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地震の時は銭湯へ? 熊本地震に学ぶ「お風呂インフラ」【学生が調べた防災】

  • 2026.4.6

地震が起きた直後、まず困るのは「水」と「電気」そして、意外と重要なのが「お風呂」です。災害時に断水や停電が続くと、お風呂に入れず体を清潔に保つことが難しくなり、感染症などのリスクも高まります。

2016年に発生した熊本地震は、避難者が18万3882人、破損した住宅の総数は約20万棟と、甚大な被害をもたらしました。多くの住宅が被害を受け自宅でお風呂に入れない被災者が続出しました。熊本県は災害救助法を適用し、震災の翌日から被害の少なかった銭湯が県と協力して無料入浴支援を開始しました。

災害時、銭湯はどう機能し、何を知っておけばよいのか。当時の状況を知る、熊本県公衆浴場業生活衛生同業組合理事長の野村雄亮さんにお話を伺いました。

一般的に、地震災害があった際に銭湯は営業できるのでしょうか?

条件がそろえば営業できますが、欠けると営業は難しいです。

熊本地震の時は、電気が通っていたことと地下水で営業しているところが多かったこと、その2つが大きかったんじゃないかなと思います。逆に言うと、それが一つでも欠けると営業できないっていうことになるんですね。電気が止まる可能性も十分にありましたし、地震によっては、例えば電柱が倒れるとか電線が切れるということも起こり得ますので、そういう意味でも状況次第というところはありました。

震災当時、銭湯はどのくらい混雑しましたか?

私のお店だと、1日で1284人が来られて、2〜3時間待っていただく状況でした。

1日の営業の中でこれだけの人数に入っていただくっていうのは、お店の大きさにもよるとは思うんですけど、一般的な銭湯だと物理的に無理なんです。入浴時間を1人10分に設定せざるを得ませんでしたが、そのために待っていただく形になって、体感としてもかなりの混雑だったと記憶しています。

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震災時に銭湯を利用する上で、客として気を付けなければならないことはありますか?

非常時のルールを理解し、納得した上で守ることが一番大事です。

衛生確保を目的として無料開放という形の入浴事業をさせていただいたわけですけれども、通常の営業と同じルールのまま営業するのはまず無理なんです。

通常時と非常時でルールを分けて、非常時だからこそ非常時に合ったルール作りが必要だというのは実感しました。被災されてどうしてもストレスがかかってしまう状況ですが、ルールに納得いただいて守っていただくのが大事だと思います。

個人で事前に用意しておいた方が良いものはありますか。

基本はタオルが一枚あれば十分だと思います。

熊本地震での無料開放を経験して分かったのですけれども、大変な状況だからということで、災害が起こると支援物資として石鹸が全国から届くことが多いんです。銭湯によっては備え付けの石鹸を置いていないところもあるんですが、支援物資が届くので、最低でもタオルが一枚あればそこまで心配しなくてもいいのかなと思っています。

震災当時、入浴以外で行っていた支援活動はありましたか?

お湯を出す前に、地下水の提供を行っていました。

熊本地震などの災害時は、水や電気の設備や浴場に支障がないか、全て確認した上でないと銭湯の提供ができず、無料開放の制度・仕組みが整わないと営業が難しかったんです。

その状況が整うまでの期間は、可能な地下水の提供を大体1日半させていただきました。

配管の関係上、水とお湯は同時に出すことができなかったので、銭湯の再開に伴って地下水の提供からお湯の提供に移行しました。

忘れられない人々の様子などはありましたか?

お風呂に入る前と入った後で、表情が全然違うことが一番印象に残っています。銭湯は生活の一部という理念でやってるんですよね。家にお風呂がある時代でも、地域のお風呂としてコミュニケーションの場・憩いの場っていう形でやってるんですけれども、大規模な地震災害が起こると、銭湯に来てすぐお風呂に入っていただくことが、なかなか出来ない部分がありました。熊本地震の時は長い人だと4、5時間待ってから銭湯に入っていただくっていう状況が当たり前にありました。

その際、待ち時間が長くなるほどストレスがかかって、イライラされる方も見受けられました。ただ、こちらとしても衛生確保にも重きを置かないといけなくて、10分程度の入浴時間を設けて営業したんです。そういう中でも、お風呂から上がった時の表情が、入る前の硬い表情から全然違っていたというところが本当に印象に残っています。

熊本地震の際、銭湯のスタッフはどうしていたのでしょうか?

基本は家族中心で営業して、必要に応じてアルバイトや近所の方にも手伝ってもらっていました。

大きな会社で法人化されている銭湯さんもなくはないのですが、基本的には家族で営業されるというのがほとんどだったと記憶しています。その中で家族を中心に回したり、ご近所の方であったり、私のところの場合ですとお風呂掃除のアルバイトの方に手伝いをお願いしてどうにか乗り切ったというのが実際のところです。

災害時、休憩は取れていたのでしょうか?

交代で取るようにはしていましたが、しっかり休憩できる状況は作りにくかったです。

営業をするにあたって災害救助法が適用になりましたので、料金を県が負担する形で無料開放が実現したんです。そのために「自宅でお風呂が使えなかった理由」を書く所定の用紙に住所と名前、丸を付けていただいてからお風呂に入っていただく、そういう作業をしなければならなかった。これを一人一人やるのでどうしても時間がかかってしまい、交代しながら対応してはいたんですけど、休憩をしっかり取るのはなかなかできませんでした。

読者に向けて伝えたいことはありますか。

銭湯は平時と災害時の拠り所として、今も大事な存在だということを知ってほしいです。

銭湯は昔、当たり前に各所にあったものなんですけど、今は熊本県内で12件、市内で8件ほどに減少してしまった現状があります。その中で、何かあった時に銭湯に行けば、衛生を確保できるんだ、ということをまず認識していただきたいと思います。

それと同時に、銭湯はコミュニケーションの場であり、憩いの場でもあるので、日頃から銭湯に親しんでいただければと思います。存在意義も含めて、さらに知っていただきたいです。

熊本の銭湯の魅力を教えてください。

地下水の豊かさと銭湯同士のコミュニティを生かして安価にお湯を提供できていることが、熊本の銭湯の魅力だと感じています。

熊本は地下水が豊富な県で、地下水のみならず温泉や冷泉など、そういった形で営業されているところが多いです。また、安価に銭湯を提供できているのも熊本の銭湯の魅力だと思います。

一度熊本の銭湯に入っていただき、普段銭湯に親しみがない方や行ったことがない世代の方が、他の銭湯に行くきっかけになってほしいと考えています。

野村さんは大福湯の代表もやっていらっしゃいます。大福湯の魅力を教えていただきたいです。

若いお客さんが多いことと、3種類のサウナを温度で使い分けて楽しめるところが魅力です。

13時から23時までの営業時間で、18時から23時までは大体7割ほどが学生さんだと感じています。また、サウナは高温と中温、そして冷凍サウナの3種類を提供させていただいています。

今、レトロブームやサウナブームが起きています。古(ふる)エモさを若い方に体験していただき、喜んでいただきたいと考えております。

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<執筆者プロフィル>
遠藤優太、丸尾天獅

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