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「もう少し稼ぎたい」シフトを増やして“月収8.8万→9.6万”に→翌月、給与明細を見て40代主婦が“愕然としたワケ”【社労士は見た】

  • 2026.6.8
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、社会保険労務士の加藤あゆみです。

「年収100万円ちょっとで働いているけど、もう少しシフトを増やしたい」。

パートで働く方からよくいただくご相談です。ところが最近、「あと数万円増やすつもりが、年17万円も手取りが減ってしまった」 という声が増えています。

「月収9.6万円」を選んだ結果、起きたこと

42歳・パート勤務のAさん(仮名)は、これまで月収約8.8万円(年収約106万円)で働いていました。「もう少し稼ぎたい」とシフトを増やし、月収約9.6万円(年収約115万円)になりました。「夫の扶養から少しはみ出るけどまあ大丈夫だろう」と軽い気持ちで判断したそうです。

ところが翌月の給与明細を見て愕然とします。月の社会保険料が約1万2,000円、年間で約14万円が天引きに。さらに夫の会社の扶養手当(月1万円)も打ち切られ、世帯の手取りは前年から年17万円のマイナスになっていました。

「9万円増やしたつもりが、逆に17万円も減るなんて」と、Aさんは言葉を失ったそうです。

2024年10月から始まった「適用拡大」が落とし穴に

2024年10月から、従業員51人以上の企業で働くパート・アルバイトの社会保険適用が拡大されました(旧:101人以上)。

加入対象になる4要件はこちらです。

  • 月額賃金 8.8万円以上(年収約106万円)
  • 週の所定労働時間 20時間以上
  • 2か月超の雇用見込み
  • 学生でない

この要件を満たすと、本人が望まなくても社会保険に加入することになります。手取りベースで「働き損」になるのは、おおむね年収106万円〜125万円のゾーン。ここを抜けないと、シフトを増やしても手取りが増えない逆転現象が起きるのです。

「働き損」を抜けたら、実は将来は増える

ただし、社会保険に加入すること自体は損ばかりではありません。

  • 将来の老齢厚生年金が上乗せ(年収115万円で10年加入した場合、年金月額が約5,500円アップ=年約6.6万円増。65歳から20年受給なら生涯約130万円増の計算に)
  • 傷病手当金(病気・ケガで働けないとき給与の約3分の2を最長1年半)
  • 出産手当金(国民健康保険にはない給付)

「目先の17万円減」だけを見るか、「10年20年先の年金+保障」まで見るかで、判断は変わります。

2026年10月、「106万円の壁」そのものがなくなる予定

そして今、目前に迫っているのが2026年10月の改正です。賃金要件(月8.8万円以上)が撤廃され、週20時間以上働いていれば、収入額に関係なく社会保険の対象になる時代がきます。

企業規模要件(51人以上)も2027年10月以降、段階的に撤廃される予定です。「壁を避ける」発想自体が、近い将来通用しなくなる ということです。

今のうちにやっておくべきこと

まずは、自分の週の所定労働時間と勤務先の従業員規模を確認してみてください。すでに対象なら、シフト調整による"働き損"ゾーンの回避策を、年金事務所や社労士に一度相談しておくと安心です。

制度は、知っている人だけが得をします。「壁の手前で止まる」のではなく、「壁を超えて、世帯の手取りを最大化する」発想に切り替えてみませんか。


※本記事に登場する事例は、実際の相談をもとに個人が特定されないよう内容を再構成したものです。
※社会保険の加入条件・保険料は、勤務先の企業規模・賃金・労働時間などにより異なります。記事内の金額はあくまで試算例です。
※社会保険制度は法改正により変更される可能性があります。最新の情報は日本年金機構・全国健康保険協会の公式サイトでご確認ください。
※具体的な加入手続きや個別の判断については、勤務先の人事担当者または年金事務所にご相談ください。

執筆・監修:あゆ実社労士事務所
人材育成・キャリア支援を軸に約10年の実務経験を持つ、社会保険労務士/国家資格キャリアコンサルタント。 IT企業の人事として、新卒・若手育成、研修設計、評価・キャリア支援の仕組みづくりに携わる一方、個人では企業や個人に向けたキャリア相談・人事支援を行っている。 これまでに累計100名以上のキャリア面談を実施し、1on1制度設計や面談シートの設計、育成施策の言語化を支援。 近年は生成AIを活用した業務設計・人事業務の効率化にも注力し、「現場で使えること」を前提にしたAI活用の伴走支援を行っている。

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