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「新型EVって何が違うの?」日産リーフを“ただの車”と思っている人が見落とす「意外な事実」

  • 2026.4.6
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出典元;PIXTA(画像はイメージです)

みなさま、こんにちは。元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

最近、ニュースや街中で「EV(電気自動車)」という言葉を目にする機会が増えました。代表的なモデルといえば、やはり日産リーフでしょう。

とはいえ、「エンジンがない車」というイメージはあっても、従来の車と何がそんなに違うのか、いまひとつピンとこないという人も多いのではないでしょうか。

実はEVは、難しい未来の乗り物というよりも、“家電に近い乗り物”と考えるととても分かりやすくなります。今回は、身近なたとえを使いながらEVの特徴と、EVに乗るメリット・デメリットを見ていきましょう。

EVは「燃やす車」ではなく「電気を流す車」

ガソリン車は、ガソリンを燃やして爆発させ、その力でエンジンを回します。この爆発のエネルギーがクランクシャフトを回し、最終的にタイヤを回転させて車が走ります。

一方、EVはこの仕組みがまったく違います。バッテリーに蓄えた電気を使ってモーターを回し、その回転力でタイヤを動かします。つまり、ガソリン車が「燃やす車」だとすれば、EVは「電気を流す車」です。この違いによって、車の性格は大きく変わります。

オイル交換がいらない理由

エンジンがある車には、必ずエンジンオイルが必要です。内部では金属部品が高速で動き、さらに燃焼によって高温になるため、潤滑や冷却のためのオイルが欠かせません。

しかしEVにはエンジンがありません。爆発もなければ、高温の燃焼もありません。そのため、エンジンオイル交換という整備自体が存在しないのです。もちろん完全にメンテナンスが不要というわけではありませんが、ガソリン車と比べると、整備項目が少なくなるのは大きな特徴です。

なぜ加速がスムーズなのか

EVに初めて乗った人が驚くのが、加速のスムーズさです。ガソリン車はエンジン回転を上げてトルクを生み出すため、アクセルを踏んでから力が出るまでに少し時間があります。さらに、トランスミッションの変速によるショックもあります。

一方、モーターはスイッチを入れた瞬間から最大の力を出すことができます。たとえば、ドライヤーのスイッチを入れるとすぐ風が出ますよね。あれと同じで、電気のモーターは反応がとても速いのです。そのため、EVはアクセルを踏んだ瞬間からスッと加速し、変速ショックもほとんどありません。

なぜあんなに静かなのか

EVが静かな理由も、仕組みを知ると納得できます。ガソリン車は燃料を爆発させて動くため、どうしても振動や音が発生します。

しかしEVは爆発がないため、基本的にはモーターの回転音くらいしか出ません。そのため、特に低速では驚くほど静かに走ります。

ただし、静かすぎることが問題になる場合もあります。歩行者が車の接近に気づきにくいからです。このため現在は法律で「車両接近通報装置」の搭載が義務化されています。EVは低速走行時に、あえて車外へ疑似音を出して「車が近づいていますよ」と知らせる仕組みになっているのです。駐車場や交差点近くで「キーン」や「コー」のような音を耳にしたことがあると思います。あの音が車に搭載されているスピーカーから発している音なのです。

冬に航続距離(走行できる距離)が減る理由

EVの話題でよく聞くのが、「冬は走行距離が短くなる」という話です。これはスマートフォンを思い出すと分かりやすいでしょう。
寒い日にスマホのバッテリーが減りやすいと感じたことはありませんか?リチウムイオンバッテリーは低温に弱く、性能が落ちやすいという性質があります。人間も寒いときは動くのが嫌ですよね。動いたとしてもエネルギーを使うため、疲れやすかったりするのと同じイメージです。

EVのバッテリーも基本的には同じです。さらに暖房にも電気を使います。ガソリン車の場合、エンジンの熱を利用して暖房を作れますが、EVはエンジンがないため、熱源となるものがありません。その代わりに電気ヒーターを使います。これはヒーター内部の電熱線に電気を流して温めます。そこに風を当てて、暖房として使用します。

しかしこの仕組みを使うと電力消費が増え、航続距離が短くなります。ただし最近のEVでは、この弱点を補うためにヒートポンプ式エアコンが採用されることが増えています。これは簡単にいうと家庭用エアコンの仕組みを応用して効率よく熱を作る方式で、従来の電気ヒーターよりも消費電力を抑えられるのが特徴です。

EVに乗るメリット・デメリット

EVには、ガソリン車とは違った魅力もあります。まず大きいのは維持費の違いです。電気はガソリンより安くなるケースも多く、自宅充電ができれば日常の燃料コストを抑えられる可能性があります。さらに整備面では、エンジンオイル交換が不要なことに加え、モーターは構造がシンプルなため、機械的な消耗部品も比較的少なくなります。また、加速のスムーズさや静かさは、実際に乗ってみると想像以上に快適です。通勤や街乗りでは、この静かさが「疲れにくさ」にもつながります。

一方で、EVにはまだ課題もあります。まずは充電インフラです。ガソリン車のように数分で満タンというわけにはいきません。急速充電でも約30分~1時間程度の時間が必要になります。普通充電では車によりますが、数時間~10時間以上の時間が必要な場合もあります。長距離ドライブや遠出では充電計画を考える必要があります。これはガソリン車にはないポイントです。さらに車両価格も、現状ではガソリン車より高くなるケースが多いのも事実です。

これからの「選択肢」として

EVは万能ではありません。しかし、生活スタイルによっては非常に相性のいい車でもあります。たとえば

  • 通勤や買い物など近距離利用が中心
  • 自宅に充電設備を設置できる
  • 静かで快適な移動を重視する

こういった条件なら、EVはかなり現実的な選択肢になります。逆に、頻繁に長距離を走る人や充電環境が整わない場合は、ハイブリッド車の方が便利なケースもあるでしょう。

大切なのは「どちらが正しいか」ではなく、自分の生活に合っているかどうかです。EVは決して遠い未来の車ではなく、すでに選べる一つの選択肢です。そしてその仕組みを知ると、EVは難しい機械というよりも、電気で動く大きな家電のような存在に見えてきます。

車選びの視野を少し広げるきっかけとして、EVという存在を知っておくのも面白いかもしれません。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り約8年、メーカーで現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。 年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


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