1. トップ
  2. 「節約のために軽へ」40代男性の誤算…16万キロ超の旧型ジムニー納車直後、陸送担当者が告げた絶望の一言

「節約のために軽へ」40代男性の誤算…16万キロ超の旧型ジムニー納車直後、陸送担当者が告げた絶望の一言

  • 2026.5.15
undefined
出典元:PIXTA(画像はイメージです)

節約のための乗り換えのはずが…軽自動車イコールジムニーになった理由

もともとAさんの家庭では、夫婦でそれぞれ普通車を所有していました。お互いに通勤で使用し、月に数回は実家への帰省で高速道路を走るため、走りやすさを優先して車を選んでいたそうです。ところが、奥さんの転職によって状況は大きく変化します。勤務先から社用車が支給されたことで自家用車に乗る機会がほとんどなくなり、実家への帰省も数ヶ月に1回へと減少しました。その結果、ほとんど乗らない車に維持費だけがかかる状態になってしまったのです。

そうはいっても、車を1台に減らしてしまうとふとした時に不便を感じるかもしれません。そこで話し合った結果、維持費を抑えるために1台を軽自動車に乗り換えるという結論に至りました。

しかし、いざ軽自動車を選ぶ段階になると、Aさんの心にはジムニーという選択肢しか浮かばなかったそうです。もともとランドクルーザー70に憧れていたというAさんは、どうせ乗るなら無骨でレトロ感のある車が良いと考えるようになりました。車を探すうちに、リフトアップやナロースタイルといったカスタムが施された旧型ジムニーにばかり惹かれていったと言います。

候補としては、当時の旧型ジムニーを代表する2つのモデルが挙がりました。カクカクとした無骨なデザインが特徴的なJA11型と、少し丸みを帯びて乗り心地が改良されたJA22型です。街乗りがメインであることや乗り心地を考慮し、ネット上の情報も参考にしながら、より日常使いに適しているとされるJA22型を優先することにしたそうです。見た目の好みだけでなく、使い勝手とのバランスを考えた上での選択でした。

予算の壁と自己責任の決断。オークションへの挑戦

車種が決まり、いざ購入しようとすると、今度は予算という現実的な壁が立ちはだかりました。Aさんの予算は100万円以内でしたが、古い車に安心して乗るために、エンジンのオーバーホール済み(分解して点検や修理を行うこと)と全塗装済みという条件はどうしても外せませんでした。

ところが、専門店でそれらの条件を満たす車両を探すと、乗り出し価格が100万円を大きく超えてしまうことが多かったようです。専門店で購入すれば仕上がりも綺麗で信頼性が高いことは理解しつつも、予算をオーバーしてしまうことは避けられません。

そこでAさんは、インターネットのオークションを利用するという手段に出ます。オークションでの車の購入はリスクが伴いますが、求める条件はクリアしていたため、ある意味では自己責任の勝負として踏み切ったそうです。スケジュールの都合で事前の現車確認ができなかったことも、自身で納得した上での決断でした。

憧れの納車日。しかし陸送担当者のひと言で事態は急転

いよいよ納車の日を迎え、写真でしか見ていなかったジムニーが目の前に現れたとき、Aさんの興奮は最高潮に達しました。走行距離はすでに16万3000キロを超えていましたが、全塗装されているため見た目は美しく、念願のレトロな車を手に入れた喜びに包まれていたそうです。

しかし、その高揚感はすぐに打ち砕かれることになります。車を運んできた陸送の担当者から、ブレーキの効きがおかしいと告げられたのです。ある程度のリスクは覚悟していたとはいえ、出鼻をくじかれたショックは大きく、気持ちを整理するには少し時間がかかったと言います。

さらに、実際に乗り始めてみると、不具合はブレーキだけではありませんでした。アクセルを踏むと空気が漏れるような音がし、その後には異臭が漂い、さらにはウォッシャー液も出ないことが発覚します。次から次へと見つかる不具合に、いったいどれだけの問題が隠れているのだろうと途方に暮れる思いだったそうです。

絶望から一転、自分で直せるかもしれないという前向きな気持ちへ

想定外の不具合に直面したものの、すべてが悪いことばかりではありませんでした。ブレーキの点検を依頼する過程で、古い車をしっかりと見てくれる頼もしいショップを見つけることができたのです。そこで点検を受けた結果、ブレーキだけでなく車輪の軸にあたるハブの不具合も早期に発見できました。そのまま放置していればさらに大きな修理費用がかかっていた可能性があり、不幸中の幸いだったと言えるでしょう。

同時に、次々と修理が必要になる状況の中で、Aさんはご自身でも車を直せるのではないかと考え始めます。インターネットやAIツールを活用して調べてみると、ジムニーは愛好家が多いため、カスタマイズだけでなく不具合や修理に関する情報も豊富に存在することが分かりました。

また、JA22型の弱点としてバッテリー電圧の降下が起きやすいという情報を得たことで、アイドリング中の電圧やエンジンの回転数に気を配るようになったそうです。絶望にも似たショックがきっかけとなり、Aさんは単なる車の所有者から、愛車の状態を深く観察し理解しようとする人へと変化していったのです。

不便さも愛おしい。直しながら乗るという豊かなカーライフ

ご自身で車の状態を調べるうちに、原因を特定して修理できた部分も出てきました。たとえば、納車時から気になっていたウォッシャー液が出ない問題は、タンクのモーターの故障だと判断してご自身で部品を取り寄せて交換し、見事に正常に機能するようになったそうです。また、古い車によく見られるプラスチックの劣化によるドアハンドルのひび割れも、インターネットの情報を参考にしながら新しい部品へと交換しました。

このように、壊れていた部分をご自身の理解と手で直せた瞬間は、とても大きな喜びを感じるとAさんは語ります。手がかかるからこそ、不具合を解消できたときの達成感は大きく、車への愛着がますます深まっていくようです。

当初は維持費を抑える目的で軽自動車への乗り換えを検討したはずが、結果的には手間もお金もかかる旧型ジムニーを迎え入れることになりました。最新の車のような快適さやコストパフォーマンスの良さを求めるのなら、少し不満を感じることもあるかもしれません。それでもAさんは、この車を買ったことに後悔はないと前向きに語ってくれました。不具合と向き合うたびに車への理解が深まり、直しながら乗ることそのものを心から楽しんでいるようです。

維持費の節約という最初の目的からは遠ざかってしまったかもしれませんが、その代わりに、効率や快適性だけでは測れない豊かな時間と経験を手に入れたと言えるのではないでしょうか。



ライター:Masaki.N
自動車メーカーで車体開発エンジニアとして設計・先行開発に携わった後、マーケティング/市場リサーチ領域で商品導入・訴求設計にも従事。さらに自動車サブスク系ITベンチャーでマーケティングを担当し、ユーザー視点のコミュニケーション設計を経験。現在は自動車ライターとして、新車情報、技術解説、モデル比較、中古車相場、維持費、業界動向まで幅広く執筆。SEO記事・コラム・インタビューなど媒体横断で制作し、専門知識を生活者の言葉に翻訳して「買う/持つ」の判断を支援します。加えて、カスタムを含む実車取材・体験を通じて得た一次情報を記事に落とし込み、机上の知識にとどまらない“現場感”のある解説を強みとしています。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる