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全県的な三ない運動のなか活動を続ける“原研”|伊豆の高校生と移動の自由

  • 2026.3.3

ライダーが大勢訪れる伊豆は公共交通が不便だ。全県的な残留三ない運動は山間地の高校生と保護者、学校を悩ませている。当事者発のクラブ“原研”の活動を追う

「免許を取らせない、バイクを買わせない、バイクを運転させない」という三ない運動は全国高等学校PTA連合会によって1982年から全国的に推進され、各校の校則にまで反映された。全国的な運動は2017年で終了したが、各校の校則には残されており、筆者はそれを残留三ない運動と呼んでいる。

残留三ない運動をなくすためには講習ほか体制の確立が求められる
全国高等学校PTA連合会による全国運動は終わったが多くの学校の校則に残されている三ない運動。これがいま山間地の高校生の移動の課題としてのしかかる。バイクを通学に利用するには安全運転講習ほか少人数のための体制確立が求められる。

残留三ない運動のある国にモビリティ革命は来ない!

100年に一度というモビリティ革命のなか、様々なモノやサービスが便利そうに提示されているが、残留「三ない運動」を解決できないうちは、少なくともこの国においてモビリティ革命が庶民に浸透することはないと考えている。それくらい、今後の我が国を左右する問題であることに多くの人は気づいていない。教育現場で起こっていることだから、これを改善できるのは「教えること」のみ。禁止という手段では決して前に進むことはできない。

こうした現場の問題に、伊豆北部で積極的に取り組んでいるのが地域クラブの「原動機研究部(原研)」だ。彼らは公共交通が不便な伊豆半島において、高校生の移動課題解決に長年取り組んでいる。原則すべての県立高校で免許取得を禁止している静岡県において、この活動の難しさは尋常ではない。しかし県教委も「バイク通学は柔軟に対応すべき」との考えを示し始めている(2025年6月・県議会答弁)。

今回、原研が某県立高校から「一部生徒の原付通学を解禁したい」という要望を受け、安全運転講習会を開催した。

「誰ひとり取り残さないモビリティ社会」を叫ぶ一方で、免許が取れないために通学や部活を諦め、保護者に多大な送迎負担を強いている実態がある。こんな不自由な国で、真の革命が成功するわけがないのだ。

受講生徒のバイク通学が緩和小さくとも確実な一歩に

原研の講習会には地域の高校生のほか、原研メンバーの高専生(免許もバイクも可)も一緒に参加した。二輪車安全運転推進委員会(二推)の二輪車安全運転指導員の資格を持つインストラクターが実技と講話を担当し、特に「バイク通学で事故を起こさない」「もらい事故も含めて事故に遭わない」ための講習を受講した。

後日談によると、受講生のうちの1人は、自宅から最寄り駅までのバイク通学が許可されたそうだ。学校まで行けないことは残念だが、小さくとも確実な一歩となった。原研には歩みを止めず地域のためにも頑張ってほしい。

伊豆半島でも高校生の移動課題は深刻!地域の高校はバイク通学を許可したい

今回、原研が安全運転講習会を開催したのは近隣の高校から要望があったため。伊豆北部の高校は田方平野に多いが、その周囲はぐるっと山で囲まれており山間地から通っている子どももいる。学校は彼らにバイク通学を許可したいが自前のリソースでは対応できず悩みの種だ。

静岡県と残留三ない運動と二輪業界

原研が活動する静岡県では条件付きでの原付免許取得が認められているが、県立全日制高校でバイク通学をしている生徒はほぼいない。過去、二輪業界も県教育委員会や地方議会議員らとの意見交換会に参加したが改善の糸口は見つかっておらず、各校の校則には残留三ない運動が根付いてしまっている。

静岡県は国内二輪3メーカーの創業地。バイクラブフォーラム(写真)は2回も開催。それでも三ない運動は残り続けた

①二輪車安全運転講習会の受講
年に1度は実技や講話を伴った安全運転講習会を行い、生徒の意識と技術を高める
②ヘルメットなど安全装具の装着と購入方法
ヘルメットやグローブなど安全装具の入手から正しい装着までを指導できる体制
③車両の点検修理を行う販売店の確保
通学に利用する車両の点検と整備、修理などを行える地域の販売店等の確保

残留三ない運動からの脱却に求められる3つの整備要件と、そのハードルの高さ

ごく少数の生徒のために学校としてバイク通学を許可するのはとても難しい。原研もいまこれら3つの要件をどう整備していくのかを課題としている。安全運転講習会、安全装具の装着と購入、車両の点検修理に関して誰がどのように行うのか。地域の警察や交通安全協会、二輪関連団体などはどのように協力できるだろうか。ハードルはとても高いが今こそ挑戦すべきときだ。

高校生らに運転実技講習と車両点検を指導。午後は屋内で安全装具の説明と体験も実施

原研主催による「高校生対象 原付バイク 安全運転講習会」は、7月13日(日)、伊豆市・修善寺虹の郷で開催された。午前は広い駐車場で走行実技や車両点検、昼食をはさんだ午後は屋内に移動して安全運転講話や安全装具に関する説明を実施した。

全県的な三ない運動のなか活動を続ける“原研”|伊豆の高校生と移動の自由
乗車姿勢バイクにまたがってライディングポジションのチェック。ハンドルをわしづかみせずセルフステアを邪魔しないよう指導
全県的な三ない運動のなか活動を続ける“原研”|伊豆の高校生と移動の自由
コーナリング慣熟走行のあとはカーブを曲がる練習。ハンドルに力を入れず曲がりたい方向に上半身と目線を向けるのがポイント
全県的な三ない運動のなか活動を続ける“原研”|伊豆の高校生と移動の自由
ブレーキング多くの時間が割かれたブレーキの練習。フロント、リヤ、エンジン、各ブレーキの役割とその際の車体の挙動も体感
全県的な三ない運動のなか活動を続ける“原研”|伊豆の高校生と移動の自由
日常点検車両の日常(乗車前)点検も実施。ブレーキの遊びやタイヤの空気圧などを変化させ異常な状態も体感して重要性を学んだ

講和では安全装具の効果と必要性を伝えた
屋内で行われた安全運転講話。事故に遭わないための心がけや走り方、事故に備えた安全装具等について学んだ。最新のワイヤレス・エアバッグの展開も体験できた

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