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「私立中学」がゴールになっていませんか? 夢を追う時期に資金が底をついた、ある『親子の後悔』

  • 2026.3.13

私立中学校への進学を視野に入れることで、本人の性格や気質に合った学校も選択の対象になるなどメリットがあります。その一方、中学受験の負の側面が取り上げられることも少なくありません。今回は、筆者の友人・A太が中学・高校の学費負担が重なったことで、大学進学時に選択肢を狭めてしまったエピソードを紹介します。

画像: ftnews.jp
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教育環境へのこだわりが、家計の転換点に

A太は現在30代で、地方出身です。私たちが子どもの頃は東京などでも中学受験への関心は今ほど高くなく、多くの地方在住者にとっては中学受験は無縁のものでした。

しかし、A太の母B子は「質の高い教育環境を早くから与えたい」という教育方針を持っており、息子を私立中学に進学させることを決意しました。

優秀で真面目な性格だったA太は私立中学に合格しました。学校は楽しく、施設やカリキュラムも整っていたものの、その裏で家計の負担は想定以上に膨らんでいました。

一般的に、公立中学・高校に通う時期は、大学資金を準備するための「貯め時」とされています。しかし、A太の家庭では、毎月の授業料や施設費、通学費などの捻出で精一杯となり、将来の教育資金を蓄える余裕がなくなってしまったのです。

学力はあっても、経済的な制約で断念した夢

高校生になったA太は理系を選択し、県外の難関国立大学を目指せるほどの実力をつけていました。しかし、中高6年間の学費負担に苦しむ親の姿を間近で見てきた彼は、多額の仕送りが必要な「県外進学」や、学費の高い「私立理系」という選択肢を口にすることさえできませんでした。両親もまた、これ以上の教育費負担に対しては非常にシビアにならざるを得ない状況だったのです。

結果として、A太さんは「地元の国立大学一本」という背水の陣で受験に臨みました。しかし、入試当日に不運にも体調を崩してしまい、実力を出し切ることができませんでした。

「その後」に続くキャリアへの影響

国立大学の合格を逃したA太さんは、経済的な条件が合った地元の私立文系に進学することになりました。理系としてのキャリアを希望していた彼にとって、学部選択の余地がなかったことは大きな心残りとなりました。

もし、中高が公立であれば、その分の学費などを大学受験や下宿、あるいは浪人して再挑戦するための費用に充てられたかもしれません。

A太は当時の選択を振り返り、「私立での経験は無駄ではなかったが、その後の進路の幅を狭めてしまったのは本末転倒だった」と語っています。また、私立高校は裕福な家庭が多く、希望通りの進路を選んで都会へ出た友人たちとは、生活環境の変化とともに次第に疎遠になっていきました。

現在のA太は、就職活動での苦い経験を経て、現在は東京で働きながら正社員としてステップアップを目指しています。

中学受験がゴールではない

中学受験はお金も労力も膨大にかかるため、1つのゴールとして見做しがちです。しかし、実際にはその先には大学受験があり、人によっては大学院受験、留学など、さらに資金が必要なステージが待っています。

子どもが小学生の段階で将来の適性を完全に見極めるのは困難です。成長に伴い「医者になりたい」「理系に進みたい」「大学院に進学したい」といった高額な学費が必要な夢を抱く可能性も十分にあります。

「私立中学の学費なら払える」という短期的な計算だけでなく、入試の失敗や進路変更といった不測の事態も含め、10年後を見据えた資金計画が欠かせません。

我が子の教育費をどこで、どう使うか。目先の「私立合格」という看板に囚われすぎず、子どもの未来の選択肢を最大限に残しておくことこそが、親に求められる重要な役割ではないでしょうか。

【体験者:30代・会社員男性、回答時期:2026年2月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:太田あやこ
大学でジェンダーや女性史を学んだことをきっかけに、専業ライターとして活動中。自身の経験を活かしながら、幅広い情報収集を行い、読者に寄り添うスタイルを貫いている。人生の選択肢を広げるヒントを提供し、日々の悩みに少しでも明るさをもたらせるよう、前向きになれる記事づくりに取り組んでいる。

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