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【60代エンタメ】俳優・浦井健治さんが語る日韓が紡ぐミュージカルの新潮流【好奇心の扉・前編】

  • 2026.3.3

世界的に韓国創作ミュージカルの人気が高まるなか、日本の劇場でも注目の作品が次々に上演されています。

この春に幕を開けるのは、韓国でも大ヒットしたミュージカル『破果 パグァ』。

本作の主役である女性暗殺者に復讐を誓い、危険なゲームを仕掛ける青年を演じるのは、韓国発の名作ミュージカルに数多く出演されている浦井健治さん。浦井さんに、クライムノワールを原作とするこの作品の面白さや見どころ、そして、日本と韓国の舞台をつなぐ思いを伺います。

「『破果』の世界観には女性の生き方に対する、韓国の意識の高まりを感じます」

エンターテイメントだから届けられるテーマがある

浦井さんが出演した韓国創作ミュージカル日本版のなかでも、主演をつとめた『笑う男』と『メイビー、ハッピーエンディング』、そして主人公と対峙する重要な役どころを演じた『ファンレター』は、韓国で記念切手になったほどの名作です。 「ある方から、その切手をプレゼントしていただいて驚きました。本当に光栄なことです。昨年は『メイビー、ハッピーエンディング』のブロードウェイ版がトニー賞をとり、衝撃的でしたし、韓国のミュージカルはいま、躍動していますよね」 一方、浦井さんが初演キャストを演じた、日本が世界に誇るオリジナル作品『デスノート THE MUSICAL』は韓国でも長く愛されている舞台。現在、2026年5月までロングラン中です。日本では昨年から今年にかけ、初演から10周年となる記念公演が上演されました。 「日本の初演では夜神月(やがみらいと)という高校生役を、10周年公演では夜神月を翻弄する死神リュークを演じました。昨年の上演中に、韓国版の死神リューク役の方が、本番公演中にもかかわらず、さらにはご自身の本番公演が翌日あるのに、『日本版リュークが気になるから』と見に来てくれたんです。嬉しかったし、エネルギーをもらいました。日本と韓国の距離は近い。僕も最近では共演者や演出家、通訳の方、ボイストレーナーの先生とたくさん知り合いができて、どんどん身近な場所になってきています」 浦井さんが3月から出演するミュージカル『破果 パグァ』は、韓国の同名ベストセラー小説を舞台化した作品。主人公は暗殺者を生業としている60代の女性、爪角(ちょがく)です。 「エンターテイメントとして、トリッキーな展開をみせる作品であると同時に、人間の『葛藤』や『弱さ』が作品の本質にあるとも感じています。自分が演じるトウという役は、爪角に家族を殺されて、彼女を探し求める半生を送ってきた青年。でも、実は憧れも抱いている。まるでシェイクスピア劇のように、トウは自問自答する独白が多いんです。クライマックスで爪角とトウは対峙しますが、見どころは、その刹那。ふたりの間になにが芽生え、なにが崩れるのか―」 『破果』は舞台だけでなく映画化も果たし、韓国で大ヒット。「その背景には、女性の生き方に対する、韓国の意識の高まりもあるのではないでしょうか。この物語をミュージカル化することは、大胆な試みだったと思います。そのトライアルを可能にしたのは、ソウルの大学路(てはんの)の存在だと思っていて。大小の劇場がひしめくように並び、毎週のように初日の幕が開いて、つねに実験! 実験! 実験! 演出家・脚本家・作曲家といったクリエイティブチームを育てる場所があるんです」 「文化と芸術の街」と呼ばれる大学路。その名は1970年代、地域にソウル大学のキャンパスがあったことに由来します。 2024年、その大学路で幕を開けた『破果』は、ミュージカルの新しい挑戦として大きな反響を呼びました。 「『破果』日本版の上演は、日本のエンターテイメントにとっても価値があるムーブメントだと思います。自分がその初演に関われて、しかも爪角を演じられる花總まりさんと初タッグで挑めるなんて、とても素敵な作品に出合うことができました」

「顔にいろんな表情が入ってる人。少年の純粋さと、爪角に対する執着心や愛の気持ちまですでに入っているような気がする」とは、韓国初演の演出家イ・ジナさんの浦井さん評。

ミュージカル『破果 パグァ』

2026 年3 月7 日( 土) ~ 3 月22 日( 日) 東京・新国立劇場中劇場、3 月27 日( 金) ~ 3 月29 日( 日) 大阪・梅田芸術劇場メインホール、4月4日( 土) ~ 4 月5 日( 日) 福岡・久留⽶シティプラザ ザ・グランドホールにて上演。

【出演】花總まり、浦井健治、中山優馬、熊谷彩春、武田真治 ほか
【翻訳・訳詞】高橋亜子
【演出】一色隆司
【音楽監督】甲斐正人

Original work Gu Byeong-mo'snovel "HAKA 破果"
Script & Lyrics by Hyejeong Jang, Gina Lee Music by Nayoung Lee Original Production by PAGE1
主催:ミュージカル『破果』製作委員会 【NHK エンタープライズ/ブルーミングエージェンシー/ h.stage / Air Media /ニッポン放送】

命あるものの温もりに気づいたとき、ヒロインの人生最後の死闘がはじまる

かつてない“60 代女性の暗殺者” を主人公に据えた、韓国でセンセーショナルな反響を呼んだミュージカル『破果』は、激しいアクションシーンも見どころのひとつ。
韓国本国では2024 年3 月に初演を迎え、『ジーザス・クライスト・スーパースター』『ヘドウィグ』『ガイズ&ドールズ』などの演出で知られる演出イ・ジナはじめ、実力派クリエイターが集結し、観客の心を揺さぶる傑作として大きな話題を呼んだ。
原作はベストセラーとなった小説『破果』。韓国文学史上最高と称賛された“キラー小説” であり、ニューヨークタイムズによる「注目すべき本100 選」にも選定され、日本だけではなく世界13 か国で翻訳され世界中で読まれている。

あらすじ

人生のほとんどをプロの暗殺者として生きてきた爪角。超一流の暗殺者であった彼女も年齢を重ね、体の衰えから引退を決意する。いままで守るべきものを作らず、ひとりで生きてきたが、捨てられていた老犬や、親しみを感じる近所の住人など、気がつけば守りたい存在が……。
喜怒哀楽とは無縁の孤独な人生を送るつもりが、他人の痛みを感じるようになり、いつしか心に温もりを求めるようになっていく爪角。しかし、心を寄せていた子どもを、彼女を執拗に追い続ける青年トウが連れ去った。人生で初めて誰かのために闘うことを決意した彼女に待ち受けるものとは……!?

ミュージカル『破果 パグァ』を楽しむためのおすすめブックガイド

『破果』 ク・ビョンモ 著 小山内園子 訳 ¥2,970 岩波書店

小山内園子さんの「 訳者あとがき」によると本作は2013 年に発表後、数年をおいて韓国でのフェミニズムの盛り上がりという時代の変化を背景に、SNS の口コミにより大きな注目を集め、2018 年に加筆された改訂版が刊行された。《「こういう女性の物語を読みたかった」と、いわば読者に召喚されるかたちで爪角は再登場》したのだった。日本ではその改訂版が翻訳され2022 年に出版。2024 年に第 15 回翻訳ミステリー大賞を受賞。

『破砕』 ク・ビョンモ 著 小山内園子 訳 ¥1,870 岩波書店

韓国で2023 年に発表、日本では2024 年に刊行された、爪角が殺し屋となるまでの前日譚。山にこもって3週間、死と隣り合わせの最終訓練を受けることになった少女。人を破壊する術を身につけることは、人として、女としての「普通」の一生を粉々にすること─。『破果』と合わせて読むことで、爪角の人間としての輪郭がより鮮明に浮き上がってくる。

これからの活動への思いを馳せて写真集のロケ地は韓国へ

浦井健治 写真集『 Mirae ~未来~ 』 ¥5,500 ワニブックス

2025 年に発売された浦井さんの4冊目となる写真集は、本人たっての希望で韓国・ソウル市内がロケ地に選ばれた。演劇の街、大学路エリアにも撮影に訪れたそう。

お話を聞いた方

浦井 健治さん 2000 年『仮面ライダークウガ』(EX)で俳優デビュー。2004 年『エリザベート』皇太子ルドルフ役に抜擢。以降、幅広いジャンルの作品に出演。第22 回読売演劇大賞最優秀男優賞、第67 回芸術選奨文部科学大臣演劇部門新人賞など数々の演劇賞を受賞。舞台以外にも3作のアルバムを発表し、ソロコンサートなど音楽活動も展開している。2025 年にはデビュー25 周年記念写真集『Mirae ~未来~』を発売。ポッドキャスト番組『浦井健治のココバナカフェ』も好評配信中。2026 年5 月、世界51か国以上で公開され熱い感動を呼んだフランス映画を舞台化するオリジナルミュージカル『最強のふたり』など、話題作が控えている。

撮影/川村恵理 構成・文/杉村道子 ※素敵なあの人2026年4月号「《60代の女性暗殺者が舞台の主人公》『破果 パグァ』のノワールな快感 俳優・浦井健治さんが語る 日韓が紡ぐミュージカルの新潮流【好奇心の扉】」より
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この記事を書いた人 素敵なあの人編集部

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