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「将来の年金額が増える」年金受給を“65歳から70歳”に繰下げ…→5年後、70代男性を直撃した“残酷な現実"【元銀行員が解説】

  • 2026.5.26
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさま、こんにちは。元銀行員の金融ライター・池田です。

「年金を繰下げて受給開始年齢を遅らせると将来の年金額が増える」という話を聞いたことがある人も多いでしょう。

年金の一般的な受給開始年齢は65歳ですが、1か月遅らせるごとに受給額が0.7%ずつ増額されます。しかし、繰下げにはいくつかの注意点も。

今回は、年金繰下げにより受給額が増額したものの、5年後に後悔することとなった男性の事例を紹介します。

「将来の年金額を増やすため」5年間の繰下げで70歳からの受給を選択した男性

70代の男性・Aさん(仮名)は、老後生活にゆとりを持つため、年金を5年間繰下げて70歳から受給することを選択しました。

5年間の繰下げにより年金は42%増額し、当初の月額15万円から21万3,000円に。金額にして毎月6万3,000円の増額です。

Aさんは「元気なうちは働きに出たい」と考えていたため、退職してから年金受給開始までの間も仕事をして給与を得ていました。

70歳を迎えたAさんは仕事を辞め、いよいよ年金の受給がスタート。

「これからは妻と旅行に出かけるのが一番の楽しみ」と話されていました。

繰下げ受給は「損益分岐点」に注意!

年金受給開始から5年後、Aさんは病気を患い入院することに。

75歳で余命1年の宣告を受けたAさんは、「繰下げ受給なんてしなければよかった」と後悔を口にしていました。

年金を繰下げ受給すると毎月の受給額は増加しますが、65歳から受け取った場合の総受給額を上回るまでには一定の期間を要します。

70歳から受給を開始すると、65歳から受給した場合の総受給額を上回る「損益分岐点」は81歳11か月。

つまり、Aさんが81歳11か月を迎える前に亡くなってしまうと、繰下げ受給による受給総額増加の恩恵を受けられないのです。

結果として、Aさんは余命宣告から1年後、76歳で帰らぬ人となりました。

繰下げ受給のその他の注意点とは?

年金を繰下げ受給した場合に“損益分岐点まで受給し続けられるかどうか”は誰にも予想できませんが、繰下げ受給にはその他にも以下のような注意点があります。

  • 加給年金を受け取れない
  • 税金・社会保険料の負担が増える可能性がある
  • 受給開始までの生活費を確保する必要がある

加給年金とは、65歳未満の配偶者や18歳到達年度末(障害児は20歳未満)までの子どもを扶養しているなど、一定の要件を満たす場合に厚生年金に上乗せして支給される年金です。

しかし、繰下げ期間中はそもそも年金を受給しないため、要件に該当する場合でも加給年金は受け取れません。

また、年金受給開始後には、繰下げにより年金額が増えることで税金・社会保険料の負担が大きくなる可能性も。

さらに、繰下げ期間中は年金収入がないため、働いて収入を得る・相応の貯蓄を用意するなどの方法で生活費を確保する必要があります。

繰下げ受給の検討は慎重に

年金の繰下げ受給については、メリットとともに注意点も把握したうえで検討しなければなりません。

損益分岐点の観点からご自身の健康状態について考えることはもちろん、貯蓄状況や退職後の収入の有無、ライフプランなどを考慮した総合的な判断が求められます。

将来の受給額アップに目を向けるだけでなく、「いつから受給するのが自分に合っているのか」を冷静に見極めましょう。


※年金の繰下げ増額率(月0.7%・年8.4%)や損益分岐点の計算、加給年金の支給要件、税金・社会保険料の具体的な天引き額は、個人の厚生年金への加入期間や前年の総所得、配偶者の年齢によって1軒ごとに劇的に異なります。何歳から受給するのがベストかシミュレーションを行いたい場合は、自己判断せず、お近くの年金事務所や、税理士、FPなどの専門窓口へ直接ご相談ください。

監修・執筆:元銀行員・ikebu
元銀行員・行政書士資格保有の金融・法律ライター。一種外務員資格(証券外務員一種)、行政書士資格を保有。大学では法学部・法律学科に在籍し、卒業後は地方銀行に入行。個人リテール業務において、投資信託・生命保険商品の販売を中心とする資産運用のサポートのほか、住宅ローンや相続などの幅広い業務に携わる。法人営業では、事業性融資や法人向けの運用商品販売を担当。現在は金融・法律ジャンルを中心にライターとして活動。銀行員時代の経験や保有資格を活かし、専門的な内容を分かりやすく丁寧に解説することを得意とする。

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