1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 「成人したら渡す」孫3人のため“1,500万円”を積み立てた祖母→死後、税務調査で家族に告げられた“想定外の事実”に呆然。

「成人したら渡す」孫3人のため“1,500万円”を積み立てた祖母→死後、税務調査で家族に告げられた“想定外の事実”に呆然。

  • 2026.5.28
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPとして家計相談やお金に関する情報発信を行っている柴田です。

今回紹介するのは、3人の孫の将来のため、毎年100万円ずつコツコツ積み立てていたAさんのケース(昨年末にお亡くなりになられました)。亡くなったとき、孫一人につき500万円、合計1,500万円が孫名義の口座に存在していました。「成人したら渡すつもりだった」その優しさが、相続税の申告後、思わぬ形で家族を襲います。

税務調査でやってきた職員の一言。「この孫名義の3口座、すべておばあ様の『名義預金』です」。相続財産に1,500万円が加算され、追徴課税は100万円超。家族は呆然としました。

そもそも「名義預金」って何?

名義預金とは、口座の名義人と実際にお金を管理している人が異なる預金のこと。たとえ孫の名前で開設された口座でも、入金や通帳・印鑑の管理を祖父母がしていれば、中身は「祖父母の財産」とみなされ、相続税の課税対象になります。実はこの「名義預金」の指摘、相続の現場では本当によくあるんですよね。

さらに、実際に子どもや孫がそのお金をいつでも使える状態にない場合なんかも該当します。「口座は孫名義」という形式だけでは認められないんですね。

決定打になった3つのミス

Aさんのケースでは、以下のような状況だったので名義預金認定されてしまいました。

  1. 通帳と印鑑を祖母が自宅の金庫で一括管理していた
  2. 孫たちは口座の存在自体を知らなかった
  3. 毎年の贈与契約書を一切作っていなかった

どこからどう見ても「こりゃあ名義預金だわな」と評価されてしまう状況だったのです。

「贈与したつもり」でも、もらう側がそれを知らなければ贈与は成立しません。民法上、贈与は「あげる」「もらう」の合意があって初めて成り立つ契約だからです。そもそも孫が「知らなかった」状態ですから、贈与が成立する余地はありませんでした。

税務署はどうやって見抜くのか

通帳・印鑑・キャッシュカードの保管場所、入出金の流れ、そして名義人本人がその口座を認識しているか。税務署はこうした点を複数の角度から調べていきます。

そもそも税務署のデータベースでは、お金の動きが筒抜けです。過去何年もさかのぼって入出金履歴を把握できる仕組みになっています。相続税の税務調査で最も指摘されやすい項目のひとつで、発覚すれば追徴課税に加えて、過少申告加算税・延滞税まで上乗せされるトリプルパンチになりかねません。

正しい贈与にするための3つの条件

Aさんの失敗を踏まえて、名義預金認定を避けつつ、希望通りに生前贈与をする方法をまとめます。

  1. 贈与契約書を毎年作成する:「いつ・誰が・誰に・いくら贈与したか」を書面で残しましょう。手書きでも有効です。
  2. 受贈者本人が口座を管理する:通帳・印鑑・キャッシュカードは、必ずもらう側本人が保管します。未成年の孫なら、親権者である親が代わりに管理する形が現実的です。
  3. 本人が自由に使える状態にしておく:使い道に祖父母や親が口を出しすぎると、実質的には贈与者の財産と判断されることがあります。

お金は手渡しではなく振込にして、記録を残すことが鉄則です。さらに、受贈者が実際にそのお金を学費や生活費などで使っている形跡があると、「本人の財産である」という実態が明確になり、名義預金と判定されるリスクをぐっと下げられます。名義ではなく「実態」のほうが重要である点を、必ず押さえておきましょう。

まとめ

家族の善意が、相続時に地雷になるのは、決して珍しい話ではありません。子や孫名義の口座をすでに作っているなら、今すぐ通帳の管理状況を見直してみてください。

そして、これから贈与を考えている方は「思い立ったときに渡す」のではなく、契約書・口座管理・申告までをセットにして計画的に贈与することが何より大切です。「気持ち」だけでは、税務署には通じないのですから。


※相続税の基礎控除額の計算や、贈与税の非課税枠、さらに最新ルールは、個人の総資産額や家族構成によって非常に複雑に絡み合います。我が家の生前贈与が名義預金に該当しないか不安な場合や、具体的な相続対策を行いたい場合は、自己判断せず、必ず事前に管轄の税務署や、税理士、FPなどの専門窓口へ直接ご相談ください。

出典:国税庁「被相続人以外の名義の財産(預貯金)」

執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

の記事をもっとみる