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ヒヨコも人間との触れ合いで「幸せ」を感じている

  • 2026.4.1
ヒヨコのような幼い家畜でも、人間に優しく撫でられると幸せを感じる / Credit:Canva

犬や猫を撫でていると、気持ちよさそうに目を細めたり、うっとりした表情を見せることがあります。

私たちはそこから、彼らが“心地よい”と感じていると自然に受け取っています。

では、ヒヨコのような小さくて幼い家畜ではどうでしょうか。

同じように人に触れられたとき、それは“嬉しい体験”なのでしょうか。それとも、ただ怖くないだけなのでしょうか。

この素朴な疑問に答えたのが、イギリスのブリストル大学(University of Bristol)の研究チームです。

研究チームは、ヒヨコに対する人間の優しい接触が、単に恐怖を和らげるだけでなく、ポジティブな体験として受け止められているかどうかを調べました。

この研究は2026年3月30日、学術誌『Animal Welfare』に掲載されました。

目次

  • 小さな家畜でも、人間に優しく触れられると「嬉しい」のか
  • ヒヨコたちにとって撫でられることはポジティブな体験だった

小さな家畜でも、人間に優しく触れられると「嬉しい」のか

家畜動物にとって、人間との関わりは避けられません。

これまでの研究でも、乱暴な扱いがストレスや恐怖を強め、穏やかな接触がそれを和らげることは知られていました。

けれども、それが「ただ怖くない」だけなのか、「気分のよい体験」なのかは、はっきりしていませんでした。

ここで重要になるのが、「恐怖が減ること」と「嬉しいと感じること」は同じではない、という点です。

たとえば、人に何もされなければ怖くはないかもしれませんが、それだけで心地よいとは限りません。

研究チームは、この違いを確かめようとしました。

そこで使われたのが、「条件づけ場所嗜好性試験」という方法です。

これは、動物がどの場所を好むようになるかを見ることで、過去の体験がその動物にとってどんな意味を持っていたのかを推測する手法です。

簡単に言えば、「気分がよかった場所は、あとで自分から選びやすくなる」という考え方です。

実験では、20羽のヒヨコに、色の異なる2つの部屋を経験させました。

片方の部屋では、人間がゆっくり撫でたり、穏やかに話しかけたりします。

もう片方では、人はいるものの、じっと静かにしているだけです。

ヒヨコたちは、こうした2つの条件をそれぞれ繰り返し体験したあと、人がいない状態で自由に部屋を行き来しました。

研究チームは、そのときヒヨコがどちらの部屋に長くとどまるかを調べたのです。

結果ははっきりしていました。

人間がその場にいない事後テストでも、ヒヨコたちは優しく触れられた部屋により長く滞在しました。

つまり彼らは、その場所を何らかのポジティブな体験と結びつけて覚えていた可能性があります。

では、この結果をどう解釈すべきでしょうか。より詳細な結果と共に次項で考慮します。

ヒヨコたちにとって撫でられることはポジティブな体験だった

この研究で特に重要なのは、ヒヨコたちが中立条件の部屋を特に避けてはいなかったことです。

もし優しく触れられた部屋が選ばれた理由が、「もう片方の部屋が嫌だったから」なら、中立の部屋を避ける傾向がもっとはっきり出るはずです。

ですが、実際にはそうではありませんでした。

つまり今回の結果は、「嫌な部屋を避けた」というより、「優しく触れられた部屋を好んだ」と考えるほうが自然です。

このことは、優しい接触が単なるストレス低下にとどまらず、ヒヨコにとってポジティブな価値を持つ体験だった可能性を示しています。

行動の変化も、その見方を後押ししています。

実験の最初の段階では、撫でられることを受け入れるヒヨコは約70%でしたが、回数を重ねるうちにその割合はさらに高くなり、最終的にはほとんどのヒナ(95%)が受け入れるようになりました。

さらに、一部のヒヨコは撫でられている最中に眠る様子も見せました。

これは少なくとも、その接触を強く嫌がっていなかったことや、リラックスした状態に近づいていた可能性を示す行動と考えられます。

鳴き声の回数も少なくなっており、穏やかな接触がヒヨコの反応に変化をもたらしていたことがうかがえます。

では、なぜこのような結果になったのでしょうか。

論文では、ヒヨコがまだ若く、初期の経験の影響を受けやすい時期だった可能性が指摘されています。

成長の早い段階で人間から穏やかに接してもらうことは、その後の人間への感じ方を形づくるうえで特に重要なのかもしれません。

この発見は、家畜福祉の面で見逃せません。

人間の接し方次第で、動物にとって人間が「恐怖を生む存在」にも「よりポジティブな存在」にもなりうることが示されたからです。

とくに若い時期の経験は、その後の行動やストレス反応に長く影響する可能性があります。

たとえ小さく幼い家畜であったとしても、彼らは人間の接し方から多くのことを感じ取っているのです。

参考文献

Human touch leaves chicks feeling egg-stra happy, study finds
https://www.bristol.ac.uk/news/2026/march/human-touch-leaves-chicks-feeling-egg-stra-happy-study-finds.html

元論文

Gentle human interactions trigger positive emotions in chicks
https://doi.org/10.1017/awf.2026.10081

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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