1. トップ
  2. 世界中から「パンチくんに会いたい」人が集結した理由 不便さは関係なし、市川市動植物園の〝引力〟

世界中から「パンチくんに会いたい」人が集結した理由 不便さは関係なし、市川市動植物園の〝引力〟

  • 2026.4.2
image

スマートフォンを開けば、世界中の絶景から珍しい動物の姿まで、いつでもどこでも見られる時代になりました。しかし今、千葉県の「決して便利とは言えない場所」にある市川市動植物園に、地球の裏側からも人々が吸い寄せられています。この現象について分析してみました。

「どこから?」「ハワイからです」

3月、市川市動植物園の公式Xには次のような投稿がありました。

公式Xより:「毎回、朝の列の先頭の方に、『どちらからお越しになったんですか?』と伺うようにしているんですが、今日の方はなんと、ハワイでした」

市川市動植物園を訪れる外国人観光客はハワイだけではありません。ブラジル、アメリカ、そしてアジア諸国…。

「オランママ」ことオランウータンのぬいぐるみにしがみつき、群れ入りを目指して奮闘するニホンザルのパンチくんを一目見ようと、国境を越えてたくさんの人が訪れています。

これだけデジタルが発達した時代だからこそ

パンチくんの動画は、SNSを通じて世界中へ配信されています。しかし、デジタルで「情報」が拡散されればされるほど、人々は「実物」を見たくなってしまうようです。

何万円、何十万円という旅費をかけて市川を目指す人々を突き動かしているのは、「今、この瞬間に頑張っている命を確かめたい、応援したい」という気持ちでしょうか。

一方で、SNSの力によって瞬く間にパンチくんの情報が世界中に拡散されたからこその反響でもあります。パンチくんが話題になり始めた当初、海外の人からの間違い電話が石川県能美市にある「いしかわ動物園」に殺到したことがありました。

海外からでもインターネットで翻訳機能などを使い、簡単に住所や電話番号にアクセスできるようになってしまったからこそ起きた事態ともいえます。

【当園にお寄せいただいているご意見等について】

ニホンザルの「パンチくん」について、誤って当園に多数のご意見・お問い合わせをいただいております。
詳細につきましては、画像をご確認ください。#いしかわ動物園 pic.twitter.com/0FtWzHdN9y

— いしかわ動物園【公式】 (@ishikawazoo_jp) February 21, 2026

何もなくてもパンチくんがいればOK

市川市動植物園の周辺は、コンビニエンスストアや飲食店がほとんどないエリアです。最寄り駅の北総鉄道「大町駅」までは徒歩30分、ほかの駅から出ているバスも1日数本程度です。

そして市川市動植物園も、地元民に愛される憩いの場所ですが、ブラジルからわざわざ訪れるほどのインパクトはないかもしれません。

しかし、こんなに不便であっても、「パンチくんに会いたい」という気持ちがあればどこからでも人はやってくるということが今回わかりました。また遠くから会いに行き、柵越しにその姿を捉えることができたら、その感動もひとしおかもしれませんね。

会えるか会えないか分からない不安定さ

テーマパークに行けば、最高の演出とプログラムが用意されています。しかしそこには「驚き」はあっても、「奇跡」はありません。

一方、市川のサル山で繰り広げられているのは、人工哺育で育ったパンチくんが厳しい群れの社会に入れるかどうかという、誰も結末を知らないドキュメンタリーです。

image

市川市動植物園=(撮影:産経新聞)

またパンチくんは比較的、屋外のサル山周辺にいることが多いですが、たまに「きょうは半日見ていますが、いまだにパンチくんに会えません」という人もいるようです。まったく会えない可能性もあるのに、それでも会えることを信じて多くの人が集まっています。

豪華なアトラクションがなくても、そこに「懸命に生きる命」さえあれば、人は海を越えてやってくる。パンチくんが、それを証明してくれました。

ライターコメント

「パンチくんに会いに行きたいのだけど…」と相談されることが増えました。都内に住んでいる人には迷わず北総線「大町駅」から歩くことをお勧めするのですが、迷うのが北総線へのアクセスの悪いところに住んでいる関東の人です。一方、北総線は成田空港にも羽田空港にも繫がっているので、実は空港からのアクセスは悪くないんです。海外の人が多い理由の一つはそこにあるのかなとも思っています。

<ライタープロフィル>ゆんち

2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。

現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。

元記事で読む
の記事をもっとみる