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送迎バス運行中、子ども「トイレに行きたい!」目的地までは30分…元運転手がとった判断に「正しかったと思ってる」

  • 2026.5.3
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。送迎バスの運行管理やバス運転士の経験を持つVenus☆トラベルです。

我が子が乗る送迎バスが、運行ルートを外れて運行しているのを見ると、心配になる保護者も多いことでしょう。たとえ、その裏にやむを得ない事情があったとしても、バスを見ただけではわからないもの・・・

今回は、14年ほど前に乗務していたスイミングスクールのバスでやむなく運行ルートを外れたときのお話を紹介します。当時、走行中のバスを見た保護者から複数のクレームが入り驚いたものです。

送迎バスの運転士は、乗客の安全を考慮した臨機応変な運行を求められるとともに、その場の決断に悩まされることもあります。

トイレに行きたい子どもと運行ルート

スイミングスクールのバスを運行中、スイミングへ向かう子どもがトイレに行きたいと声をかけてきました。しかし、スイミングスクールに到着するまでは、まだ30分ほどかかる予定でした。

ちょうどコンビニを通り過ぎたあとでもあり、この先スイミングスクールまで、トイレを借りられそうな場所がありません。なんとかスイミングまで我慢できないかと尋ねると、子どもはどうしても無理だと言います。

とはいえ、スイミングスクールのスクールバスを自家用車のように、自由なルートを走行することは本来できません。また、運行している中型バスを安易に停車すれば、他車に迷惑をかけてしまいます。

しかし、トイレの我慢は大人でも辛いもの・・・だからこそ悩みました。

そこで、私は中型バスでも停車できそうなガソリンスタンドへ向かうことを決意しました。乗車している子どもたちへ、緊急事態だから少し違う場所を通るけれど心配ないことを伝え、ガソリンスタンドへ向けて運行方向を変えました。

安堵と10分遅れの運行・・・そして気づかなかった保護者の目

乗客の生理的な欲求を我慢させることは、健康や精神面に影響を与えるため、バスは緊急停車することがあります。ただし、送迎バスは決められた運行業務を完遂しなければならず、緊急時の報告は鉄則です。

そのため、ガソリンスタンドでトイレを借りている間にスイミングスクールへ状況を報告し、5~10分遅れの運行になる旨を伝えました。もちろん、ガソリンスタンドへお礼を伝えることも忘れてはなりません。

子どもが戻ってくるとすぐに、正規のルートへ戻り運行を再開しました。バス停で待つ子どもたちには、乗車時に「遅くなってごめんね」と、可能な範囲で1人ずつ声をかけます。

「何かあったん?」と聞いてくる子どももいましたが、「ちょっと遅れちゃって・・・だいぶ待った?」と話を逸らしながら丁寧に謝罪しました。トイレで遅れたことを伝えると、子ども同士の関係に影響を与えかねないため、核心に迫る内容はあえて伝えませんでした。

結果的に、10分ほど延着となりましたが、スイミングの授業開始には間に合ったため安堵したものです。しかしそのとき、運行ルートの変更を見ていた保護者がいたことに、まだ私は気づいていませんでした。

予期しなかった保護者からのクレーム

その日の夜、運行が終わったことをスイミングスクールへ報告しに行くと、スタッフに話があると呼び止められました。運行ルートを外れて走行していたバスを見た保護者から、スイミングへクレームが入ったとのことでした。

しかも、1件ではなく複数のクレーム・・・スイミングスクールで運行状況を把握していたため、保護者へは状況を伝えたものの、対応に苦慮したとのことでした。

送迎バスの運行は意外と多くの人の視線を集めることがあります。特に、子どもが乗車するスクールバスでは保護者の注目度が高いと、改めて感じたことを覚えています。

子どものためであったとしても、保護者からの要望が多ければ、運転士としての出入りを禁止される場合も少なくありません。そのときは、保護者あてに説明の手紙を一斉配布し、以後のクレームもなく私はお咎めなしとなりました。

さまざまな視点で考慮が必要なのが送迎バスの運転士

送迎バスの運転士は、安全運行や乗客への配慮だけでなく、バスを運行する学校や施設との連携が欠かせません。とくに、自家用自動車(白ナンバー)のバスを運行する場合、指示命令系統が複雑です。

そのため、送迎バスの運転士は現場の状況に葛藤することも多く、責任がのしかかる場面も少なくありません。

しかしあのとき、トイレを我慢する子どもが、嫌な思い出につながるようなことはありませんでした。スイミングスクールには、クレーム対応をさせてしまい申し訳なかったと思いますが、当時の状況判断は正しかったと今でも思っています。


ライター:Venus☆トラベル

近畿地方でバスの運転に関わる仕事に携わって約12年、多くの送迎バスを運転しました。幼稚園や自治体、企業や施設など、それぞれの場所で学ぶことが多くありました。その反面、運転士視点で感じた心の声をリアルにお届けします。


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