。さらに味噌を作りたいという思いは強くなったんですけど、そのおばちゃんをなかなか口説き落とせなかったんです。けど、ようやくいいよって言ってもらえたので、教えてもらったら暖かくなるまでに家で何度か作って試したいなと思ってます。

味噌造りを始めた山名さん。

――お子さんの体のことも考えて、今の食事に行き着いたということは、ご自身のお母さんが小さい頃、地のものだとかを使ったご飯を出してくれた気持ちへの理解もより深まっているんじゃないですか。

それ、めっちゃわかるようになりました。ああいうご飯を出してくれて、ほんまによかったなと思いますね。

――最後に。滋賀からほかの地域の方にお土産を渡すとしたら、何を選びますか?

「和た与」さんのういろう。近江八幡名物で、もっちもちでめっちゃおいしいので、お土産で選ぶことが多いですね。あと、まだ実行したことはないですけど、家族の方への贈り物として日野菜の漬け物も贈ってみたいなと思ってます。滋賀やと「クラブハリエ」も有名で、バウムクーヘンはもちろんおいしいんですけど、リーフパイミニがおいしいです。

アキナ・山名文和(あきな・やまなふみかず)

1980年生まれ、滋賀県東近江市出身。NSC大阪校26期生。2012年に秋山賢太とアキナを結成。「第45回NHK上方漫才コンテスト」「第4回NHK新人お笑い大賞」などの受賞歴を持ち、「キングオブコント」では2014年、2015年、2017年の3度ファイナリストに。2016年には「M-1グランプリ」で決勝進出を果たした。2021年に吉本新喜劇の宇都宮まきとの結婚し、2児、愛犬おまめと暮らす。大阪を拠点に活動中。YouTube「アキナのアキナいチャンネル」では食を深ぼりする動画も。
Instagram @fumikazu_yamana
X @sausageyamana

文=高本亜紀
写真=佐藤 亘

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