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“ゴンドラが回転したら詰みです”吊り橋どころじゃないドキドキだらけ、それが「高所作業」のお仕事!【作者に聞いた】

  • 2026.3.31

元高校教師の新井は、新たな職場にガラス清掃会社を選んだ。初の高所作業で指導役になったのは年下の先輩で大学生の鷹見さん。高所を恐れつつもゴンドラで繰り出したはいいが、彼女の言動にドキドキ、そして投げ出されれば命綱でバンジージャンプ、ゴンドラが風に巻かれれば即詰み、スリリングな高所清掃にもドキドキ――!

身近な「はるか高み」、それが高所作業!漫画『高みの鷹見さん』 作:谷垣岳
身近な「はるか高み」、それが高所作業!漫画『高みの鷹見さん』 作:谷垣岳

谷垣岳さんが描く“高所揺さぶりラブコメディ”『高みの鷹見さん』(集英社「となりのヤングジャンプ」連載)。高所でのガラス清掃に従事する新米の新井晋太郎と、掴みどころのない態度と言動で新井を翻弄する職場のアイドル・鷹見怜以を描いたラブコメ作品だ。2026年3月18日に待望のコミックス第1巻が発売された本作、その舞台裏を作者の谷垣岳さんにインタビューした。

『高みの鷹見さん』第1巻書影 作:谷垣岳
『高みの鷹見さん』第1巻書影 作:谷垣岳
漫画『高みの鷹見さん』第1話 作:谷垣岳
漫画『高みの鷹見さん』第1話 作:谷垣岳
作:谷垣岳
作:谷垣岳
作:谷垣岳
作:谷垣岳
作:谷垣岳
作:谷垣岳
作:谷垣岳
作:谷垣岳

スランプ中に働いた「ガラス清掃」の仕事に感動…『高みの鷹見さん』誕生秘話

――『高みの鷹見さん』を描きはじめる際、「これを描きたい」と思った一番の要素は何でしたか?

【谷垣岳】漫画家活動を開始したのが大学3年生の時だったんですけど、そこから4年間ほど結構スランプが続いてしまい、精神がかなり不健康な時期があったんです。その時に「日光を浴びて運動をする必要があるな」と思い、ガラス清掃の求人に応募しました。ずっと憧れだったんです。

会社の皆さんはいい人達ばかりで、景色は凄いしビルは綺麗になって気持ちいいしで、そのおかげかかなり元気になりまして。「これは素晴らしい仕事や……」と感動してしまい、いつかこれを題材に描きたいなと思っていたのがはじまりです。そこに僕の大好きな「明るく元気で男前なギャル」をプラスして鷹見さんの土台ができ上がりました。

作:谷垣岳
作:谷垣岳

――物語の中心人物である鷹見さんですが、制作前から決めていたことや、描く中で変わってきたポイントはありますか?

【谷垣岳】鷹見さんは一見すごく単純な性格に見えて、実は作中一番と言っていいほど厄介で複雑な過去と精神性を持ったキャラクターです。「なぜ建築学を学んでいるのか?」、「なぜ建築学科生なのに塾講師や設計アシスタントではなく、ガラス清掃のバイトをしているのか?」「なぜ主人公に対して……?」と、執筆前から「やりすぎじゃない……?」かってくらい、設定を練りに練っています。今後、少しだけ変わったりする可能性もありますが、芯の部分はぶらさずにしっかり描き切るのが目標でもあります。

作:谷垣岳
作:谷垣岳

――ここまで描かれた中で、「ここは特に印象深い」と思う箇所があれば教えてください。

【谷垣岳】主人公がお世話になっているガラス清掃の会社の社長が出てくるんですが、この人が鷹見さんの次にお気に入りのキャラなんです。とにかく人間が大好きだからみんなに優しくしたい、そんな奇特な人なんですけど、その社長が主人公に対して「空気を読みすぎた結果、自己犠牲的に無理をするのはやめようね」という旨を伝えるシーンがあります。なんてことないコマなんですけど、そこがとても気に入っています。

作画面では鷹見さんの裸体を描いてた時ですね。満足いく出来にするために、どの程度見せてどの程度隠すか、この膨らみによって髪の毛先はどんな角度でしなるか……などを考えながら、嘘みたいに集中して描いていました。なので、過集中の糸が切れた瞬間になぜか大笑いしてしまい「あれは何だったんや」と今でも印象に残っています。普通に近所迷惑でしたね(笑)。

――本作に込めた、作家としての“挑戦”や“実験”があれば教えてください。

【谷垣岳】元々ラブコメもお仕事漫画というジャンルもさほどたしなんで来なかった人生だったので、実は「お仕事ラブコメ」というこの作品のジャンル自体が僕にとっては本当に未知の概念といいますか……。「なんぞそれ?」と今でも哲学が止まらないです(笑)

僕は「ラブは喜劇やない、どっちかというと悲劇や……」などと抜かす、少し斜に構えた偏屈な人間なので、気を抜くとすぐに暗い話になってしまったり、お仕事パートも生真面目要素が強く硬い話になってしまいます。ですので、バランスを取るのが本当に大変で、挑戦と絶望の毎日です。的確なアドバイスをくれる担当さんがいなかったら、今頃“さじ投げ”の競技選手になっていたと思います。

作:谷垣岳
作:谷垣岳

――本作で伝えたいことや、どんな人に読んでほしいかを教えてください。

【谷垣岳】現代社会において、かなり多くの人が「仕事は苦しんで耐えしのぐもの」みたいな認識でいるんじゃないかと思っていて。仕方がないことかもしれないなと感じつつも、僕はそれがすごく不健康だなと思ってしまうんです。でも、そんな中「少しでも会社の皆が楽しく働けるように」と真面目に努力してくれる大人の人達がちゃんといたりする。僕はそういう人たちに救われました。

毎日身と心を削りながら「これは苦痛。どうしようもない」と諦めつつ働いている人たちに、僕も同じように何か提供できればいいなと思っていますし、日々働く中で「楽しい」「好き」が薄れてしまった疲れている人に読んでいただきたいなと思っています。果たしてそういう人たちにちゃんと受け入れられる作風に仕上がっているか、僕も少し自信がないですが、いいものにできるように尽力するつもりでいます。もちろん、元気いっぱいで健やかに生活している人たちにも楽しんでもらえたらうれしいです!

作:谷垣岳
作:谷垣岳

取材協力:谷垣岳

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