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「何歳から肥満になったか」で死亡リスクは大きく異なる

  • 2026.4.14
体重が増え始めたのはいつでしょうか? / Credit:Canva

社会人になってから、気づけば体重が増えていた。

そんな経験はないでしょうか。

学生時代より運動量が減り、食生活も変わる中で、数キロの増加は珍しいことではありません。

ですが実は、その増え方以上に重要なのが、「何歳ごろから増え始めたか」というて点かもしれません。

スウェーデンのルンド大学(Lund University)の研究チームは、17歳から60歳までの体重変化と、その後の死亡リスクとの関係を大規模データで調べました。

その結果、若い時期の体重増加ほど、将来の健康リスクと強く結びついていることが分かりました。

この研究は2026年4月10日、『eClinicalMedicine』に掲載されました。

目次

  • 「いつ体重が増えたか」が需要だった
  • 20代の体重増加がなぜ死亡リスクを高めるのか

「いつ体重が増えたか」が需要だった

肥満が健康に悪いことは、すでによく知られています。

心臓病や糖尿病、一部のがんのリスクを高めることも、これまで多くの研究で示されてきました。

ただ、今回の研究が見たのは、ある時点で太っていたかどうかではありません。

研究チームが注目したのは、人生の中で体重がどのように増えていったのか、そして肥満が何歳ごろ始まったのかという点でした。

研究には、スウェーデンの約62万人が参加。

対象者は17歳から60歳の間に少なくとも3回以上、体重の記録が残っていた人たちです。

記録の多くは医療機関や徴兵時などで実際に測定された値で、過去を思い出して答える自己申告よりも信頼しやすいデータでした。

研究チームは、こうした記録をもとに、17歳から60歳までの体重の増え方を推定。

さらに、BMIが30以上になった最初の時点を「肥満の始まり」として、その年齢も調べています。

そのうえで、研究では主に3つの観点から分析が行われました。

1つ目は、17歳から60歳まで体重がどんなカーブで増えていったか。

2つ目は、肥満が17〜29歳、30〜44歳、45〜60歳のどこで始まったか。

3つ目は、17〜29歳、30〜44歳、45〜60歳の各時期に、どれだけ体重が増えたかです。

そして、これらがその後の全死亡や、心血管疾患、がん、2型糖尿病などによる死亡とどう関係するかを調べました。

結果ははっきりしていました。

体重が大きく増えていく人ほど死亡リスクは高く、特に若い時期の増加と、若い時期の肥満開始が強く関係していました。

17〜29歳で肥満になった人は、60歳まで肥満にならなかった人と比べて、全体の死亡リスクが男女とも約1.7倍高くなっていたのも驚きです。

つまり今回の研究は、「どれだけ太ったか」だけでなく、「いつ太ったか」が重要だと示したのです。

では、どの年代の体重増加がどれほど強く影響し、男女でどんな違いがあったのでしょうか。

20代の体重増加がなぜ死亡リスクを高めるのか

詳しく見ると、この研究で特に目立っていたのは17〜29歳の体重増加でした。

若い時期の体重増加は、全死亡だけでなく、心血管疾患やがんなど主要な死亡リスクと強く結びついていました。

また、心血管疾患、2型糖尿病、がん、消化器疾患、泌尿器系を含む病気など、多くの慢性疾患に関係していました。

特に糖尿病や高血圧との結びつきは強く、体重増加が体のさまざまな仕組みに長く負担をかけていることがうかがえます。

体重が年0.5キログラム多く増えるごとに、全死亡リスクは男性で1.18倍、女性で1.16倍になっていました。

若い時期の増加ほど、その後の影響が大きかったのです。

一方で、30代以降では、若い頃のように体重が増えた分だけそのままリスクが高くなる、という単純な関係ではありませんでした。

30〜44歳や45〜60歳では、年0〜0.25キログラムほどのごく緩やかな増加で、最もリスクが低い傾向が見られました。

つまり中年以降では、少し体重が増えたからといって、すぐに危険だとは言えなかったのです。

では、なぜ若い時期の体重増加が危険なのでしょうか。

研究チームは、その理由の1つとして「長い暴露期間」を挙げています。

若い時に太ると、その後の人生で過剰な体重の影響に長くさらされやすくなります。

脂肪組織は、ただのエネルギーの貯蔵庫ではありません。

炎症やホルモン分泌にも関わるため、その影響が長く続けば、インスリン抵抗性や慢性炎症などが積み重なり、病気のリスクを押し上げると考えられます。

ただし、女性のがん死亡では少し違う傾向も見られました。

体重増加の時期による大きな差は見られず、若い時でも中年以降でも、おおむね同じようにリスク上昇と結びついていました。

研究者たちは、この背景に更年期と関連したホルモン変化などが関わっている可能性を考えています。

では、私たちはこの研究を日常でどう受け止めればよいのでしょうか。

この研究が直接示したのは、「若い時期の体重増加を防ぐことが重要だ」という点です。

特に20代は、生活習慣が固まりやすい時期でもあります。

だからこそ、体重の数字そのものよりも、毎年少しずつ増え続けていないかを見ることが大切です。

数キロの増加を放置せず、早い段階で生活のリズムを立て直すことが、将来の健康を考えるうえで重要だと言えます。

今回の研究が教えてくれるのは、体重は「今どれくらいあるか」だけで見るものではないということです。

健康リスクを左右していたのは、体重の数字そのものよりも、それが何歳ごろから増え始めたかだったのです。

参考文献

Weight gain in your 20s may matter most: Why the health impact can last decades
https://medicalxpress.com/news/2026-04-weight-gain-20s-health-impact.html

元論文

Weight trajectories and obesity onset between 17 and 60 years of age, and cause-specific mortality: the Obesity and Disease Development Sweden (ODDS) pooled cohort study
https://doi.org/10.1016/j.eclinm.2026.103870

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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