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“年103万の扶養内”で働いていた40代主婦→「年収の壁が上がったから」収入を130万に増やすが…翌年、届いた“1通の通知”

  • 2026.7.6
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、家計・資産形成・相続など、お金に関するご相談をお受けしている、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

パートで働く方の中には、令和8年度税制改正を見て「これまでより働く時間を増やしやすくなる」と感じた方もいるでしょう。たしかに、所得税では基礎控除や給与所得控除の見直しが行われ、給与収入だけで考えると、所得税がかからない目安は従来より広がっています。

ただし、ここで注意したいのは、所得税と住民税は同じ基準で決まるわけではないことです。所得税がかからない範囲で働いたとしても、翌年の住民税までゼロになるとは限りません。

今回は、令和8年度税制改正に基づく令和8年分所得と令和9年度住民税を前提に、年収の壁の見直しで見落としやすい住民税について確認します。

「年収の壁が上がったから大丈夫」の思い込み

40代のパート主婦Aさんのケースで考えてみます。

Aさんは、これまで夫の扶養を意識しながら働いていました。年収は毎年103万円前後に収まるよう、シフトを調整していたそうです。勤務先からは以前から、「もう少し勤務日数を増やせないか」と相談されていました。

ただ、収入を増やすことで税金や扶養に影響が出るのではないかと考え、Aさんは慎重になっていました。

そんな中、令和8年度税制改正で「所得税の年収の壁が178万円に見直される」と知ります。Aさんは「103万円を超えても、以前ほど所得税を気にしなくてよいのでは」と考えました。

そこで、勤務先の社会保険の加入条件に該当しない範囲で勤務時間を調整しながら、年間のパート収入を103万円から129万円程度に増やすことにしました。

月収で見ると、約8万6,000円から約10万7,000円に増える計算です。年間では約26万円の収入増になります。Aさんは「所得税がかからない範囲が広がったなら、税金面の不安は小さいはず」と考えていました。

実際、給与収入129万円でほかに所得がない場合、所得税はかからない計算になります。

令和8年度税制改正により、令和8年分・令和9年分の所得税では、一定の所得以下の人について、給与所得控除の最低保障額が74万円、基礎控除が最大104万円とされています。給与収入だけで考えると、74万円と104万円を合わせた178万円が、所得税がかからない一つの目安になります。

そのため、Aさんのように給与収入が129万円程度で、ほかに所得がなければ、所得税は発生しない計算になります。

ここだけを見ると、Aさんの考え方は大きく間違っていません。ただし、Aさんが見落としていたのが住民税です。

※住民税でも、令和8年分の所得をもとに計算される令和9年度分、また令和9年分の所得をもとに計算される令和10年度分については、給与所得控除の最低保障額が74万円となります。一方で、住民税の基礎控除は、所得税のように104万円まで広がるわけではありません。

給与収入129万円の場合、給与所得控除74万円を差し引くと、給与所得は55万円です。所得割の計算では、ここから住民税の基礎控除43万円などを差し引きます。基礎控除だけで単純に見ると、課税対象は12万円です。

住民税の所得割を10%として計算すると、所得割は約1万2,000円になります。

※実際の住民税は、調整控除、均等割、森林環境税、自治体ごとの非課税基準、扶養や生命保険料控除などの所得控除によって変わります。そのため、自治体や本人の状況によって、年1万円台半ばから2万円台程度の負担が出る場合があります。

Aさんの場合、年収は約26万円増えています。そのため、住民税が発生しても、手取り全体では増える可能性があります。

しかし、「所得税がかからないなら、住民税もほとんどかからない」と考えていると、翌年6月ごろの住民税通知を見たときに、想定外に感じるかもしれません。

※住民税の非課税基準は、自治体や本人の状況によって異なります。住民税の基礎控除額は、今回の記事で扱う所得税の基礎控除104万円とは異なります。なお、本記事は令和8年度税制改正に基づく令和8年分所得と令和9年度住民税を前提にしています。税制改正の内容は年度によって変わるため、実際の金額は最新の自治体案内や住民税決定通知書で確認する必要があります。

税金ゼロとは限らない理由

Aさんの事例で大切なのは、「年収の壁」を1つの基準として考えないことです。

年収の壁という言葉はよく使われますが、実際には複数の制度が関係しています。本人の所得税、本人の住民税、配偶者控除、社会保険、勤務先の家族手当など、それぞれ確認するポイントが違います。

所得税の負担が軽くなる場合でも、住民税の非課税判定まで同じように変わるわけではありません。

また、住民税はその年の収入にすぐ課税されるものではありません。前年の所得をもとに、翌年度に計算される仕組みです。

そのため、収入を増やした年は毎月の給与が増え、家計に余裕が出たように感じやすくなります。しかし、翌年になって住民税の通知を受け取り、そこで初めて負担を意識することがあります。

さらに、住民税には所得に応じてかかる所得割だけでなく、一定額を負担する均等割や森林環境税もあります。非課税だった人が課税対象になると、所得割以外の負担も発生する場合があります。

つまり、所得税がかからないことと、住民税がかからないことは別の話です。この違いを見落とすと、働く時間を増やした後の手取りを実際より多く見積もってしまう可能性があります。

今回のAさんは、勤務先の社会保険の加入条件に該当しない範囲で、年収130万円未満に抑えたケースです。それでも、住民税については別途確認が必要になります。

一方で、年収130万円以上を目指す場合や、勤務先の社会保険の加入条件に該当する場合は、住民税だけでなく、社会保険料の負担も大きな確認ポイントになります。社会保険の扶養から外れたり、自分で健康保険や厚生年金に加入したりすると、税金よりも保険料の負担の方が家計に大きく影響することがあります。

パート収入を増やすときは、税金だけでなく、扶養の範囲や社会保険の加入条件、配偶者側の手当もあわせて確認することが大切です。

年収の壁で見落としやすい税金

パート収入を増やすときは、「今年いくら受け取れるか」だけで判断しないことが重要です。

特に見落としやすいのが、翌年に反映される住民税です。収入を増やした年は、月々の給与が増えるため、手取りが増えたように感じます。しかし、住民税は時間差で反映されます。そのため、翌年の通知まで含めて考えないと、家計の見通しがずれることがあります。

Aさんのように年収103万円から129万円程度へ増やす場合、収入そのものは年間で約26万円増えます。住民税が発生しても、単純に見れば手取りが増える可能性はあります。

ただし、勤務先の社会保険に加入するかどうか、配偶者側の控除に影響があるか、家族手当が減るかどうかによって、世帯全体の手取りは変わります。そのため、「178万円までなら所得税がかからないか」「130万円未満なら大丈夫か」だけで判断するのは十分ではありません。

見るべきなのは、どの制度に影響し、いくら負担が増え、最終的に世帯の手取りがどう変わるかです。年収の壁の見直しにより、以前より働き方を広げやすくなった面はあります。

一方で、所得税と住民税の違いを知らないまま収入を増やすと、翌年の通知で戸惑う可能性があります。パート収入を増やす前には、今年の収入だけでなく、翌年の住民税まで含めて確認しておきましょう。

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