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「女の子なのに理系?」圧倒的に女性が少ない“本当の理由”...女性の自由を奪った【見えない壁】とは?

  • 2026.5.13
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(C)サイエントーク / 科学のポッドキャスト

ポッドキャスト番組『サイエントーク/ 科学のポッドキャスト』は、研究者のレンさんと、イギリス駐在員のエマさんが科学の魅力を夫婦の会話に乗せて“エンタメっぽく”届ける番組。

2月9日の配信回では、「女性の科学界への進出」をテーマに、2人が深いトークを繰り広げました。2月11日の「科学における女性と女児の国際デー」に合わせた特別回。「女の子なのに理系すごいね」という言葉に違和感を覚えたことがある方、必見の内容です。

「女の子なのに理系なの?」に感じる、ちょっとしたモヤモヤ

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※Google Geminiにて作成(イメージ)

配信冒頭、レンさんはエマさんに「今まで、『女の子なのに理系』って言われたことってあります?」と質問します。

エマさんは「言われたりはしたことないですけど、大学の時『女子少ないな』とは思った」と振り返ります。実際、OECDの統計でも日本の工学系における女性比率は16%と加盟36カ国中最下位、機械系に至っては約8%にとどまっており、分野によっては今も「圧倒的少数派」が続いています。

レンさんは「『女の子なのに理系なの?』みたいな意識も、バリア(障壁)なのではないか」とコメント。エマさんも「昔のバリアというか、良くないバリア」「取り除きたい方のバリアね」と同調しました。

何気ない「すごいね」の一言が、実は女性の可能性を狭めている“見えない壁”になっているのかもしれません。

女性の社会進出が遅れた本当の理由は「筋肉」と「相続」だった

では、そもそも、なぜ女性は理系の分野に進出しにくかったのでしょうか?

レンさんは「昔は、筋肉が生産力の大きな部分を占めていた」とする説について語ります。特に、鋤(すき)を使い、牛などの家畜を引かせる農業が広がってからは、強い体力が必要とされるようになりました。そのため、自然と「生産性=男性」という考え方が根付いていったのだそう。

さらに面白いのが「相続」の話。古くから語られる説では、農業によって土地や家畜などの「富」が蓄積できるようになると、それを自分の子に継がせたいという欲求が生まれた——とされます。

ここで問題になるのが、「男性は自分の子かどうか証明できない」ということ。女性は自分が産んだ子を確実に自分の子だと認識できますが、昔の男性にはそれができませんでした。

「だから、男性が女性の行動を厳重に管理したり、支配するという方向につながった」とレンさん。女性の行動を逐一チェックして、他の男性と関係を持たないようにさせていたというわけですね。これは多くの社会で見られるパターンとして語られる仮説のひとつです。

エマさんも「特定の文化の中だけで起きるんじゃなくて、わりと広く見られる現象なんだね」と、歴史の意外な共通項に驚いた様子でした。

今の常識からすると想像しにくいですが、こうした社会構造が女性の自由な活動を長い間制限してきたのですね。

本当に大きなバリアは「妊娠をコントロールできないこと」?

現代では、筋力がなくても働けますし、DNA鑑定もあるため「女性を管理する」必要もありません。それでも、女性の社会進出はなかなか進みませんでした。

その理由について、レンさんは「1番影響が大きいのは、やっぱり妊娠」だと指摘します。20〜30代というキャリアにとって重要な時期と、子どもを産む時期が重なってしまうことが大きな問題なのです。

さらに厄介なのは、少し前まで妊娠のタイミングを自分で選ぶことができなかったこと。「妊娠して急に仕事から離れる」リスクがあるとみなされ、女性は高度な教育やキャリアへのアクセスから遠ざけられてきました。

つまり、女性が理系分野に進めなかったのは「能力がないからではなく、妊娠のタイミングをコントロールできなかったから」という社会構造の問題だったのです。この「見えないバリア」こそが、女性の社会進出を阻む一番大きな壁だったのかもしれません。

歴史を知ると、言葉の見え方が変わってくる

農業時代の「筋力=生産力」という発想から始まり、相続のための管理、そして妊娠コントロールができなかったという事情まで。女性の理系進出が遅れてきたのは、能力の問題ではなく、歴史と社会構造の問題だったのだとよくわかる配信でした。

こう考えると「女の子なのに理系すごいね」という言葉も、ちょっと違った響きに聞こえてきますね。


サイエントーク / 科学のポッドキャスト
ピルの研究が社会を変えた?避妊薬の障壁と女性の社会進出 #ポッドキャスト #podcast #238

[配信日時]2026年2月9日
[出演者]レン、エマ
[番組URL]https://www.youtube.com/watch?v=c0Znj_SeVso

(C)サイエントーク / 科学のポッドキャスト



【参考文献】
・OECD調査: 理工系進学者の女性割合、日本は最下位 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE157BP0V10C21A9000000/

・Goldin & Katz (2002) "The Power of the Pill" NBER Working Paper 7527
https://www.nber.org/papers/w7527
ピル普及が女性のキャリアを押し上げたことを量的に立証した代表研究

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