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医師には即座に止められそうなのに…101歳まで現役を貫いた薬剤師が、自宅で毎晩口にしていた「意外な飲み物」

  • 2026.3.18

大正12年に生まれ、2025年でこの世を去った薬剤師の比留間榮子さん。101歳まで現役を貫いて薬局に立ち続けるには、心身ともに健康でいることが欠かせなかったはずだ。生前語っていた健康の秘訣とは――。

※本稿は、比留間榮子『ほどよくまわり道して生きていく』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

冷蔵庫を開けるシニア女性
※写真はイメージです
75年間続けている習慣

あいさつはその日の心を決めると思っています。

特に、朝、最初に交わすあいさつは、一日を司る大切な行いです。

朝起きて、家族がいるのなら家族にまずは「おはようございます」。仏壇の写真にもきちんと「おはようございます。今日も見守っていてください。よろしくお願いいたします」とあいさつをする。心をこめて、相手の目を見て、朝一番のあいさつをすることで、その日は必ずよい日になる。これは長い年月で自然と私に身についた、毎朝のおまじないのようなものです。

私の大切な日課は、もうひとつ。毎朝、私は薬局に着くとすぐに、まだ誰もいない調剤室に向かって、深く一礼をして、朝のあいさつをします。

「今日もお客様のために必要な薬をお届けさせてください」
「今日もどうぞよろしくお願いします」

そう心で唱えながら、深いお辞儀をします。これは75年間、毎日ずっと続けている習慣です。

「一生現役でいたい」と思うなら

私たちの薬局では、お客様にまずお辞儀と自己紹介をしてからお薬の説明をします。

数ある薬局の中からうちを選んでくださったことへの感謝はもちろんですが、お客様からすれば、服薬という、非常にプライベートなことを橋渡しするのが私たち。お客様のことを知る以上、薬剤師自身もきちんと名を名乗り、敬意を持ってお客様に寄り添いたいという思いがそこにはあります。

ありがたいことに、私は仕事が苦になるとか、やめたくなったりしたことが一度もありません。

私にとって毎朝出勤するということは、日課であって、あたりまえのことだからです。習慣というのは、身につくまでに時間がかかりますが、一度身につけると、それをしないと居心地が悪いと思うようになります。

たとえば、朝の歯磨き、身支度がよい例ですが、もし「一生現役で生きていきたい」というならば、現役の働き方を「習慣」として続けていくことが、手っ取り早いかもしれません。

会社員で65歳まで働き、退職したとしても、「毎日することがない」なんて言わないことです。まだ若いのですから、そこから何か新しいことを始めて、新しい習慣にしていくことです。

毎晩のビール、出かけるときはメイク

今までやりたいと思っていたことを始めてみるのもいいですし、健康や食事に気を配った生活を習慣にしてみるというのもいいでしょう。どんな生活が習慣化されていると自分が満足できるのか、考えてみることはよいことだと思います。

私は毎朝、一番に出勤して、誰よりも先にお店に立ちます。お店が終わるまでいて、最後に帰ること。一緒に働くスタッフやお客様を最初に迎え、最後も見送る自分でいることが習慣であり、望む姿です。

仕事以外の私の習慣はといえば、朝飲む酵素と、夜のご褒美ビールです。それから、出かけるときには、必ず眉毛をきちんと描いて、口紅を引き、頰紅を塗ることです。

ビールを注いだコップを手に持つ笑顔の高齢女性
※写真はイメージです

以前は、毎月表参道の美容院に通ってパーマと毛染めをしてもらうことが習慣でしたが、今は足のリハビリもあるため、別の美容師さんに訪問してもらって、髪の毛を整えています。

健康の習慣と、仕事の習慣と、身だしなみの習慣。

これは私にとって、とっても大事な習慣ですが、何かが習慣化されると、行動することが億劫ではなくなるような気がします。

よい「あたりまえ」には悩みがない

習慣にしていることが多いほど、気力も筋力も保つことができますから、年齢を重ねれば重ねるほど、習慣と挑戦を増やしていくのは、長生きの秘訣のひとつといえるかもしれません。

習慣化されると「いやだなあ」「面倒だな」と思う暇なく、からだが勝手に動くようになります。

そうなると、不思議なことに、人生には「すきま」ができます。余裕が出るという言い方もできるでしょうか。そこにまた一つ、やりたいことをやる余力が生まれます。「型」が習慣となることで、生まれた余白に新しい風が吹き込みます。

私たちの「あたりまえ」には、くすりになるものと毒になるものがあると思います。

まず、くすりになるのは、「それがあたりまえだから、しっかりやらなくては」と思うときです。自分のやるべきことが明確で習慣化されていると、行動に対して疑問を抱くこともなく、いやな感情を持つこともありません。

つまり、よい「あたりまえ」には、余計な悩みが浮かばないのです。雑念なくそのことにまっすぐ向き合うことができる状態がよい「あたりまえ」です。

たとえば、戦争中は、「爆撃から生き延びる」が最優先。誰もがそうでしたから、これが「あたりまえ」。とにかく生き延びる。そこには悩みは生まれませんでした。

毒になる「あたりまえ」には注意

戦後のように、皆が貧しくて仕事も少ない中で、目の前の与えられた仕事を懸命にやっているときも、そこに悩む暇はやはりないでしょう。

悩みが出てくるのは、豊かさが生まれたときといえるかもしれません。

命の危険がなくなり、余裕が生まれてはじめて自分の「あたりまえ」と周りの「あたりまえ」が変わってきます。「あの人のようにはできない」「あんなに幸せな人がいるのに自分は」など、悩みが生まれます。

悩みが出てきて、やりたくないことや、やめたいことが出てきたり、人のことが気になったりするというのは、実は、余裕があるともいえる気がするのです。

だから、人と比べてしまったり、今の自分が嫌になったりするときは、その背後にある豊かさに気づきなさい、ということでもあるような気がします。

一方で、誰かに押しつけられた「あたりまえ」は、心やからだを壊す毒になることもあります。そんな「あたりまえ」はときどき疑ってみることも必要かもしれません。

お店に立ってきた時間がスタッフの誰より長くなった私は、普段から、誰かに自分の「あたりまえ」を押しつけていないかを、自分自身に確認するようにしています。若い人たちの意見や考えを大切に扱うように心がけているのも、この理由からです。

男性にも母の日の花を

ヒルマ薬局の店内には、薬局が求める理想や夢を、絵や写真とともに描いたドリームマップが掲げられていますが、それも、若い薬剤師らのアイデアでスタッフたちが皆で描いたものです。

比留間榮子『ほどよくまわり道して生きていく』(サンマーク出版)
比留間榮子『ほどよくまわり道して生きていく』(サンマーク出版)

母の日に一輪のカーネーションをお渡しするちょっとしたイベントも、若いスタッフの提案から始まったもので、もう数年続いています。

女性だけではなく男性にもお渡しするので、「あれ? 僕に?」とおっしゃるお客様もいますが、「あなたにも、お母様がいらっしゃるでしょう?」と伝えると、ちょっと微笑んで受け取られます。ご存命であろうとなかろうと、お母様のことを思い出し、その記憶にひたる母の日も素敵だと思うのです。

当然、コストはかかるものですから、薬局は薬を売るところ、という「あたりまえ」に照らしたならば、不要となってしまうことになるかもしれません。

でも、そんな「あたりまえ」を壊した挑戦は、新しい空気を運びます。誰かのアイデアに向かって一緒に取り組んでみると、心にさわやかな風が吹き込みます。

比留間 榮子(ひるま・えいこ)
薬剤師
1923年東京生まれ。1944年東京女子薬学専門学校(現明治薬科大学)卒業。薬剤師である父の姿を見て自身も薬剤師になろうと決意し、大正12年に父が創業したヒルマ薬局の2代目として働き始める。父とともに、戦後の混乱の渦中にあった東京の街に薬を届ける。薬剤師歴は80年超、調剤業務をこなしながら服薬指導や健康の相談に乗る姿は、「薬師如来のよう」と評判で、地域の人たちの心のよりどころに。101歳で亡くなるまで店に立ち続けた。

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