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6週間半で完成! DIYで叶えた“バリ・ミーツ・ビーチスタイル”の理想の別荘

  • 2026.3.9
Christina Kayser O./living inside

コロナ禍によるロックダウンの最中、コペンハーゲンで小児科医を営むランバン・アリアントは、あるアイデアをパートナーに切り出した。それは、閉塞感の中での救いとなるか、あるいはハチャメチャな事態への片道切符か、といった極端な提案だった。

以前から趣味でDIYをたしなんでいた彼は、デンマーク版のリフォーム番組『Sommerdrømme(夏の夢)』への応募を考えていたのだ。「彼がその番組を見て、『僕らにもできるよ』って言い出したんです」と、広報ディレクターを務めるキャスパー・モルク・アリアントは当時を振り返る。「僕は『冗談だろ? 本格的なものなんて1度も作ったことがないじゃないか!』って返しましたよ」この番組は4組のチームが競い合い、優勝したカップルには自分たちが作り上げた別荘がそのまま贈られるというもの。先に結果を明かしてしまえば、アリアント夫妻は参加者に選ばれただけでなく、なんと見事に優勝を手にしたのだ。

撮影開始前、2人に割り当てられた物件は約92㎡のミニマルで無機質なただの“箱”だった。直線的なデザイン、重ね継ぎの板材仕上げの天井、そして大きな窓。キャスパーが言うには、それは「魂が抜け落ちた」ような家で、キッチンはおろか、配管も床材すら整っていない状態だった。場所はデンマーク最南端に位置するファルスター島。ドイツからフェリーでわずか1時間の距離にある。のどかな風景は「アンデルセン童話の世界を絵に描いたようで、ビーチもすぐそばなんです」とキャスパーは語る。しかし、このデザインデュオがテレビ番組の、ひいては日々の暮らしの舞台にふさわしい空間に変える前は、家そのものに魅力は皆無だった。「構想から完成までに与えられた時間は6週間半。だから四六時中、休む暇もなく働きました」

その結果は、まさにプレッシャーを見事にはねのけた証と言えるだろう。完成した家は、まるで何十年も前からそこにあったかのような心地よさと、長年かけて整えられたような趣を感じさせる。「デザインのテーマは『B&B』にしました。ただし、“ベッド&ブレックファスト”ではなく、“バリ・ミーツ・ビーチホテル”という意味なんです」と、ランバンの故郷であるインドネシアを意識したコンセプトをキャスパーは説明する。室内は、その場で思いついた独創的なDIYのアイデアで埋め尽くされている。「外観は非常に直線的でクリーンな北欧ミニマリズムそのもの。だからこそ、内装は温もりと少しのロマンス、そしてバカンスに出かけたときのような高揚感で満たしたかったんです」US版「カントリーリビング」より。

Christina Kayser O./living inside

ここからスタート!無機質な「箱」と評された改装前の外観

Christina Kayser O./living inside

腰壁はサビ色にペイント

リビングの腰壁を彩る目を引くカラーは、近所のビーチホテルで見かけた、サビ色の窓枠から着想を得たもの。「新築の家だったからこそ、地元の歴史を感じさせる要素を吹き込みたかった」とキャスパーは語る。2人は専用のスキャンツールを用いて、そのホテルの窓枠の色を正確に再現した。赤の持つ温かみに対し、ストライプのカバーをかけた「イケア」のソファ“エークトルプ”などの寒色系の家具を合わせることで、全体のバランスを整えている。茅葺き屋根のような風合いの照明器具にも注目。

Christina Kayser O./living inside

家具の色は白とスモーキーブルー

ガラス壁がもたらすモダンな印象を和らげるため、ダイニングエリアには1950年代のレトロなスクールチェアをはじめ、すべてヴィンテージの品々を揃えた。ダイニングテーブルには自らやすりをかけ、リビングやキッチンとの統一感を出すために白と青でペイント。「新しいテーブルを買おうとすると高くつくけれど、ペイントなら手軽に家具をアップサイクルできますよ」とキャスパーは言う。

一方で、チェストにはあえて手を加えず、塗装が剥げかけた当時の風合いをそのまま生かした。「Facebookのマーケットプレイスで20ドルで手に入れました。1910年代からずっと大切に受け継がれてきたものなんですよ!」と、キャスパーはその背景を語ってくれた。

courtesy of homeowners

上の室内も元はこんな様子だった

Christina Kayser O./living inside

キッチンアイランドは何と可動式

オーク材の天板があしらわれたキッチンアイランドには、ある秘密がある。実は2つのユニットで構成されており、右側のユニットにはキャスターが付いていて、本体から切り離せるようになっているのだ。

「夏の間はこれをデッキまで転がして、移動式のアウトドアキッチンとして使っています。ガスコンロやグリルはもちろん、BBQ用の調味料も中に完備しているんです」とキャスパーは言う。

壁の汚れ防止パネルには、天井の板張りデザインとリンクする重ね継ぎの板材を採用。サッと拭くだけで汚れが落ちるよう、艶やかなハイグロス塗装で仕上げている。

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カゴをシェードに用いた自作のペンダント照明

ランバンの故郷インドネシアで一番のお気に入りの島、バリでは、カフェやホテルのロビーの天井からウィッカーバスケットが吊るされ、そこから青々とした熱帯植物が溢れ出しています。あの雰囲気がたまらなく好きなんです」とキャスパーは語る。

2人はその光景を自分流にアレンジした。量販店で購入した質感豊かなカゴのなかに、さまざまな形状のソケットやペンダントライトを収めて照明に転用したのだ。さらに、吊り下げ式のハーブガーデンを添えることで、空間に瑞々しい清潔感を与えている。

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キャビネットの扉は1960年代のチーク材を再利用

寝室の壁一面に配されたキャビネットは、Facebookマーケットプレイスで手に入れた1960年代のチーク材のフロントパネルをアップサイクルしたもの。白の板張りの壁や天井を背景に、ウッドとライトブルーを組み合わせることで、60年代のビーチホテルのような雰囲気を演出している。さらに、ラタン製のベッドトレイがバカンス気分を盛りあげてくれる。

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地元への愛に満ちたギャラリーウォール

キャスパーはこの島で育った地元の詩人たちを調べ、夏やバカンスについて詠った彼らの詩を見つけ出した。それらは家の至る所に飾られている。「この土地に古くから伝わる声の断片なんです」と彼は語る。

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家族のお気に入りを飾る標本ケース

フリーマーケットで見つけたアンティークの標本ケースは、家族で海岸を散歩して拾い集めたお気に入りの石や貝殻をしまっておくのに、まさにうってつけの場所。

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古びた鎧戸をコートハンガーに

双子の部屋では、キャスパーとランバンがアンティークショップで見つけた、風合い豊かなバリの鎧戸を横向きに設置。そこにフックを取り付けることで、コートや帽子、水着などを掛けるハンガーとして活用している。あえて古い金具をそのまま残したことで、年月を重ねた味わい深い質感がいっそう際立つ。その下に置かれた1980年代のラタン製チェストは、Facebookマーケットプレイスにて25ドルで手に入れたもの。

Christina Kayser O./living inside

歴史を宿した真鍮製ベッド

双子の部屋にある1890年代と思しき2台の真鍮製ベッドには、磁器製のキャスターがついている。「新しい空間だからこそ、家の中に“魂”を吹き込むことが大切なんだ。そうすることで、新築の場所でもまるでずっと昔からそこにあったかのような温かみが生まれるんです」

さらに、遊びに来た友人が泊まれるように、MDF材とキャスターを使って、ベッド下に収納できる可動式のエクストラベッドを自作した。

Christina Kayser O./living inside

観葉植物や照明が宙に浮かぶ

穴を開けたテーブルに白く塗ったラタンの木枠を立て、観葉植物や丸いコットンボールのランプ、小さな電飾を吊り下げた。この仕掛けのいいところは、一緒に食事をする相手の顔を隠すことなく、空間のムードだけをぐっと高められる点にある。

ウッドデッキの端材を用いた手作りの蓋つきベンチは、出しっぱなしになりがちな砂遊びのスコップやラケット類を隠すのにも重宝している。

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隠れ家のような屋外シャワー

緩やかな曲線を描く外壁が、建物の直線的でシャープな印象とコントラストを成す。壁の内側には、プライバシーをしっかりと確保しながらも、空や木々に向かって大きく開かれた開放的な屋外シャワーが隠されている。

Christina Kayser O./living inside

19世紀の古いレンガを再利用

テラスの床には、農家から譲り受けた19世紀の古いレンガを敷き詰めた。「僕の祖父母が持っていた温室がヒントなんです」とキャスパーは振り返る。「日が沈んだ後もレンガが熱を蓄えていてね。子供心にその温かさが大好きでした。今では僕らの子供たちが、日没後もテラスに座ってレンガに残る余熱を楽しんでいますよ」

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はしごはディスプレイラックに

フリーマーケットで見つけた古いはしごが、観葉植物やランタンを吊るすための支柱として、新たな命を吹き込まれている。

Christina Kayser O./living inside

笑顔で“B&B”を満喫!

家主のキャスパー・モルク・アリアント(左)とランバン・アリアント(右)、そして4歳になる双子のジャワとアトラス。

original text : Kathryn O'Shea-Evans

>>US版『Country Living』のオリジナル記事はこちら

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