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あの人を遠ざけ続けた半年間、私が本当に怖かったのは「出戻り」という言葉が自分に届く日だった

  • 2026.4.16
ハウコレ

幼稚園で「出戻りだからね」と口にしたあの日のことは覚えています。けれどあの言葉は、あの人に向けたものではなかったのかもしれません。

口にしてしまった日

入園式の駐車場で、つい口が滑りました。

「あの人、出戻りだからね」

新しく転入してきた親子の話題になったとき、気づけばそう言っていたのです。言った瞬間、周りのお母さんたちの表情が少しだけ変わったのがわかりました。けれど誰も否定しません。それが余計に後味を悪くしました。

本当は知っていたのです。あの言葉が誰かを傷つけるものだということくらい。それでも口にしたのは、そうすることで自分の足元が揺れていないふりができたからでした。

自分の家で起きていたこと

あの頃、夫との関係が少しずつ壊れ始めていました。夕食の会話が減り、休日も別々に過ごすことが増え、ある夜、夫が「少し距離を置かないか」と言いました。喉の奥がつまって、何も返せませんでした。あの人を見ると胸がざわつくのは、偏見ではなく予感だったのかもしれません。

元夫と別れてひとりで子供を育てている女性がすぐそばにいることが、自分の数年後を見せられているようで、どうしても直視できなかったのです。あの人を遠ざけることで、自分はまだ大丈夫だと言い聞かせていました。

娘に見抜かれた壁

発表会が終わった夜、娘がぽつりと言いました。「お母さんたち、なんで一緒に遊ばないの?」娘は、あの人の娘と毎日のように遊んでいます。お母さん同士が一度も話さないことを、5歳の子供はちゃんと見ていたのです。

「大人にはいろいろあるの」と言いかけて、その「いろいろ」の中身が自分の弱さだと気づいてしまい、言葉が続きませんでした。娘の目がまっすぐすぎて、視線をそらしたのは私のほうでした。

そして...

参観日、教室の前であの人と目が合いました。娘たちが並んで絵を描いていて、2人でこちらに何かを見せようとしています。

あの人が先に、小さく頭を下げました。「いつもうちの子がお世話になってます」

返さなければ。返したい。けれど声が出るまでに一瞬、間ができました。同じ言葉を返しながら思いました。

この人を遠ざけていたのは偏見ではなかった。私はただ、この人の「今」がいつか自分の「未来」になることが怖かっただけです。

壁を作っていたのは周りではなく、私自身の弱さでした。娘たちが絵を掲げて笑っているあの顔を見て、せめてこの子たちの前では、もう目をそらさないでいようと思いました。

(30代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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