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「急に前のほうからカラカラと変な音が…」オイルを継ぎ足してしのいでいた40代男性の車に起きた異変

  • 2026.5.23
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

「少し減るくらいなら問題ないだろう」「減ったら足せば走れる」。そんな感覚で続けていたオイル管理が、ある日突然“エンジン停止”という最悪の結果を招くことがあります。

今回は、オイル消費を軽視したことでエンジン内部が焼き付き、高額修理に発展してしまった実例をもとに、「オイルが減る本当の怖さ」について解説します。

「オイル交換しても減るんですよね」から始まった違和感

ある日、40代男性が点検で来店されました。

「オイル交換しても、3,000kmくらい走ると結構減るんですよね」

そう言いながら見せてくれた車両のレベルゲージは、明らかに規定量以下。エンジン下回りを確認しても、目立つオイル漏れはありませんでした。

つまり考えられるのは、“内部でオイルを消費している状態”です。まず疑ったのは、ピストンリングやバルブシールの摩耗でした。これらが劣化すると、エンジンオイルが燃焼室へ入り込み、一緒に燃えてしまいます。

「内部でオイルを消費している可能性があります。このまま乗り続けると、エンジンにダメージが出るかもしれません」

そう説明すると、男性は少し困った表情を見せました。

「でも仕事で毎日使うので、長く預けられないんですよね。減ったら足せば大丈夫ですよね?」

確かに、オイルを補充しながら走ることで、一時的に延命できるケースはあります。しかしそれは、あくまで“応急処置”。根本的な解決ではありません。

この時点で、すでにエンジン内部では静かに異変が進行していました。

「まだ走れる」が危険…徐々に悪化していったオイル消費

その後も男性は車を使い続けていました。

最初は「月に1回補充」で済んでいたものが、次第に「2週間に1回」、やがて「毎週確認しないと不安」という状態へ変化していったそうです。

ただ、仕事で毎日長距離を走る生活では、細かい管理を続けるのも簡単ではありません。

「気づいたらかなり減ってた」「補充しようと思って忘れていた」

そんな状態が積み重なり、エンジン内部では油膜切れが発生していました。エンジンオイルは、単に“滑りを良くする潤滑油”ではありません。金属同士の摩擦を防ぎながら、同時に熱を逃がす“冷却”の役割も担っています。

つまり、オイル不足になると、

・摩擦が増える
・温度が異常上昇する
・金属が直接こすれ合う

という危険な状態になるのです。特に高速走行や長距離移動ではエンジンへの負担も大きく、油膜が保てなくなった瞬間、一気にダメージが進行します。それでも車は、完全に壊れる直前まで“普通に走れてしまう”ことがあります。

だからこそ、ドライバー側も危険を見落としてしまうのです。

「カラカラ音」の直後に停止…分解で判明した深刻な損傷

異変が起きたのは、通勤途中だったそうです。

「急に前のほうから“カラカラ”って金属音がして」

その直後、オイル警告灯が点灯。アクセルを踏んでも加速せず、そのままエンジン停止。幸い後続車との接触事故にはなりませんでしたが、もし高速道路や交通量の多い道路だったら、大きな事故につながっていた可能性もあります。レッカー搬送後にエンジンを分解すると、クランクシャフト周辺のメタルが焼き付いていました。いわゆる“エンジン焼き付き”です。

金属部品同士が高熱で溶着し、正常に回転できなくなっていた状態でした。ここまで進行すると、部分修理では済まないケースも多く、エンジン載せ替えレベルの高額修理になることも珍しくありません。

男性も、「減るだけだと思ってました」と、かなりショックを受けていました。

ですが実際には、“オイルが減る”という時点で、すでに異常のサインだったのです。オイル消費は、「古い車だから仕方ない」で済ませてはいけません。もちろん、補充して量を保つこと自体は大切です。しかし、補充はあくまで一時しのぎにすぎません。本当に重要なのは、“なぜ減っているのか”を調べることです。

もし、

・以前より減りが早い
・マフラーから白煙が出る
・オイル警告灯が点く
・補充頻度が増えている

といった症状があるなら、一度しっかり点検を受けるべきでしょう。「まだ走れる」は、「壊れていない」と同じ意味ではありません。エンジンは、一度焼き付けば元には戻らないのです。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り約8年間整備に従事し、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


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