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鈴木福&あのちゃん、初共演で挑んだ“壮絶な青春物語”の裏側 「俳優としてのギアがもう一段上がった」

  • 2026.4.7
鈴木福、あの クランクイン! 写真:高野広美 width=
鈴木福、あの クランクイン! 写真:高野広美

漫画家・押見修造の衝撃作『惡の華』(講談社)が連続ドラマ化される。主人公・春日高男を演じるのは、恋愛リアリティショーのMCや映画『ヒグマ!!』でホスト&闇バイト役に挑むなど、新境地を見せている俳優・鈴木福。そして彼の運命を大きく揺さぶる少女・仲村佐和を演じるのは、独自の存在感で音楽シーンから俳優業まで活躍の場を広げる、あのだ。初共演で向き合ったのは、好きな同級生の体操着を春日が盗み、仲村がそれを目撃するところから始まる壮絶な青春物語――。少年少女の「不安」「葛藤」「痛み」が剥き出しのまま描かれる本作に全力で飛び込んだ二人が、作品への思いと自身の内面について率直に語ってくれた。

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■「笑い方が小さい頃から変わらない」「でも、すごく大人」 あのが語る初共演・鈴木福


――今回初共演となりますが、お互いの第一印象はいかがでしたか? 実際に現場を一緒に過ごしてみて、持っていたイメージと違った点や、意外に感じた部分はありますか?

鈴木:僕はそもそも先入観があまりなかったので、いい意味で“意外”はなかったです。今作の現場に入る前は廊下で少しすれ違ったくらいで、しっかりお話ししたことはなかったんです。本読みのときもあまり話せていなかったので「どうコミュニケーションを取ろうかな」とは考えていたのですが、実際に撮影が始まると初日から自然と会話が生まれたので嬉しかったですね。一緒にケータリングを食べたりして、いろいろな話をしました。

あの:僕はいつも車の中で一人でケータリングを食べるんですけど、今回は福くんがすごく喋りやすくて、ご飯の時間も一度だけ一緒に食べられました。印象は想像通りで、現場を盛り上げてくれるし楽しいお方です。

笑い方が小さい頃から「こんなに変わらないんだ」って驚きました。でもすぐに、演技に対する誠実さが伝わってきましたし、すごく大人で、周りをよく見ているなと圧倒されました。

鈴木:めちゃくちゃうれしいです(笑)。あのちゃんの演技、初日からバチバチにハマっていて、見ていて気持ちよかったです。「これは僕もやるしかないぞ」と思いました。改めて、素敵なお芝居とキャラクターを持っている方だなと感じました。

■鈴木福「うわ、やべーな……これをやるのか」 原作を読み、焦りや不安に直面


――物語は、春日が同級生・佐伯奈々子の体操着を衝動的に盗むところから始まります。その後も非常にセンセーショナルな展開が繰り広げられますが、原作を初めて読まれた際、率直にどのような印象を受けましたか?

鈴木:出演が決まってから原作を読んだのですが、最初は「うわ、やべーな……これをやるのか」って。自分に対する焦りや不安がすごくありました。

でも、読めば読むほど入り込んでくるものがあって、魅力的なキャラクターたちにあふれているし、僕たちの心の中にある“何か”に問いかけてくる。言葉や絵が突き刺さってくるんです。すべての表現が美しくつらいというか。日々読み返すなかで「本当に素晴らしい作品だな」と感じています。この作品に出合う前の僕が分からなかったものを教えていただきました。

あの:原作を読んでいなかった頃、当時の僕を知っている身近な⼈たちから「ほんと、あのちゃんみたいだから読んでみて」とか、「多分あのちゃんに必要だと思う」とかなり言われていました。あまりに勧められたので読んでみたら、まるで自分に訴えかけられているような感覚があって。腑に落ちる部分や、救われるような部分も多く、他人事とは思えない景色がたくさんありました。

面白いとかだけじゃなくて、誰かの人生の核になるような漫画だと思います。実際、僕の周りにもそういう人が多いですし、そんな誰かの大切な作品に携われるのは本当に光栄です。数年経って読み返すと、捉え方や解像度も変わってくるので、何度も楽しめる作品だなと思いました。

――複雑な心情を表現する場面も多いと思いますが、役を演じるにあたって特にどのような点に気を付けましたか?

鈴木:中学生だからこその可愛らしさが、物語が進むにつれてどんどん変わっていくという部分を意識して演じました。話を追うごとに感情がドロドロしてきて、それを吐き出したり、自分で受け止めたりする。それは成長であり、自分自身と向き合う過程だと思っています。原作も、最初はコメディタッチで可愛らしい印象なのに、だんだん空気や絵柄が変わっていきますよね。その変化をドラマでも感じてもらえたらと思っています。

あの:叫ぶシーンが結構多くて、ただ叫ぶだけにならないように、背景に何があるのかを意識しました。仲村さんは春日以外をモブだと思っていて、春日に対してだけ熱量やエネルギーが凄まじい。その対比というか、「春日しか見ていない」感じを大事にしたかったです。あと、中学生だけど春日より少し大人っぽいところもあるので、声色が幼すぎず、大人すぎず、のバランスも丁寧に演じました。難しくて苦戦しましたね。

■鈴木福&あのちゃんの“思春期と現在” 感情との向き合い方にも変化が


――今回の役作りを通して、思春期の頃のご自身を振り返るだけでなく、「今の自分にも通じる部分がある」と感じた瞬間はありましたか?

鈴木:演じる中で、自分の思春期を思い出すこともありましたし、それ以上に“今の自分”と重なる部分も大きかったです。春日と僕は形は違えど、本質的には似ているところがたくさんあります。 僕自身、中学生の頃は春日ほど考えていなかった気もしますが、「こうなりたいけど、なれないかもしれない」といった焦りや不安はずっとありました。その感覚が、彼を演じることで、今の自分の中にも確かに生きているものなんだと実感できた気がします。

あの:思春期当時の“ぐるぐる渦巻いていた感情”を思い出す瞬間はありました。ただ、その感情が大人になった今はもう消えているかというと、決してそうではなくて。この作品は、思春期特有と言い切るには大きすぎるくらい、誰しもが抱えている感情を描いていると思います。だからこそ、過去の自分だけでなく、今の自分も自然と引き出されながら演じていました。

――思春期の頃と比べて、ご自身の感情との付き合い方はどのように変わりましたか?

鈴木:自分の感情に素直になるということは、少し難しくなっていると感じることもあります。実生活では、嬉しいことや悲しいことなどに対して、抑圧的な自分が強くなっている気がしていて。だからこそ、感情をどれだけ解放できるか、そういった部分の付き合い方も日々変化しています。

あの:昔は感情のコントロールができなかったんですけど、音楽をやるようになってからは、ライブが感情を解放する場になって、向き合い方や表現の仕方が変わりました。ただ、演技は役であり僕とは異なる人格だから、ライブとはまた違ってきます。感情の置き場が仕事によって違うんだなって。それに魅力を感じていますし、「生きるってこういうことなのかも」って思ったりもしています。

――最後に、作品を楽しみにしているファンの方へ、見どころやメッセージをお願いします。

鈴木:この作品は、僕の俳優としてのギアをもう一段上げてくれました。自分がどんな俳優でありたいのか、これから何をしていきたいのかを考える大切な時間を過ごしました。それくらい強い気持ちで向き合えた現場でしたし、同じ思いを持ったスタッフの方々の熱量が、そのまま詰まった作品だと思います。

物語でも演技でも、どんな形でもいいので、何か一つでも心に残るものがあったら嬉しいです。僕たちは俳優としてやれる全てを今回やっているというぐらい、笑いや繊細な感情の部分、肉体的に大変なことにも挑戦しました。春日が振り回されながら必死に進んでいく姿を、ぜひ最後まで見届けてください。

あの:撮影期間は、自分のこれからや演技との向き合い方がはっきりした、とても大切な時間でした。体力的、シチュエーション的に大変な場面も多かったですが、お芝居の面白さと難しさをたくさん教えてもらいました。この仕事だからこそ得られたものが本当に多かったです。

一時期は群馬県(※原作の舞台・群馬県で撮影を実施)に住んでいるんじゃないかというくらい毎日作品と向き合っていました(笑)。みんなと一緒に作品をつくれたことも嬉しいですし、葛藤やぶつかり合いも含めて、その熱量が映像に残っていると思います。映画、アニメ版とは違う、“ドラマならではの『惡の華』”を楽しんでもらえたら嬉しいです。

(取材・文:伊藤吏玖 写真:高野広美)

ドラマ『惡の華』は、テレビ東京にて4月9日より毎週木曜24時放送。ディズニープラスにて、各話放送後からアジア見放題独占配信。

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