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「手続きも楽になる」“マイナ保険証”を登録した70代夫婦→『これで安心だ』病院へ行くと…窓口で起きた“思わぬ事態”

  • 2026.7.5
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 IFAの石坂です。

高齢期の家計では、医療費への備えが大きなテーマになります。

マイナ保険証を使えば、医療機関等で限度額情報を確認できる場合、限度額適用認定証なしで窓口負担を抑えられることがあります。一方で、窓口で資格確認がうまくできないと、受付で戸惑ったり、医療費の確認に時間がかかったりすることもあります。

今回は、70代夫婦の事例をもとに、マイナ保険証と医療費管理の注意点を解説します。

マイナ保険証で医療費も安心…のはずが窓口で困惑

Aさんは75歳、妻は72歳です。

夫婦とも年金生活で、毎月の年金収入は合計で約23万円。住宅ローンはありませんが、食費、水道光熱費、通信費、医療費などを差し引くと、毎月の黒字は2万円ほどでした。

夫婦とも毎月1回、近所の内科に通っており、Aさんは血圧の薬、妻は糖尿病の薬を受け取っているそうです。普段の窓口負担は、診察代と薬代を合わせて夫婦で月5,000円前後です。毎月必ず出ていく固定費のような支出になっていました。

さらにAさんは、以前から白内障の手術を勧められていました。医師からは「手術や検査の内容によっては、通常の通院より窓口負担が大きくなることがある」と説明されています。妻も血糖値の状況によっては、追加検査で数千円から1万円程度の負担が出る可能性がありました。

Aさん夫婦の普通預金には約60万円ありましたが、冠婚葬祭や家電の買い替えも考えると、医療費だけに自由に使えるお金は多くありません。

子どもから「マイナ保険証なら医療費の手続きも楽になる」と聞き、夫婦はマイナンバーカードを健康保険証として使えるように登録しました。「これで高額な医療費がかかっても安心だ」と思い、次の通院日にはマイナンバーカードだけを持って医療機関へ向かったそうです。

ところが、受付でカードリーダーにかざしても、うまく読み取れません。顔認証も進まず、暗証番号を求められましたが、Aさんは4桁の番号をはっきり覚えていませんでした。妻も「登録は子どもに手伝ってもらったので、自分ではよく分からない」と困ってしまいます。

その日はスマートフォンも持っておらず、マイナポータルの資格情報画面を見せることもできなかったそうです。診察は受けられたものの、受付で20分ほどかかり、Aさん夫婦は不安を感じました。

特にAさんは、「もし今日が手術前の検査日で、窓口負担が数万円になっていたらどうなっていたのか」と心配になったそうです。

カードはあるのに確認できない…受診前に見落としやすいポイント

マイナ保険証は便利な仕組みですが、「カードを持っているだけ」で医療費の確認まで必ずスムーズに進むとは限りません。

まず確認したいのは、健康保険証としての利用登録が済んでいるかどうかです。マイナンバーカードを持っていても、利用登録が済んでいなければ、マイナ保険証としては使えません。

また、医療機関側のカードリーダー、通信状況、カードのICチップ不良などによって、資格確認がうまくできない場合もあります。高齢の方の場合、暗証番号を忘れている、顔認証の操作に戸惑う、スマートフォンで資格情報を確認できない、といったことも起こりやすくなります。

さらに、資格確認書と資格情報のお知らせを混同しないことも大切です。資格確認書は、マイナ保険証を持っていない方などが、医療機関で保険資格を確認するために使う書類です。一方、資格情報のお知らせは、自分の保険資格の内容を確認するための書類です。

資格情報のお知らせだけでは保険診療を受けられませんが、マイナ保険証での受付がうまくいかない場合に、マイナンバーカードと一緒に提示することで、資格確認に使えることがあります。名前は似ていますが、役割は同じではありません。

高齢の親がいる家庭では、通院前に、マイナ保険証の利用登録、暗証番号、資格確認書の有無、資格情報のお知らせを確認しておくと安心です。

入院や手術の予定がある場合は、医療機関に、マイナ保険証で限度額情報を確認できるか、窓口でどのような操作が必要かを事前に聞いておくと良いでしょう。

FPが見る、医療費トラブルを防ぐ受診前チェック

マイナ保険証の注意点は、単なる受付手続きではありません。高齢期の医療費をどう管理するか、急な支出に家計が対応できるかという問題です。

高額療養費制度により、保険診療の自己負担には一定の上限があります。ただし、差額ベッド代、入院中の食事代、保険外診療などは対象外となるものがあります。そのため、「高額療養費があるから医療費は何も心配ない」と考えるのではなく、窓口負担と対象外費用を分けて考える必要があります。

医療費用として、最低でも数万円から十数万円程度をすぐ使える預金で用意しておくと、急な検査や入院時の不安を減らしやすくなります。

マイナ保険証は、正しく使えれば医療費管理にも役立つ仕組みです。

しかし高齢者の医療受診では、「カードを作ったから安心」ではなく、「窓口で使える状態か」「医療費の上限確認までできるか」を家族で確認しておくことが大切です。

受診前の小さな確認が、急な医療費負担や家族の不安を防ぐ備えになります。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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