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利用客「私はその時間に来られない」駅の“窓口の営業時間”を無視し続けた客→駅員がついに断った理由に思わず納得

  • 2026.5.7
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。元鉄道駅員の川里です。

 今回は、私が駅員時代に経験した「効率化の裏側にある現場の苦労」をご紹介します。駅の窓口の営業時間が短縮されて、駅員の負担は必ずしも軽減されたのでしょうか。

「効率化」

あるとき、当時私が勤務していた駅の窓口が営業時間を短縮することになりました。以前は夜遅くまで営業していたのですが、帰宅ラッシュが一段落するタイミングでもう窓口の営業を終えてシャッターを下ろし、駅員は改札口の仕事だけを行うようになりました。

この頃は列車の運行本数を減らしたり、時刻表の無料配布を廃止したりと、効率化を理由にさまざまなものを削減していました。それらに関するご意見はやはり多かったようです。それでも駅窓口の効率化を推し進めた経営陣の詳しい判断経緯までは、私にはわかりません。

ただ、

「効率化とはいっても、自分ひとりの負担はむしろ増えるんじゃないか?」

と感じていました。

シャッターの前、呆然とするお客さま

営業時間を短縮するにあたり、ポスター、電光掲示板の表示、構内放送で告知しましたが、やはりすべてのお客さまに周知することはできなかったようでした。何時間も早くなった営業終了時刻を迎えてシャッターを閉めるのを、改札前の通路を通行する方が怪訝そうに眺めていました。

「こんな時間にシャッターを下ろすなんて、なにかあったんですか?」

と尋ねる方もいました。もう閉店です、と伝えると

「まあ、こんなに早く!」

と驚いていました。

中には帰宅ついでにきっぷの購入か定期券の継続をしようと思っていたのか、シャッターの目の前まで進んで立ち止まり、しばし呆然としている方もいました。やがてそのシャッターがすぐに開くことはないとわかると、今度は改札口に進んできました。

「すみません、定期券の有効期限が今日までなんですけど…」

結局窓口の機械で

このお客さまがお持ちの通勤定期券は券売機でも継続購入できるため、券売機を案内しようとしたのですが、使う前から「使い方がわからない」と言われてしまいました。券売機は嫌われやすい傾向にあるのかもしれません。

ルールでは「営業時間が変わってから1カ月程度は、事情によっては窓口内の機械を使って営業時間外に売っても良い」となっていました。「事情によっては」や「臨機応変に」という言葉は責任を現場側に押し付けているように感じられて苦手なのですが、会社が「窓口で売るように」と言っている以上、拒否するわけにはいきませんでした。

「なんのための営業時間表示なんだ」

と思いつつも、結局はお客さまから定期券を受け取り、窓口の機械で継続発売して現金をいただきました。窓口は今日分の売り上げをもう確定させてしまっているので、明日の売り上げに計上されました。

翌月

このような対応をしたのは1人や2人ではなく、こんなにも周知が行き届いていなかったのか、と驚かされました。また、券売機の嫌われ具合も強く感じられました。改札口を無人にすることもできないため、マンツーマンで券売機の使い方を案内することもできませんでした。

窓口の営業時間が短縮されてから1カ月が経った頃、以前にも特例として営業時間終了後に定期券を継続購入したお客さまがまた改札口を訪れました。

やはり前回購入できたので「窓口の営業時間終了後は改札口の駅員に言えばやってもらえる」と思われたのかもしれません。

もう特例も使えない!

しかし、このときは前回と違って券売機以外での購入をお断りしました。先月の購入時に

「窓口の営業時間が変わっているので、次回はご注意ください」

と案内していたためです。

「私はいまが帰宅時間だから、それより前に駅の窓口には行けない」

というのが、そのお客さまの主張でした。しかし営業時間外に窓口を開けるのも、本来はよくないことのはずです。

営業時間が短縮された分、その告知やご意見への対応業務が増えたように感じられました。これまで行っていたサービスを会社の効率化のために取りやめるのは、1人の駅員にとっては必ずしも楽な選択ではなかったのかもしれません。


ライター:川里隼生

鉄道会社の駅係員として8年間、4つの駅を経験しました。コロナ禍やデジタル化を通して移り変わってきた、会社としての鉄道サービスの未来像と、お客様それぞれが求めている鉄道サービスのあり方の両方から学んだことを記事にしていきます。


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