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「他者を物のように扱う」人の心には”特権意識”が根付いている

  • 2026.3.4
「他者を物のように扱う」人の特徴とは? / Credit:Canva

他人を目的達成のための道具と見なしたり、個性を無視したりするような人がいます。

このような人にはどんな特徴があるのでしょうか。

ポーランドのヴロツワフ大学(University of Wrocław)の研究チームは、状況に関係なく「普段から他人を物のように扱いやすい傾向」と性格特性の関係を調べました。

その結果、他人を利用する姿勢や自分は特別だという感覚が、より中心的に関わっていることが見えてきました。

研究成果は2025年3月5日付の『Current Issues in Personality Psychology』にオンライン掲載されています。

目次

  • 「他人を利用」する姿勢と「自分は特別だ」という感覚が客体化を高める
  • 想像力や好奇心が低いと「他者を物として扱いやすくなる」

「他人を利用」する姿勢と「自分は特別だ」という感覚が客体化を高める

この研究が扱う「客体化(objectification)」とは、相手を感情や意思を持つ主体としてではなく、目的のための道具のように見ることです。

客体化は、他者の主観性や自律性、個性を軽く扱い、交換可能な存在のように見なすことも含むとも説明されることもあります。

これまで客体化は、性的な場面や職場など、特定の状況で起きる現象として語られることが多くありました。

しかし現実には、場面を問わず「人を人として見ない」ような態度がにじむこともあります。

そこで研究者たちは、文脈に依存しない一般的な傾向として、他者客体化と性格特性のつながりを確かめようとしました。

対象となったのは、18歳から55歳までのポーランド人成人372人で、222人が女性でした。

参加者はオンライン調査に回答し、他者を物のように扱う一般傾向を測る尺度に加えて、いわゆるビッグファイブの性格特性、ダークトライアド、脆弱型ナルシシズム、心理的特権意識、対人搾取性、そして互恵性の考え方などが幅広く測定されました。

ここでいう互恵性とは、「してもらったことにはお返しをするべきだ」という考え方のことです。

研究では、親切には親切で返すべきだという前向きなお返しの考え方と、不当な扱いにはやり返すべきだという報復的なお返しの考え方の2種類に分けて測定されました。

そして分析の結果、他者客体化の強さは複数の性格特性と関連していました。

客体化傾向が低い人ほど、協調性が高く、ポジティブな互恵性を重視し、知的好奇心が強い(intellectually curious)傾向もやや見られました。

一方で客体化傾向が高い人ほど、他人を利用しやすい傾向や、自分は特別扱いされるべきだという感覚、さらにダークトライアド特性などとも関連が見られました。

ただし、関連があることと、どれが特に強く結びついているかは別問題です。

そこで研究者たちは、複数の特性を同時に扱う分析で、客体化と独立に結びつく要因を絞り込みました。

どうなったでしょうか。次項を見てみましょう。

想像力や好奇心が低いと「他者を物として扱いやすくなる」

研究者たちは、年齢と性別も考慮しながら、複数の性格特性を同時に入れた解析を行いました。

その結果、客体化を低くする方向に独立して結びついていたのは、協調性、知的好奇心、そしてポジティブな互恵性でした。

反対に、客体化を高くする方向に独立して結びついていたのは、対人搾取性と心理的特権意識で、性別については男性であることがわずかに関係していました。

ここで大事なのは、相関ではダークトライアド特性とも関連が見られた一方で、搾取性や特権意識などを同時に考慮すると、ナルシシズムやマキャベリズム、サイコパシーといった特性名そのものは、独立した予測因子としては残らなかった点です。

言い換えると、客体化を説明する中心は「ダークな性格っぽいから」という印象論ではなく、「他人を利用しても構わない」と感じる搾取性や、「自分は特別扱いされて当然だ」という特権意識のほうに近いということです。

さらに、知的好奇心が低いほど客体化が強いという結果も見逃せません。

知的好奇心は、想像力や好奇心、物事への関心の広さなどを含む特性として捉えられます。

この傾向が低いと、相手の内面や事情を思い描く回路が細くなり、相手を「目的のための部品」のように見てしまいやすくなる可能性があります。

ただしこの研究だけでは、客体化傾向が強い人が特権意識を強めるのか、特権意識が強い人が客体化しやすいのかは判断できません。

また対象はポーランドの成人サンプルであり、文化や社会環境が違う場所で同じ構造がどこまで再現されるかも今後の課題です。

それでもこの研究は、他人を「人」として見るか、それとも「使えるもの」として見るかの分かれ道には、搾取性と特権意識という心のクセが潜んでいる可能性を明らかにしました。

参考文献

Entitled and exploitative people are more likely to treat others as objects, study finds
https://www.psypost.org/entitled-and-exploitative-people-are-more-likely-to-treat-others-as-objects-study-finds/

元論文

Who tends to perceive other people as useful objects? The relationship between the general tendency to objectify other people and basic and dark personality traits
https://doi.org/10.5114/cipp/195599

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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