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残クレで新車を買った38歳夫→5年後に返却も大誤算…ディーラーで突きつけられた“予想外の査定結果”

  • 2026.5.10
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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

残価設定クレジットに関する連載の第6回目となる今回は、車の返却時に思わぬ出費を求められてしまったケースについて考えていきます。前回の第5回では、事前のリサーチや低金利キャンペーンの活用、そして売却先の比較など、入り口から出口までしっかりと戦略を立てることで残価設定クレジットを賢く使えるという実体験をご紹介しました。しかし、すべての人がそのように計画的に契約しているわけではないのが実情です。

もし、契約条件を深く理解しないままごく普通に車を使ってしまった場合、最後にはどのような結末が待っているのでしょうか。今回は、車を大破させたわけでも、乱暴に乗り回したわけでもないのに、返却時に30万円もの追加支払いを請求されてしまったある家族の実例を紐解きながら、残価設定クレジットの落とし穴に迫ります。

【前回(第5回)の記事はこちら】

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月々の安さだけで選んだごく普通の契約

郊外に住み、妻と小さなお子さんと暮らす38歳の男性会社員、Aさん。車にそれほどマニアックなこだわりがあったわけではなく、日々の生活の足として、また家族で出かける際の利便性を第一に考えて車選びをしていました。その結果、スライドドアが便利で室内も広いトヨタのヴォクシーの購入を決めました。

ディーラーで商談を進める中で担当者から提案されたのが、残価設定クレジットという買い方でした。新車に乗れて毎月の支払いが抑えられるという提案に加えて、ちょうど低金利のキャンペーンも実施されており、Aさんは大きな魅力を感じたそうです。これから子どもの教育費も本格的にかかることを考慮すると、毎月の固定費が少しでも安くなるのは家計にとって大きなメリットに思えたのではないでしょうか。

契約書には5年で5万kmまでという走行距離の上限や、返却時の査定に関する細かな条件が記載されており、ディーラーの担当者からも一通りの説明は受けていました。しかし、当時のAさんは普通に乗って最後は車を返せば終わるのだろうと軽く考えており、その条件が後々どれほどの重みを持つのか深く理解しないままサインをしてしまったのです。

こうして新しい車が納車され、快適なミニバンライフがスタートしました。そして5年後、車を返却する日に思いもよらない現実を突きつけられることになります。

最大の誤算。なぜ距離は延びてしまうのか

5年の契約期間が満了に近づき、次の車への乗り換えを視野に入れてディーラーへ愛車であるヴォクシーを返却しに行ったAさん。そこで担当者から告げられたのは、30万円の追加精算が必要になるという予想外の査定結果でした。

大きな事故を起こしたわけでもないのに、なぜこれほど高額な請求になってしまったのでしょうか。その内訳を詳しく見ていくと、実に20万円という大部分を占めていたのが走行距離のオーバーでした。

契約時の想定は5年で5万kmでしたが、返却時のメーターが指していたのは7万kmでした。規定を2万kmもオーバーしていたことになります。残価設定クレジットの契約では、規定の距離を超過した場合、1kmあたりの精算単価が設定されています。Aさんの契約では超過1kmにつき10円のペナルティとなっており、2万kmの超過で20万円が加算される計算となっていました。

では、なぜこれほどまでに距離が延びてしまったのか探っていきましょう。理由を聞くと、Aさんは決して特別な長距離ドライブを繰り返していたわけではありませんでした。毎日の子どもの送迎、週末のショッピングモールへの買い出し、長期休みのたびに訪れる実家への帰省や家族でのレジャーに活躍していたそうです。さらに、普段の用途に加えて、たまの通勤や出張にもこの車を使用していました。

郊外での生活において、ミニバンは家族の移動手段として大活躍します。気がつけば月に1,000km以上走っていることも珍しくはなく、ごく普通の生活に合わせて使っていただけの走行距離が、5年という歳月をかけてゆっくりと規定のラインを超えていったと言えます。そして、請求額はこれだけでは終わりませんでした。

「これくらい大丈夫」が重なる、10万円の査定減点

走行距離による20万円に加え、残りの10万円は一体何だったのか見ていきましょう。それは、内外装のダメージによる査定減点でした。

残価設定クレジットで車を返却する際、車の状態は細かくチェックされます。一定の免責範囲が設けられていることが一般的ですが、Aさんのヴォクシーはその範囲を超えてしまっていました。定められた範囲を超過すると、傷や汚れの度合いに応じて所定の追加費用が請求される仕組みになっています。

Aさんの車には、いくつか思い当たる節があったそうです。たとえば、スーパーの駐車場で隣の車にコツンと当てられてしまったドアパンチのへこみです。へこんでいるもののそれほど目立たないからいいだろうと考え、修理には出さずそのまま放置していたそうです。しかし、そうしたへこみもしっかりと査定のマイナス要因になってしまいました。

さらに、荷物の積み下ろしでついたバンパー下の細かな擦り傷や、いつの間にかボディに付いていた、どこかで擦ったと思われる傷、後席で子どもがこぼしたジュースやお菓子のシミ、内装の樹脂パーツについた傷などもありました。Aさんからすれば、家族で5年も乗っていればこれくらいの生活傷は付いて当たり前という感覚だったのかもしれません。

しかし、査定のルールに照らし合わせるとそうはいきません。一つ一つは小さな傷や汚れでも、それらが積み重なることで許容される範囲を逸脱してしまいます。その結果、少しずつ加算されたペナルティが10万円という金額に達してしまったと考えられます。

残クレの落とし穴は普通の生活にあるのか

ここまでの経緯を振り返ると、Aさんは決してルールを無視した悪質な使い方をしていたわけではありません。むしろ、多くの一般読者と同じように、自分たちの生活ペースに合わせて車を使っていただけでした。だからこそ、今回のような事態は誰にでも起こりうるものだといえます。

残価設定クレジットで本当に怖いのは、大きな事故や極端な使い方ではなく、自分のライフスタイルと契約条件のズレに気づかないまま契約期間を過ごしてしまうことです。前回ご紹介したように、仕組みを理解したうえで戦略的に活用できる人もいれば、今回のように知らないうちに負担を膨らませてしまう人もいます。

月々の支払いの安さだけで判断するのではなく、自分や家族がどのくらい車を使うのか、そして契約の出口である返却条件が自分の生活に合っているのかまで、あらかじめ確認しておくことが大切です。契約後に想定外の負担を抱えないためにも、一度立ち止まって、自分の生活スタイルに本当に合った買い方なのかを考えてみる必要があるでしょう。



ライター:Masaki.N
自動車メーカーで車体開発エンジニアとして設計・先行開発に携わった後、マーケティング/市場リサーチ領域で商品導入・訴求設計にも従事。さらに自動車サブスク系ITベンチャーでマーケティングを担当し、ユーザー視点のコミュニケーション設計を経験。現在は自動車ライターとして、新車情報、技術解説、モデル比較、中古車相場、維持費、業界動向まで幅広く執筆。SEO記事・コラム・インタビューなど媒体横断で制作し、専門知識を生活者の言葉に翻訳して「買う/持つ」の判断を支援します。加えて、カスタムを含む実車取材・体験を通じて得た一次情報を記事に落とし込み、机上の知識にとどまらない“現場感”のある解説を強みとしています。


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