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「嘘のDVで親権が奪われる…?」民法改正の裏に潜む“恐ろしいルール”。法務省が示した「5つの事例」に専門家が抱く“懸念”

  • 2026.4.27

ポッドキャスト番組『夫婦関係学ラジオ』は、夫婦関係研究家の鶴田敦彦さん(通称・アツさん)が、多彩なゲストとともに家事育児やキャリア、離婚など、夫婦のさまざまな葛藤をサバイブするためのナレッジを届ける番組です。

3月22日の配信回では、多治見ききょう法律事務所の所長で弁護士の木下貴子先生がゲストに登場。2026年4月施行の民法改正で注目を集める「共同親権」について解説しました。

「離婚したら自動的に共同親権になる」という誤解が広がるなか、実際にはどんな場合に認められ、どんな場合に認められないのか。法務省が示した5つの事例にも触れながら、詳しく語られています。

「自動的にが共同親権になる」わけではない!判断基準は「子どもの幸せ」

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(C)夫婦学関係ラジオ

2026年4月の民法改正により、離婚後の親権について「単独親権」か「共同親権」かを選べるようになりました。これまでは離婚後は単独親権しか選べなかったため、選択肢が増えたこと自体が大きな変化です。

しかし、木下先生は「これから離婚すると全部共同親権になるんですか?」という相談が非常に多いと明かします。自動的に共同親権になるわけではなく、あくまで選択肢の一つとして加わったにすぎません。

さらに「原則共同親権」という捉え方をしている人も多いそうですが、木下先生は「原則共同親権にするのか、原則単独親権にするのかという決まりはありません」と明言。研修でも法務省の講師が繰り返し説明しているポイントだといいます。

判断の基準はあくまで「子の利益(子どもの幸せ)にとってどちらがいいか」。共同か単独かは、その基準に照らして個別に判断されるのです。

虐待・DV・協力困難な関係性…共同親権が認められない3つのケース

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※Google Geminiにて作成(イメージ)

では、共同親権が認められないのはどのような場合なのでしょうか。木下先生は民法819条の条文を確認しながら、「必ず単独親権にしなければならない」と定められているケースを解説しました。

1つ目は、父または母が子どもの心身に害を及ぼすおそれがある場合。つまり、子どもへの虐待があるケースです。

2つ目は、夫婦間でDVやモラハラなどの有害な行為があり、父母が協力して親権を行うことが困難だと認められる場合。身体的な暴力だけでなく、心身に有害な影響を及ぼす言動も考慮の対象になります。

3つ目は、上記のような明確な暴力がなくても、協議が調わない理由などを総合的に考慮した結果、「父母の協力が困難」だと判断される場合です。条文では、3つ目については2つ目とまとめて記載されています。つまり、簡単に言えば「夫婦の仲が話し合いできないほど拗れている場合」だと考えて良いでしょう。

これらの事実について、木下先生は「客観的に立証できるレベルまでの証明は必要ないとされています」と説明。一方で、いわゆる「虚偽DV」によって認定が左右されることへの懸念も論点になっていると語りました。

虚偽の申告で共同親権が奪われてしまう可能性と、DVの被害を訴える側の保護をどう両立させるか。この問題は、今後の運用のなかで注目されるポイントになりそうです。

合意なしでも共同親権が適切とされる「5つのケース」は?ただし専門家からは疑問の声も…

父母の合意がなくても共同親権が適切と判断されるのは、どのような場合なのか。木下先生は、法務省が示した5つの事例を紹介しました。

1つ目は、同居親と子どもの関係が良好でなく、別居親が養育に関与することで子どもの精神的な安定が図れるケース。2つ目は、同居親の養育に不安があり、関係機関の支援に加えて別居親の関与があった方が子どもの利益にかなうケースです。

これらは、子どもと一緒に住んでいる親の子育てがやや危なっかしかったり、子どもとの仲が悪かったりする場合だと言えそうですね。

3つ目は、夫婦間の感情的な問題と親子関係を切り分けることができる父母のケース。4つ目は、支援団体を活用して子どもの養育について協力できるケース。5つ目は、調停の過程で感情的な対立が解消され、親権の共同行使ができる関係を築けるようになったケースです。

ただし、3つ目から5つ目について、木下先生は「『それができるなら最初から合意して共同親権を選んでいるのでは?』という疑問の声が多い」と語っていました。

また、4つ目の支援団体のケースについて「裁判所には『この支援団体を利用しなさい』という強制力はない」とも指摘。合意のない状態でどう協力するのかという実務上の難しさを語りました。

共同親権は「自動的に得られるもの」ではない

今回の民法改正で共同親権という選択肢は加わりましたが、自動的に適用されるわけでも、原則として認められるわけでもありません。判断の基準はあくまで「子どもの幸せ」であり、「共同親権にしてしまうと、子どもが不幸になるかもしれない」ケースは単独親権となります。

法務省が示した5つの事例も、実務的にはすべてが想定しやすいわけではなく、専門家の間でも議論が続いています。共同親権を正しく理解するためには、こうした具体的な条件や限界を知っておくことも大切です。


夫婦学関係ラジオ
#2-119 共同親権で何が変わる?「子どもに会える?」「反対されたら?」:ゲスト 多治見ききょう法律事務所 所長 木下貴子先生

[配信日時]2026年3月22日
[出演者]アツ/鶴田敦彦、木下貴子(多治見ききょう法律事務所)
[番組URL]
https://open.spotify.com/episode/1mFZ2EY9qQ50IZgrjo8jJj?si=_fanhk7lSaml9OxEHvEk7g

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