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だから、この2人は結婚したのか。結婚から読み取れる戦国時代の駆け引き。そして豊臣秀長の妻の正体は?【NHK大河『豊臣兄弟!』13話】

  • 2026.4.11

*TOP画像/慶(吉岡里帆) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』13話(4月5日放送)より(C)NHK

 

『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)ファンのみなさんが本作をより深く理解し、楽しめるように、40代50代働く女性の目線で毎話、作品の背景を深掘り解説していきます。今回は戦国時代における「慈雲院(秀長の正妻)と結婚の常識」について見ていきましょう。

豊臣秀長は25歳で結婚。妻はどんな女性だったの?戦国時代は政略結婚で家臣団を強化!

 

秀長の正妻はどんな人物だった?

慈雲院(秀長の正妻)に関する詳細は不明

豊臣秀長は兄・秀吉と比べてその名が現代においてあまり知られていませんが、妻の慈雲院(じうんいん)についても、秀吉の妻・おねほどには明らかになっていません。慈雲院は法号(秀長の死後に出家した際に授かった名前)であり、実名は不明です。

 

秀長と慈雲院の結婚は1566年頃といわれています。秀長が25歳頃のことです。秀長が慈雲院と結婚した際、秀吉は所領100貫文以上を有する士大将であったため、秀長にもそれなりの地位がありました。秀吉と秀長の地位を踏まえ、慈雲院はある程度の地位がある織田家臣の一族だったと考えられています。

 

秀長と慈雲院との間には与一郎という息子がいましたが、彼は15歳前後で夭折したと伝わっています。秀長と慈雲院は仲のよい夫婦で、ふたりで興福寺を訪れ、法華絵(ほっけえ)を見物したこともありました。また、慈雲院が義母・大政所(なか)と春日社に参詣した記録も残っています。姑と嫁の関係が良好であったという説は有力です。慈雲院は秀長がこの世を去ってからは「大和大方様」と呼ばれ、養子・秀保を支えました。

 

慈雲院について人柄や性格は分かっていません。それゆえに、『豊臣兄弟!』ではどのような人物として描かれるのか、慈雲院がモデルの慶を吉岡里帆がどのように演じるのか楽しみですね。

 

戦国時代は今でいう社内婚!?

秀吉とおねは恋愛結婚であるものの、戦国時代において恋愛結婚の夫婦は多くはありませんでした。身分が高ければ高いほど、親族や主君が家や国のために結婚相手を決めます。現代に置き換えると、娘が父が勤める会社の従業員と結婚したり、社長の血縁者と結婚したりしていたといえるでしょう。例えば、前述のように、秀長は織田家の家臣の娘・慈雲院と結婚しています。また、秀吉とおねは恋愛結婚であるものの、おねもまた織田家の家臣の娘です。愛し合って結婚した二人ではあるものの、秀吉にもおねにも織田家とつながりがありました。

 

また、織田家勲功の臣・丹羽長秀は信長の養女(信長の兄・信広の娘)・桂峯院(けいほういん)を正室に迎え、織田家に入っています。長秀は15歳のときに織田家の家臣になり、織田家に多大なる貢献をしてきました。美濃攻めで活躍したほか、美濃を支配する斎藤家の拠点・堂洞城の包囲にも成功しました。信長はこれらの功績を踏まえ、養女を長秀に嫁がせたのです。ちなみに、長秀は佐和山城を賜っており、織田家の家臣の中で初の“一国の主”となった男です。

 

信長の愛弟子・蒲生氏郷(がもううじさと)は信長の娘・相応院(冬姫)を正室に迎えています。氏郷は戦場で数々の貢献をしただけでなく、中国の古典に通じ、茶道では千利休の特に優れた弟子に数えられるなど、教養豊かな人物でした。また、松坂(現:三重県松阪市)を商業都市として発展させる礎を築きました。信長は大切な実の娘を優秀なこの男に託したのでしょう。武将は優秀な家臣と我が一族、家臣同士の婚姻を推奨し、家臣を深く取り込んでいたのです。

 

本記事の最後に、『豊臣兄弟!』の13話の場面に触れておきます。松永久秀(竹中直人)が「お主には わしの娘をと思っておったのじゃ」「織田家との関わりを深めたい」と、小一郎(仲野太賀)に頼む場面がありました。久秀が小一郎に娘との結婚を頼んだのは、小一郎のほかにちょうどいい独り身の男がいなかったから。現代人の感覚からすると、“娘の婚約者をそんなふうに決めていいの?”と思いますよね。

久秀(竹中直人) 小一郎(仲野太賀) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』13話(4月5日放送)より(C)NHK

史実では、松永久秀の娘が秀長と夫婦関係にあった記録はありません。長女は織田信長の一族(濃姫)の取り計らいで、縁談が決まったこともありました。

 

 

<参考資料>

黒田基樹(監修)『大河ドラマ 豊臣兄弟! 豊臣秀長とその時代』宝島社、2025年

稲垣史生『戦国時代大全(KKロングセラーズ)』 ロングセラーズ、2016年

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