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50代・60代のモデル人気が高騰。ファッションショーでブランドがシニアを起用する理由とは

  • 2026.3.13
LAUNCHMETRICS SPOTLIGHT

若いうちは、若さの本当の価値がわからないと言うが、ファッション界ではどうだろう? ファッション業界で、若いモデルがまとうランウェイのクリエイションを実際に購入しているのは、大人の女性たちだというのは、よく知られた事実だ。それは、ラグジュアリーブランドのウィメンズウェアデザイナーの大半が男性であるのと同じように、目の前にありながら見過ごされがちなパラドックスでもある。だが今季は、そんな現実を反映するかのように、各ブランドのデザイナーたちが40代から60代の女性たちをモデルに起用。顧客の大部分を占める層にフォーカスしたキャスティングが目を引いた。

「シャネル」2026年秋冬コレクションでオープニングを飾った、50歳のステファニー・カヴァリ。 Launchmetrics.com/spotlight

「シャネル」では、マチュー・ブレイジーが50歳のモデル、ステファニー・カヴァリを起用してショーの幕を開けた。彼女は印象的なグレイヘアの持ち主で、1月のクチュールデビューショーでもランウェイを歩いている。ブレイジーはクチュールのショー後、『ニューヨーク・タイムズ』紙のインタビューに対し、「年齢を重ねたモデルたちは、服にまったく新しい次元をもたらしてくれます」と語っている。「彼女たちには人生があり、世界を見てきているのですから」。3月9日に行われたショーには、50代のクリスティーナ・チュンやラウラ・ポンテも登場し、大人の魅力を披露した。

「トム フォード」のランウェイを歩く61歳のクリステン・マクメナミー。 Courtesy of Tom Ford

モデルの動向に詳しい人なら、61歳のクリステン・マクメナミーが「トム フォード」や「ミュウミュウ」に登場したこと、45歳のマリアカルラ・ボスコーノが「グッチ」や「アライア」を歩いたことに気が付いただろう。また、ブランドの歴史と見事にリンクするようなキャスティングも話題を呼んだ。「カルバン・クライン」は、90年代に同ブランドのショーに出演したグランジ時代のミューズ、50歳のグィネヴィア・ヴァン・シーナスを起用。「マイケル・コース」はブランド設立45周年のアニバーサリーショーのフィナーレに、かつて初の広告キャンペーンを飾った57歳のクリスティー・ターリントンを抜てきした。そしてデムナは、「グッチ」らしさと90年代後半のコレクションを再解釈するアプローチの一環として、52歳のケイト・モスを指名している。

「キャロリーナ ヘレラ」のショーに登場した、65歳のアン・ドゥオン。 Launchmetrics.com/spotlight

さらに、40代以上のセレブやカルチャーアイコンたちもカメオ出演を果たしている。「ミュウミュウ」のショーに登場したジリアン・アンダーソンやクロエ・セヴィニーがその代表例だ。また、ニューヨーク・ファッションウィークでは、「キャロリーナ ヘレラ」のクリエイティブ・ディレクターを務めるウェス・ゴードンが、ペギー・グッゲンハイムからインスピレーションを得たショーに、アーティストのレイチェル・ファインスタイン、エイミー・シェラルド、アン・ドゥオン、ミン・スミスらをモデルとして迎えた。

「ミュウミュウ」のフィナーレを飾る57歳のジリアン・アンダーソン。 Launchmetrics.com/spotlight

こうしたキャスティングは、単なる話題作りや、40代以上の女性がランウェイに自分自身を投影できるようにするためだけのものではない。それは、インフルエンサーたちが30歳を迎えることに恐怖を抱き、若いうちからのフェイスリフトが当たり前になりつつあるような、“永遠の若さ”を礼賛する現代カルチャーに対する一種のアンチテーゼのようにも感じられる。ここ数シーズン、ランウェイにおける体形の多様性は明らかに減少傾向にあるが、少なくとも今季のコレクションにおいては、年齢は本当にただの数字にすぎないことを証明してくれた。

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