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東コレで見つけた注目ブランド14選。おさえておくべき東京ファッション最前線

  • 2026.4.11
Hearst Owned

2026年3月16日(月)~21日(土)に開催された「楽天 ファッション・ウィーク 東京 2026秋冬」。オフスケジュールを含む東京各所で発表されたコレクションの中から、ELLEが注目する14ブランドをピックアップしてお届け。

ヨーク

LAUNCHMETRICS SPOTLIGHT

「FASHION PRIZE OF TOKYO 2026」を受賞し、パリでのランウェイショーを経て東京凱旋を果たした「ヨーク(YOKE)」が、今季ブランド初のウィメンズラインを発表した。シュールレアリスムの画家・ジャン・アルプを着想源に、自然が生む有機的な曲線美をトレンチコートやジャケット、パンツ、コートにいたるコレクション全体に宿らせている。

今回のウィメンズラインは、既存メンズコレクションの延長線上にある試みだ。「男性が憧れるかっこいい女性像」を軸に、メンズならではの硬派な素材やパターンの良さを生かしながら、女性らしく着こなせる服へと昇華させた。豊かなカラーパレットに、ウエストをシェープしたシルエットも加わり、女性が着たいメンズ服を、女性が着られるメンズ服へ。今までありそうでなかった発想が今シーズンに新しい表情をもたらしている。

ムッシャン

Courtesy of mukcyen

「TOKYO FASHION AWARD 2026」および「JFW NEXT BRAND AWARD 2026」のダブル受賞を果たした注目の新鋭「ムッシャン(mukcyen)」。ブランドを率いる木村由佳自身が抱える、デザイナーとインフルエンサーという複数の役割と自分らしさの間の葛藤——そのリアルな感情が、マリー・アントワネットの生涯と静かに共鳴し、今季のコレクションが生まれた。

ロココ様式の再現ではなく、当時の精神性やシルエットの美学、ファブリックの華やかさをモダンに読み替えてコレクションに宿らせた。黒・グレー・白のモノトーンを軸に、レースや装飾、コルセット、ロングハットがルックにドラマをもたらす。ジャージにレースをのぞかせるような現代的な解釈も随所に光る。シグネチャーである“セカンドスキン”シリーズはアルガンオイル加工の保湿機能素材を採用し、繊維専門商社タキヒヨーとの共同開発で繊維にビタミンEを練り込んだバージョンも展開。セカンドスキンならではの素材感を生かし、よりなめらかでエレガントなシルエットへと進化した。

ピリングス

Courtesy of PILLINGS

唯一無二のニットワークと世界観で海外からも高い評価を得る「ピリングス(pillings)」。今季のテーマは“ランドスケープス”。嘘のような現実、現実のような嘘。そのあいだにある世界を想像しながら、前シーズンから続く“何気ない日常のドレスアップ”をさらに深く掘り下げた。

シャツとスカート、チェックのカーディガン、スリップドレスなどオフィスレディを思わせるウエアに、縮絨や洗いをかけた柔らかな風合い、ボタンの掛け違い、ポケットの袋布を引き上げることで生まれるくしゅっとしたシェイプ。「ピリングス」らしい仕掛けが施されたデイリーカジュアルなケーブルニットは、背面にコルセットを思わせるレースアップを配し、プリンセスラインに広がるニットドレスへと様変わりする。ごく日常的なウエアが、ドレスアップしたくなる一着へ。「ピリングス」のクリエーションの幅が、今季も鮮やかに広がっていた。

リュウノスケオカザキ

Courtesy of RYUNOSUKEOKAZAKI

「LVMHプライズ2022」ファイナリスト選出、ロンドンのV&A美術館での作品展示など、ファッションとアートを自在に横断しながら国際的な評価を受け続ける「リュウノスケオカザキ(RYUNOSUKEOKAZAKI)」。デザイナー・岡﨑龍之祐が4年ぶりのショーで新たな章を開いた。今季のコレクション“005”が向き合ったのは、人間の感情そのものだ。

普段は手に取らない花柄や自然をプリントしたファブリック、フェイクレザーをあえて取り入れ、嫌悪が愛着へと変わる過程を服に落とし込む。彫刻的なドレスの傍らにセパレートが初登場し、リアルクローズへの新たな一歩も見せた。前日まで手縫いで仕上げたボルドーの左右非対称ドレスには、制作中の不安と高鳴りが縫い込まれている。彫刻家・辻一徹との対話から生まれた共作のアクセサリーが、布では表現できない金属の硬度と繊細さをコレクションにもたらした。感情を縫い、感情をまとう。ブランドの可能性がさらに広がるコレクションとなった。

フェティコ

Courtesy of Fetico

「フェティコ(FETICO)」の今季のテーマは“The Contours of Grace”。1920〜30年代に自らの意思で人生を切り拓いた女性たちへのオマージュとして、画家ヴァネッサ・ベル、報道写真家リー・ミラー、そしてガブリエル・シャネルをミューズに据えた。三者それぞれが持つ、気品と自立した美しさがコレクションの骨格となっている。

今季は1920〜30年代の女性たちが男性的なスタイルを自らのものにしていったように、メンズライクなテーラードが女性の造形美を引き立てるシルエットへと昇華。マニッシュなウエストシェイプのジャケットやワイドトラウザー、チェック柄のセットアップがそろう一方で、スリップドレスやボディスーツ、レース使いといった官能的なアイテムも健在。相反する要素を自在にまとう、知的で洗練された多様な現代女性の姿がランウェイに広がった。

ヨウヘイ オオノ

Courtesy of YOHEI OHNO

「TOKYO FASHION AWARD」2度目の受賞を果たした「ヨウヘイ オオノ(YOHEI OHNO)」。今回のコレクションでは、フランスの郵便配達員・フェルディナン・シュヴァルが33年かけて独力で完成させた「シュヴァルの理想宮」の逸話に、地道に積み上げてきた創作への姿勢を重ねた。

善人も悪人も、すべての人物を愛すべき存在として描いた映画監督デイヴィッド・リンチの“Blue Velvet”世界観から着想。包括的な視点のもと、チャールズ・ジェームズのパターンを再解釈した前短後長のフィッシュテールスカートや、靴下の形を拾ったドレーピング、解体・再構築したニットなど、アトリエ発のアイデアが無秩序に並走する。タフティングアーティスト・杉山桜々氏との電飾をあしらったドレスや「as for me」とのワイングラスのリングなど、クリエイターとの協業も交え、異なる要素が交錯するコレクションに。

タエアシダ

Courtesy of TAE ASHIDA

「タエアシダ(TAE ASHIDA)」の今シーズンのテーマは、“LOVE”。優しさだけでなく葛藤や強さをも内包する複雑な感情としての愛。多彩な素材と巧みなパターンワークが、その奥行きをまとわせた。

チュールフリルやビジューをあしらったデコラティブなピースに始まり、右身頃に切り込みを入れてドレープを生み出したピークドラペルジャケット、サテンと組み合わせた斜め前立てのセットアップなど、ディテールの操作が随所にエレガントなニュアンスを添える。ショーの幕を閉じたのは、光を受けて繊細にきらめく透き通るようなレースドレス。優雅さの中に確かな強さが息づくコレクションだった。

ズッカ

Courtesy of ZUCCa

新体制2シーズン目を迎えた「ズッカ(ZUCCa)」が、新ライン「メチエ(métier)」を始動。職人の技と専門性を意味するフランス語を冠したこのラインは、和歌山の産地メーカーと共同開発したハイゲージジャージをはじめ、素材へのこだわりをブランドの核に据える。

1970年代のアメリカの写真表現にインスパイアされたカラーパレットが広がる今季。フレンチワークを象徴するブルーを軸に、ブラウンやパープルが差し込まれ、日常を切り取りながらも新たな色彩で世界を描き直す。10体のモデルが夏から冬へとグラデーションを描くように、レイヤードで重ねる着こなしの豊かな表情を展開した。

ユウショウコバヤシ

Courtesy of yushokobayashi

「コム デ ギャルソン ガール」とのグラフィックコラボレーションや、ILLITやFRUITS ZIPPERといった国内外のアイドル、エル・ファニングの着用など、今注目を集める「ユウショウコバヤシ(yushokobayashi)」。今季のコレクション“Void”は、ギリシャ神話「オルフェウス」を着想源に、愛する者を取り戻そうと冥界へ下りながらも振り返ってしまったそのもろさと、人の弱さの中に潜むわずかな光を服で表現した。

布にアルミの接着芯を張ることで生まれる紙のような立体ピース、すべて手作業によるパッチワーク、カーテンのように重なるレイヤード。BTS j-hopeやILLITらのアートワークを手がけたイラストレーター、Haesun Leeとのコラボアイテムや「キジマタカユキ」との協業によるヘッドピースも加わった。淡いピンクやパステルカラーは現実から少しだけ遠い記憶の残像として機能し、人間のもろさと傲慢(ごうまん)さの中にあるわずかな光こそが美しい、そんなブランドの世界観を改めて鮮明に映し出した。

コトハヨコザワ

Courtesy of koytohayokozawa

「TOKYO FASHION AWARD 2026」を受賞し、4年ぶりのショー開催を果たした「コトハヨコザワ(kotohayokozawa)」。デザイナー・横澤琴葉が暮らす西新宿に行き交う旅行者や留学生、東京マラソンのランナーたちの姿からインスピレーションを受けた、都会的で異国情緒あふれるコレクションだ。

旅先での高揚感と、寒い冬を乗り越えるためのエネルギーを色に込めた今季。ミントグリーン×パープル、オレンジ×ブルーなど気分の上がるカラーの組み合わせが随所に光り、波打つメロウ加工のプリーツやカラーブロックのビーチサンダルまで遊び心が行き渡る。どんな人でも着られる服という意志のもと、メンズモデルもレディースと同様のアイテムをレイヤードし、着こなしの多様な可能性を示した。

エンフォルド/ナゴンスタンス

Courtesy of ENFÖLD, någonstans

「スライ」や「マウジー」などで一大ブームを築き上げた植田みずきが、クリエイティブ・ディレクターを務める、「エンフォルド(ENFÖLD)」と「ナゴンスタンス(någonstans)」。今回2つのブランドで楽天 ファッション・ウィーク 東京に参加した。

「エンフォルド」のテーマは“Living Sculpture”。砂壁を思わせるマットな質感、フェルトや木のようなメルトン素材など彫刻のマテリアルをまとった構築的なフォルムから、縛られないエレガンスを体現する新しい女性像へ、そして再び彫刻へと回帰する3部構成で展開。「ナゴンスタンス」は“Ice Field”をテーマに、アイスホッケーのプロテクターやフィギュアスケートに着想を得たディテール、オーロラを落とし込んだジャケットなど機能と造形が交差するコレクションを披露した。エレガンスの可能性を広げる「エンフォルド」と、自分らしさを後押しする「ナゴンスタンス」。植田みずきが思い描くふたつの女性像が、同じシーズンに鮮やかに並んだ。

アニエスベー

Courtesy of Agnès B.

今シーズンは豪華海外ブランドが参戦。1975年の創設以来、パリの日常着を提案し続ける「アニエスべー(agnès b.)」が、楽天「by R」プロジェクトを通じて約10年ぶりに東京でランウェイショーを開催。舞台は在日フランス大使館公邸という特別な場で、ダンサー・俳優のアオイヤマダが「by R」限定アイテムのボーダーカットソー姿でランウェイを踊るように歩き、ブランドと親交の深いフランスのバンドAIRの「Sexy Boy」スペシャルリミックスとともに幕を開けた。

昨年50周年を迎えパリで発表したコレクションのルックに、「by R」限定アイテムを織り交ぜた特別な構成で展開。シグネチャーの“カーディガンプレッション”やデニムのジャンプスーツ、タータンチェックのセットアップ、ブラック&ホワイトのパリシックなルックが並ぶ中、デザイナーのアニエス・トゥルブレ自身が撮影した桜のモノクロフォトプリントアイテムが日本らしい情景を添えた。半世紀変わらず日々の輝きと美しさを見つめてきたブランドの姿勢が、このランウェイにもしっかりとにじんでいた。

アランポール

Courtesy of ALAINPAUL

2023年にアラン・ポールと夫のルイス・フィリップによって設立されたパリ発の「アランポール(ALAINPAUL)」。身体を軸に衣服を“振り付け”する独自のアプローチで世界から注目を集め、ANDAM ファッション アワード 2025特別賞を受賞し、東京で初のランウェイショー“レパートリー”を発表した。

パリ装飾芸術美術館との服飾史アーカイブ研究から18世紀のフォルムを現代へとアップデートし、ボタンを交差させたジャケット、パニエ構造を再解釈したドレスなど緊張と均衡が共存するシルエットがそろう。東京では黒のシアースカートに赤のラッフルを重ねたルックや黒のシアードレスなど、鮮やかな色の掛け合わせを軸にした6つのルックを追加。三宅純の「Lilies of the Valley」が流れる中、過去と未来をつなぐように、モデルたちがインフィニティを描いて会場を行き交った。

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