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母の死後、“90万の家族葬”を選んだ60代娘→『費用を抑えられる』と思いきや…葬儀後、“届いた請求額”を見て絶句。

  • 2026.6.16
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、家計・資産形成・相続など、お金に関するご相談をお受けしている、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

近年、「親の葬儀は家族葬で」と考える人は増えています。参列者を親族や親しい人に絞るため、一般葬より費用を抑えられるイメージを持つ方も多いでしょう。

しかし、家族葬だからといって、必ず安く済むとは限りません。基本料金に何が含まれているのか、どこから追加費用になるのかを確認しないまま進めると、請求額が想定を上回ることがあります。

さらに、生命保険金で葬儀費用を支払うつもりでも、入金がすぐとは限りません。今回は、家族葬と保険金をめぐる葬儀費用の落とし穴を見ていきます。

「家族葬なら安いはず」が崩れた請求書

60代女性のAさん(仮名)は、80代の母親が亡くなった際、「大がかりな葬儀ではなく、家族だけで静かに送りたい」と考えました。母親は死亡保険金300万円の生命保険に加入しており、受取人はAさんになっていました。Aさん夫婦は「家族葬なら保険金で十分まかなえるだろう」と思っていました。

葬儀会社から最初に提示された家族葬プランは約90万円。式場使用料、棺、祭壇、遺影写真、司会進行などが含まれていると説明され、Aさん夫婦は「思ったより抑えられそうだ」と感じました。

ところが、母親が亡くなったのは連休前でした。火葬場の空きがすぐに取れず、葬儀までの日数が予定より2日延び、安置費用やドライアイス代が追加されました。

また、病院から安置施設への搬送費も基本プランには含まれていませんでした。Aさん夫婦は「搬送も当然含まれている」と思っていましたが、距離や時間帯によって別料金になると説明されたそうです。

さらに、家族だけのつもりでしたが、母親のきょうだいや近い親族には知らせることになり、参列者が当初の予定より増えました。10人程度を想定していたものの、最終的には20人近くになり、料理や返礼品の数も追加することになりました。

「せっかく最後のお別れだから」と、祭壇まわりの生花も少し増やしたそうです。ひとつひとつは数万円でも、安置費用、搬送費、料理、返礼品、生花と重なると、負担は大きくなります。

葬儀後に届いた請求額は約185万円。最初の見積もり約90万円の倍近い金額でした。Aさん夫婦は、生命保険金300万円があるため最終的には払えると考えていましたが、葬儀会社への支払い期限は葬儀後すぐでした。

一方、保険金を受け取るには、死亡診断書や保険会社所定の請求書類、本人確認書類などが必要です。保険証券や契約内容の確認にも時間がかかり、請求手続きがすぐには進みませんでした。

結果として、保険金の入金を待たずに、いったん夫婦の普通預金から葬儀費用を立て替えることに。Aさん夫婦にとって想定外だったのは、葬儀費用の総額だけでなく、「支払いのタイミング」でもあったのです。

見積額と請求額がズレやすい費用に注意

家族葬は、参列者を少なくすることで会場費や飲食費を抑えやすい面があります。ただし、葬儀に必要な費用は、式そのものだけではありません。

たとえば、安置費用、搬送費、ドライアイス代、火葬に関連する費用、料理、返礼品、生花、宗教者へのお礼などは、プランに含まれる場合もあれば、別料金になる場合もあります。

特に注意したいのは、人数や日数によって変わる費用です。親族の人数が増えれば料理や返礼品の数も増えます。火葬場の空き状況によって葬儀までの日数が延びれば、安置費用が増えることもあります。

また、「家族葬」といっても内容は葬儀会社によって異なります。祭壇、棺、遺影、会場使用料、搬送、役所手続きの代行など、どこまで含まれているかは一律ではありません。

見積書を見るときは、合計額だけで判断せず、「この金額でどこまで含まれるのか」「人数や日数が増えた場合はいくら上がるのか」を確認しておきましょう。

葬儀費用は「払えるか」だけでなく「いつ払うか」

私がご相談を受けるなかでも感じるのは、葬儀費用については、葬儀費用は「最終的に払えるか」だけでなく、「支払い期限までに用意できるか」まで見ておく必要があるということです。

生命保険金があれば安心と思いがちですが、保険金は請求してすぐ入るとは限りません。死亡診断書や保険会社所定の書類をそろえる時間がかかり、書類に不備があれば入金までさらに時間を要することもあります。

そのため、葬儀費用を保険金でまかなう予定がある場合でも、次の点は事前に確認しておくと安心です。

  • 葬儀プランに何が含まれ、何が追加費用になるのか
  • 人数や安置日数が増えた場合、費用がどのくらい上がるのか
  • 生命保険金の受取人は誰か、保険金額はいくらか
  • 保険金が入る前に、誰が一時的に立て替えるのか

特に、親の葬儀では「そのとき考えればよい」と後回しにしがちです。しかし、実際には亡くなってから葬儀までの時間は短く、落ち着いて比較や確認をする余裕がないことも少なくありません。

家族葬は、費用を抑えやすい選択肢のひとつです。ただし、形式名だけで安心せず、見積もりの中身と支払い時期を確認しておくことが大切です。保険金をあてにする場合でも、いったん立て替える資金まで考えておくと、いざというときの家族の負担を軽くできます。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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