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トラブルを呼ぶ「うっかり相づち」に要注意!仕事の愚痴を言われたら、共感?否定?正しい反応は?

  • 2026.4.20

 

職場の人間関係はとにかく気を遣うもの。できることなら、毎日を穏便に、トラブルなく過ごしたい。しかし、自分がリーダーや上司の立場になると、そうも言っていられません。

例えば仕事の愚痴を言う相手がいたときに、共感すれば悪口仲間にされ、否定すればパワハラ扱い——。正しい受け止め方を知らないと、相手との信頼まで揺らぎかねません。

そこで今回は、NHKキャスター歴17年、現在は長崎大学准教授として心理学・コミュニケーション論を研究する矢野香さんの著書から、愚痴に巻き込まれず、自然と減らしていくための実践的な方法をご紹介します。

※本記事は書籍『偉ぶらないけど舐められないリーダーの話し方』(矢野香:著/日本実業出版社)から一部抜粋・編集したものです

 

仕事の愚痴を言う相手と、 どう話す?

Q.「あのクライアント、本当に厄介で……」 。メンバーが仕事の愚痴をこぼしたとき、リーダーとしてどこまで受け止めればいいのでしょうか。上司として一緒になって悪口は言えないし、かといって突き放すのもいかがなものか……。悩みます。

A. 「消去」のスキルで、相手の「望ましくない行動」を減らしましょう。

メンバーの愚痴を聞いていると、つい「わかるよ」と同調したくなることもあるでしょう。あるいは、「そんなことは言うな」と諭したくなるかもしれません。しかし、そのどちらも不正解です。

まず、メンバーと一緒になって愚痴を言うこと。これはリーダーの立場上、絶対に避けなければなりません。「言った、言わない」のトラブルになったり、リーダーの責任問題に発展したりしてしまうリスクがあるからです。かといって、「クライアントの愚痴なんて言うものじゃない」と頭ごなしに否定するのも、今の時代ではパワハラになりかねません。

安全で賢明な対応は、その話題に「乗らない」、つまり相手にしないことです。そして何より、「メンバーがリーダーに愚痴をこぼす」という望ましくない行動を減らすことが肝心です。

そのためには、「消去」という行動分析学のスキルを応用します。犬のしつけで、良いことをしたらほめて(=強化)、望ましくない行動は相手にしない(=消去)のと理屈は同じです。

ちなみに、頭ごなしに否定する行為は、「弱化(じゃっか)」にあたります。同じく、望ましくない行動は減ります。しかし、相手にとって嫌なことをフィードバックするため、ビジネスの現場には不向きです。

 

▶具体的な方法は2ステップ

 

相手の望ましくない行動を減らすためのステップ

ステップ❶ 反応を「ゼロ」にする (反応しない)

相手の望ましくない行動が始まったと察知した瞬間に、これまであなたが相手に見せていたポジティブな反応を、すべて「ゼロ」にしましょう。例えば、次のような行動です。

・ うなずきをやめる
・ 合わせていた視線を外す
・ 笑顔や共感の表情を消し、無表情になる
・ 前のめりだった姿勢を、少し引いたものに変える
・ 時計やスマートフォンに目を落とす

「ゼロ反応」は、あからさまに嫌な顔をするのとは違います。嫌な顔は強い「拒否反応」つまり、「弱化」を与えられたことになります。そうではなく、ただ静かにポジティブな反応をスッと引っ込めて「無」になるイメージが「消去」です。

リーダーのゼロ反応が効果を発揮するには、普段からあなたが相手と良好なコミュニケーションを取り、表情豊かに話を聞いていることが大前提。いつも反応が良いリーダーが急に「無」になるからこそ、「おっと、この話はまずいんだな」と相手は非言語で察知するのです。

 

ステップ❷ 物理的に距離を取る

反応しないことと合わせて使いたいのが、その場から離れる方法です。

「あ、ごめん、ちょっとお手洗いに……」
「(時計を見ながら)もうこんな時間か。次の予定があるので失礼するね」

話題をそっと中断し、相手と物理的な距離を取りましょう。もし、どうしても何か一言返さなければならない雰囲気なら、共感の対象を「人」ではなく「事実(行動)」に限定しましょう。

× NG人に共感
 
「クライアントの〇〇さんって、難しいことで有名だから大変だね」

〇 OK行動に共感
 
「あの案件は、メールのやり取りが頻繁だから大変だね」

言葉で直接「NO」を突きつけるのではなく、非言語の態度で示す。これは「言った、言わない」の不毛な争いを避け、パワハラのリスクからリーダー自身の身を守るための重要なコミュニケーションスキルです。

 

著者略歴: 矢野 香(やの・かおり)
国立大学法人長崎大学准教授。スピーチコンサルタント。専門は、心理学・コミュニケーション論。NHKでのキャスター歴17年。おもにニュース報道番組を担当し、番組視聴率20%超えを記録。NHK在局中からスピーチ研究に取り組み、博士号取得。大学教員として研究をつづけながら「信頼を勝ち取る正統派スピー チ」を伝授。クライアントには、大手上場企業役員、経営者、政治家などエグゼクティブクラスのリーダーが名を連ねる。著書に『その話し方では軽すぎます!──エグゼクティブが鍛えている「人前で話す技法」』(すばる舎)、『最強リーダーの「話す力」誰から見てもリーダーらしく見える「話し方」の秘密』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などベストセラー多数。

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